Blue Roses Garden > 茉莉香の奥様日記 > 第二話 温泉旅行

温泉旅行

「ようこそいらっしゃいませ」

 二人並んだ仲居さんがお辞儀と一緒に挨拶をします。私と敬一さんも一礼しました。

「あ、どうも」

「お世話になります」

 順番にペンをとり、宿帳に記帳します。

『太田敬一』『太田茉莉香』

「はい、それでは、お部屋はこちらです」

 部屋に案内されて、一通りの説明を聞きました。

「お風呂はこちらの部屋ごとの露天風呂の他に、大きい露天風呂が御座います。 大風呂は混浴になっていますから、混浴がおいやでしたら部屋風呂の方をお使いください。 部屋風呂の方も源泉からお湯をひいております。 お食事の準備の方は七時でよろしいですか?」

「はい」

「それではごゆっくり」

 部屋に二人きりになった私たちは、ひとまずお茶を入れて一服しました。

「ふう。さて、早速お風呂にするかい?」

「それより、少しお散歩しません? ほら、下の渓流まで遊歩道があるみたい」

 私が差し出したパンフレットを敬一さんが覗きこみます。 私は宿の周りの概略図の、川の方に続く遊歩道の部分を指差しました。

「あ、いいね。それじゃこれ飲んじゃったらいこうか」

 敬一さんはそう言って、湯飲みを傾けました。

● ● ●

「あんまり人気(ひとけ)が無いなあ」

「季節外れですから。おかげでのんびりできますわ」

「そうだね。旅行シーズンだったら大変だったかも」

 おしゃべりをしながら川縁に向かって降る道を歩きます。

 この温泉は綺麗な紅葉で有名なのですが、今は季節外れです。 おかげで人も少なく、私たちの泊まった旅館では他に一組しか宿泊客を見かけませんでした。

 私はこの体のために、普通の温泉には入れません。 女湯はもちろん、混浴風呂にも入るわけにはいきません。 この体になった事を後悔はしていませんが、こういうときは少しだけ寂しく思います。 そんな私のために、敬一さんは今回わざわざ温泉の部屋風呂がある宿を探してくれました。 敬一さんは私にとって世界一のだんな様です。

「あ、ほら、沢蟹」

「まあ。あ、あっちにも」

 散歩をしながらの他愛の無いおしゃべりが、私に敬一さんと一緒にいられる幸せを実感させてくれました。

● ● ●

 遊歩道の登り口で、年配のご夫婦と出会いました。 私たちと同じ旅館に泊まっているご夫婦です。 部屋に案内されるときに廊下ですれ違ったのですが、どうやら同じコースでお散歩をされていたようです。

「はは、いやあ年をとると足が遅くなっていけませんな」

「あなたたちもご夫婦かしら? どうしてこんな季節外れに?」

「いや、僕の仕事の都合でして。なかなかまとまった休みがとれないんですよ」

「私たち、しばらく前に結婚一周年だったんです」

「あら、それじゃ記念旅行なのね。お邪魔してごめんなさいね」

「これはお邪魔でしたかな」

「いえ、そんな事……」

 老夫婦とお話をしながらゆっくり歩きます。宿に戻ると、ロビーでお別れして私たちは 部屋に戻りました。

 お夕飯の時間まではまだ十分に余裕があります。 私はお風呂に入るため、浴衣の用意を始めました。

「茉莉香……」

「はい?」

 敬一さんの声に振り向きます。敬一さんは、とんでもない事を言い出しました。

「大風呂の方に入らないか?」

「……はい?」

 私は思わず聞き返してしまいました。大風呂? って混浴の露天風呂の事ですよね?

「え、でも、それは……」

「大丈夫、今ならさっきのご夫婦も入ってこないと思う。 二人ともかなり疲れてた様子だったし、一時間かそこらは大丈夫だと思う」

「……」

「ほら、折角だし、僕も茉莉香と一緒に大きな方に入りたいんだ」

 敬一さんが、私を大風呂に入れてくれようとしているのはわかります。 私も、出来れば一緒に大きい方に入りたいとは思っていました。

「どうだい?」

 提案の内容そのものよりも、敬一さんの気遣いがうれしくて、私は首を縦に振りました。

「はい……」

● ● ●

 『女』の文字が染め抜かれた暖簾をくぐります。 脱衣所には人気が無く、がらんとしていました。 私は浴衣を脱ぐと、それを脱衣籠の中に畳みました。 髪をまとめてタオルで抑えると、手ぬぐいだけを手に外側の暖簾をくぐります。 上を見上げると、空には雲の塊がひとつ浮かんでいました。

 石造りの洗い場に、掘り下げの湯舟。 湯舟の縁は洗い場の床面から数センチ高くなって、洗い場側から流れ込むのを防いでいます。 湯舟に向かって、これも石造りの湯口からお湯が流れ込んでいます。 おそらくその先が源泉につながっているのでしょう。 あとは手桶がいくつかと、『冷水』と書かれた札の下がった蛇口がありました。

 すぐ隣に、男性用の脱衣所の出口があります。 待つほどの事も無く、敬一さんが出て来ました。 敬一さんも手に持っているのは手ぬぐいひとつだけです。

「お待たせ。さ、入ろうか」

 私たちはさっとかけ湯を済ませると、温泉につかりました。 白く濁ったお湯からは、かすかな硫黄の匂いがしています。

「えーと、効能は、リューマチ、関節炎、美容……」

 敬一さんが壁に貼られた効能書きを読んでいます。 私はそれを聞いて、美容の効能は私にも効くのかしら、と思いました。

 敬一さんの背中を見ていると、私のために苦労をさせている事が思い出されて来ます。 広さは十分だった前のアパートから今のマンションに引っ越したり、会社の同僚には私の事を隠しておくために付き合いが悪くなったと思われたり。 この旅行だって、わざわざ目立ちにくい場所を探したり。 私は敬一さんの背に向かって声をかけました。

「敬一さん、ありがとう、ごめんなさい……」

「うん……」

 敬一さんがあいまいに返事をします。 私はその背中に寄り添って、彼の背中に頬を寄せました。

 しばらくそうしていたら、やにわに敬一さんが振り返りました。 私の体がぎゅっと抱き締められます。 私の耳元で、小さな、でもはっきりした声でささやきます。

「ごめんなんて言わないで。君は僕にとって最愛の人なんだ。 君のために何かしてあげられるのは、僕にとって最高の喜びなんだよ。 だから謝らないで」

「……はい」

 私の両目から、ひとりでに涙がこぼれます。 私は彼を抱き返しながら、喜びの涙を流しました。

● ● ●

 ふと、腰のあたりの違和感に気がつきます。 意識すると、いつのまにかペニスが硬く立ち上がっているのがわかりました。 体の他の部分も、お湯以外の熱で火照っています。 彼に裸で抱き締められているという状況に、体の方が素直に反応してしまったようです。

「……茉莉香、これ」

「ご、ごめんなさい!」

 頭にものすごい勢いで血が上ります。先ほどまでの感動のシーンが台無しでした。

「ははっ、茉莉香の体は正直だね」

「……ごめんなさい、敬一さん……」

 私の声は蚊の鳴くようでした。 何とかペニスを落ち着けようとしますが、一度勢いがついてしまった物は持ち主の意思をまったく受け付けません。 私は、穴があったら入りたい、という慣用句そのままの心境でした。

「茉莉香、そこの縁に座って」

 敬一さんが湯舟の縁を指します。 私は湯舟の縁の、平らな切石で造られた段の上に腰掛けました。

「足を開いて」

 足を開くと、私の勃起しきったペニスが敬一さんの目の前に晒されます。 私は、恥ずかしさに思わず顔を背けてしまいました。

 次の瞬間。

 私のペニスが、温かく柔らかい感触に包まれました。

 見るまでもありません。敬一さんが私のペニスを口に含んでいるのです。

「ふあっ!」

 不意打ちの快感に、思わず悲鳴が上がってしまいました。

「ふうっ、茉莉香、あんまり大きい声出しちゃ駄目だよ」

「んっ、でもっ」

「前を大きくしたままじゃ部屋に戻れないだろ。浴衣じゃ目立っちゃうからな」

「で、でも、お湯が、汚れちゃいます」

「気にしないでこのまま出しちゃっていいよ。僕が全部飲んであげるから」

 敬一さんはそれだけ言うと、再び私のペニスを口に含みました。 そのまま舌を使って私の弱い部分を責めてきます。 思わずのけぞりそうになって、慌てて両手を後ろについて体を支えました。 空を見上げると、ここが屋外であることを思い出しました。

 四方は囲まれているとはいえ、露天の温泉浴場で、ほとんど全身を晒しながらペニスを愛する人に舐められている。 いささか倒錯的な状況に、私の興奮は否応無く高まります。 彼の舌が私のペニスを一舐めするごとに、私は絶頂に近づいて行きました。

「け、敬一さん、私、もう」

 『いっちゃいます』と言おうとした瞬間でした。

 カラカラ

 脱衣所の、館内側のガラス戸が引かれる音が響きました。

● ● ●

 全身から血の気がひきました。敬一さんも、硬直したように動きを止めます。

 ガラス戸の開け立ての音に続いて、脱衣所の方から衣擦れの音が聞こえます。 どちら側かはわかりませんが、誰かが入浴しようとしているのは間違いありません。

「茉莉香、こっちへ!」

 敬一さんが私の手をひきました。私は慌てて湯船に身を沈めます。 それと同時に、脱衣所の出口ぎわにしかれている(すのこ)を踏む足音が聞こえて来ました。

「あら、あなた方も入ってらしたのね」

 出てきたのは、先ほどの御婦人でした。どうやらお一人のようです。

「あ、ど、どうも」

「お、お一人ですか?」

「ええ。主人はさっきの散歩でちょっとつかれたみたいで」

 御婦人はそう言いながらかけ湯を済ませると、湯舟にのんびりと入ってきます。

 私はといえば、いまだに元気を失わないペニスに気づかれないか、気が気ではありませんでした。 さいわいお湯が白濁しているので、気がつかれてはいないようです。 しかし、どうやって湯舟からあがったらいいのでしょうか?

 御婦人が気持ちよさそうにお湯につかるその脇で、私と敬一さんは動くに動けずに固まっていました。 その私たちに、御婦人から声がかけられました。

「……あら、お顔が赤いわね。すこし湯当たりしたのではなくて?」

「え、ええっと」

 顔が赤くなっているのは別の理由によるものですが、もちろん正直に言うわけにはいきません。 なんと言おうかと慌てているところに、敬一さんが声をあげました。

「あ、本当だ。のぼせないうちにあがった方が良いな、うん。 じゃあ僕たち、これで失礼させていただきます」

 敬一さんが私と御婦人の間に割り込むと、私の顔を覗きこむ仕草をしながらまくし立てます。 そのまま自分の体で御婦人の視線をさえぎりながら、私を立たせて後ろを向かせました。

「はい、湯ざめにもお気をつけなさいね」

 私はお臍から下を手ぬぐいで隠しながら、何とか会釈を返しました。

● ● ●

 脱衣所に戻ってタオルで体をぬぐい、浴衣を着ます。 困った事に体の火照りは一向に収まらず、ペニスもいまだに硬くなったままです。 浴衣の股間に目立つ盛り上がりが出来てしまっています。

 ガラスの引き戸から首だけ出して左右を見回してから廊下に出ると、敬一さんが先に出て待っていました。 他に人気が無いのを確認して廊下に出ます。

「け、敬一さん……」

 敬一さんは私の状況を直ぐに見てとりました。

「とりあえず部屋に戻ろうか」

「はい……」

 さいわい露天風呂から客室の方まで、ロビーや食堂の近くを経由しないでいけるようになっています。 私と敬一さんは足早に廊下を進みました。 そして、次の角を曲がればすぐに私たちの部屋、という所まで来たとき。

 曲がり角の向こうからこちらに向かう足音が聞こえて来ました。

 足音からすると、多分先ほどのご夫婦の御主人ではありません。 おそらくこの旅館の従業員でしょう。

 敬一さんの足が止まります。私はその腕にすがりつき、腰をひいた姿勢になってしまいました。

 廊下の角を曲がって現れたのは、到着したときに出迎えてくれた仲居さんでした。 軽く会釈をして道を空けてくれようとした仲居さんが、ふと私の顔に目を止めました。

「あら、少し湯あたりされました?」

「え、いえ、あの……」

 たしかに、湯上がりで顔を真っ赤にして、腰のひけた姿勢で主人の腕にすがり付いている姿は、湯当たりしたようにしか見えないかもしれません。

「ええ、ちょっとのぼせたみたいなんで、部屋で休ませようかと思ったところなんですよ」

 しどろもどろになっている私に代わって、敬一さんが答えます。

「あらあらいけませんわね。そうだ、お部屋のお布団お出ししますね」

「あ、いや、そこまで……」

「いえいえ、湯あたりには横になって頭を冷やすのが一番ですよ。 急いでやりますからちょっとお待ちになってくださいね」

 仲居さんはそれだけ言うと、私たちの部屋に入っていきました。 押し入れを開け閉てする音が聞こえてきます。 部屋に入ると、敷き布団がひとつと枕、大き目のタオルケットが出されています。

「さ、奥様は横になられて。 体はあまり冷やさないように、冷えるようならタオルケットをかけてくださいな」

「あ、どうも、ありがとう御座います」

「いえいえ、それでは失礼しますね」

 仲居さんが部屋から出て行くと、しんとした静寂があたりを包みました。 窓の外の木の枝が風にゆれる葉鳴りの音。遠くから聞こえてくる渓流の流れる音。 それ以外には何の音もしません。安心した私は、大きくため息をつきました。 ため息の音が、やけに大きく聞こえました。

「折角だから、横になりなよ」

「はい……」

 敬一さんの勧めにしたがって、私は布団に横になって目を閉じました。 先ほどからの緊張が、やっとほぐれます。

● ● ●

 ふと、私の太ももを撫でる感触に気がつきます。 目を開けると、布団の脇に胡座をかいて座っている敬一さんの左手が、浴衣の裾を割って私の太ももを撫で回していました。

「け、敬一さん……?」

「いやほら、さっきから緊張しっぱなしだったみたいだし、マッサージとかどうかな」

 そう言いながら、敬一さんの手は太ももの付け根に近づいてきます。 やがてその手は、太ももからショーツの上に移動しました。

 敬一さんの手が、私の睾丸を包み込んで転がします。 ショーツからはみ出していたペニスが、ビクリと跳ねました。 先端からしずくが溢れるのが感じられます。

「……それにほら、茉莉香のここはまだ欲求不満みたいだよ」

 ショーツを膝までひきおろすと、敬一さんの指先が私のペニスをつまみました。 親指と人差し指と中指、三本の指で私のペニスをゆっくりしごきます。 緊張がほぐれると同時に柔らかくなりかけていたペニスが、あっという間に硬さを取り戻してしまいました。

「……敬一さんの、意地悪」

「ははっ、ごめんごめん。これで許してくれ」

 敬一さんはそう言うと、私の方に顔を寄せて来ました。 私は彼の頬に両手を添え、その顔を引き寄せます。 私の唇と、敬一さんのそれが重なりました。

 敬一さんの手が私のペニスをしっかりとつかみ、親指の腹が先端を刺激します。 お互いの舌が相手の口の中に侵入し、絡みあうように、舐めあうように踊ります。 敬一さんの右手が、私の乳房を柔らかくもみしだきます。

 彼の頬から両手を離し、背中に回して抱き締めようとしたときでした。

 コンコン

 ノックの音がします。

「失礼します、氷をお持ちしましたよ」

 ドアのむこうから声がしました。

● ● ●

 私たちは慌ててはなれると、浴衣の裾や胸もとを整えました。 敬一さんがタオルケットで私のお腹から下を隠します。

「どうぞ」

 敬一さんが返事をすると、仲居さんがはいって来ました。 氷嚢とタオルを入れた洗面器をもっています。

「あ、どうも」

「あらあら、真っ赤ですね。 額の上にタオルをのせて、タオル越しに氷嚢を当てるようにしてくださいね」

「あ、はい」

 敬一さんと仲居さんの会話を聞きながら、私は腰から湧き起こる感覚に耐え続けました。 二回も寸止めされて、私の我慢はもう限界です。 少し身じろぎしただけで、甘い刺激が腰から全身に広がっていきます。

「それでは、お大事に」

 仲居さんが出て行くと、再び静寂が落ちます。

「続きは、夜まで待ったほうがよさそうかな」

「え……」

 敬一さんの言葉に、思わず声がもれます。

「ん?」

「いえ、何でも……」

 本当は、今すぐ続きをして欲しいです。 キスをして、ペニスをしごいて、そして私の中に敬一さんの熱いものを……。

 しかし、私はそれを言えませんでした。 二回も中断されて、敬一さんは明らかに冷めてしまっています。 もちろん、私が頼めばいくらでも愛してくれるでしょうけれど、それはなんだか無理強いをしているようで気が進みません。

 結局その後は、二人で昼寝をして過ごしてしまいました。

● ● ●

 夕食の時間。仲居さんたちがお料理を運んで来てくれます。 山女(やまめ)の塩焼きをメインに、山菜料理や沢蟹の汁物と言った献立でした。

「それではごゆっくり」

 準備が終わると仲居さんたちが退出していきます。

「じゃ、頂こうか。いただきます」

「いただきます」

 ご飯を食べおわると、私たちは部屋についている露天風呂に入りました。 中庭のようになったスペースに、石畳の洗い場と直径三メートルほどの湯舟があります。

 湯舟に浸かって上を見上げると、綺麗な星空が見えました。

「茉莉香……」

 敬一さんが私の肩を抱き寄せます。私は彼に寄りかかり、両目を閉じました。

「敬一さん……」

 自然と、私たちの唇が重ねられました。

 いつのまにか、敬一さんの手が私のペニスを愛撫しています。 私も負けずに、敬一さんのペニスを両手で刺激します。 ならんでお湯に浸かりながら、唇をあわせたまま、私たちはお互いを刺激し続けました。

 先に根負けしたのは私のほうでした。昼間、二回も寸止めされたためでしょうか。

「敬一さん、私、もう……」

 私は湯舟の中で立ち上がると、洗い場に両手をついてお尻を突き出しました。 敬一さんも立ち上がると、私の後ろに回って私のお尻を両手でつかみます。

「いくよ、茉莉香……」

 敬一さんのペニスが、ゆっくりと私の中に入ってきます。 あらかじめ注入しておいたローションが、ペニスに押し出されて滴り落ちます。

「あ、あっ、ふあっ、あんっ!」

 ペニスが突き進むたびに、私は嬌声を上げます。

「あっ、ああんっ!」

 熱い肉棒が、根元まで突き刺さりました。 奥まで押し広げられたアヌスが、悦びにビクビクと痙攣します。 アヌスから溶け出した快感が、腰から背骨を伝わって全身に広がっていきました。

 どくん

 堪え切れなくなった私のペニスが、精を放ちます。 洗い場に落ちた白い粘液がたてた音がはっきりと聞こえました。

「動くよ」

 そう言うと、敬一さんは腰を前後させ始めました。 お湯が揺れる、チャプチャプという音が辺りに響きます。 誰かに聞かれたら何をしているのか丸わかりだろうなあ、と頭の隅っこで考えましたが、お尻から送り込まれて来る快感がそんな思考を押し流します。

 そうして何分がたったときでしょうか。

 ガチャリ

 部屋の戸が開けられる音がします。夕食の後片付けと、布団敷きに来たようです。 食器を重ねる音が聞こえてきます。

 敬一さんは腰の動きを止めると、私を後ろから抱きかかえるようにして姿勢を変えます。 挿入したまま湯舟に腰をおろし、私を横抱きした姿勢になりました。

 敬一さんは動きを止めています。 仲居さんたちが部屋を出ていくまで、このまま待つつもりなのでしょう。 しかし私のアヌスはもう一瞬も我慢が出来ません。 私は括約筋や腹筋を総動員して彼のペニスを攻め立てました。 軽く腰をよじったりもして、いろいろと刺激を与えます。

「……くっ、ふっ」

 どくん

 私の胎内で、敬一さんが爆ぜました。 熱い液が叩きつけられる感触に、それがじわじわと広がっていく感触が続きます。 その感触に、私は射精こそしませんでしたが、再び絶頂を迎えました。

● ● ●

 ゆっくり体を暖めてから部屋に戻ると、お布団が二組、ぴったり並べてしかれています。

「さすがにちょっと疲れたなあ。もう寝ようか?」

「そうですね」

 部屋の灯りを落とし、私たちはお布団に入りました。 しかし私は直ぐには寝つくことが出来ず、隣に寝ている敬一さんの顔をじっと見つめます。

「ん、なんだい?」

「……そっちに行っても、良いですか?」

「もちろん」

 敬一さんがかけ布団を持ち上げます。 私がお布団に入ると、敬一さんは腕を横に伸ばします。 私は彼の腕に頭を載せ、その胸にぴったりと寄り添って眠りにつきました。

―了―

*** Next Morning ***

(;・_・)「うう、腕が痺れた」
ノノル;・ヮ・ル「だ、大丈夫ですか?」