Blue Roses Garden > マグナハウス > 第五話 結婚記念日

結婚記念日

 ニューハーフとニューハーフ愛好者たちの秘密の楽園、マグナハウス。 知る人ぞ知るこの店で、今宵も秘密のショウの幕が上がる……。

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「久しぶりに来たけど、この店は落ち着くなあ」

 バニーボーイに案内されて壁際のボックス席につきながら、男性客が感想を漏らした。 同行していた女性が相槌を打つ。

「本当に。それに、懐かしい……」

 男性客の名前は太田敬一。一年前まではこの店の常連で、二日と空けずに通い詰めていた。 同行の女性は彼の妻、茉莉香。茉莉香は当時この店の売れっ子ホステスだった。 現在は専業主婦として敬一を支えている。

「いらっしゃいませ、太田様。お久しぶりで御座います。 茉莉香さんも、その後お変わり有りませんか?」

 二人の席に店の名物オーナーが挨拶にやってくる。 タキシードを着込み、かしこまった言葉づかいをする『兎』だ。 客にも従業員にも頭部をすっぽりと覆う兎の頭の被り物の下の素顔を見たものがいないという、謎な人物だ。

「あ、どうも、ご無沙汰してました」

「お久しぶりです、オーナー」

 敬一と茉莉香が無沙汰をわびる。

 一年ほど前まで、敬一は茉莉香を目当てにこの店に通い詰めていた。 果敢なアタックの末、見事に茉莉香のハートを射止めた敬一は、それ以後はまじめな夫として、夜遊びも控えめに家にまっすぐ帰る生活をしていた。

 マグナハウスのホステスであったことから判るように、茉莉香は本当の女性ではない。 当然彼女と敬一の結婚も正式なものではなく、法的には単なる同居人、住所が同じであるというに過ぎない。 しかしマグナハウスの常連客や従業員一同は二人を祝福し、二人のための結婚式を開いてくれた。 売れっ子ホステスが店を辞めるとなれば痛手であったろうに、オーナーもそれを快諾してくれた。 その上での無沙汰に、二人は少々恐縮していたのだった。

「いえいえ、そうお気になさらずに。そうそう、もうすぐ今夜のショウの時間です。 どうぞご覧になって行って下さい」

 二人に会釈をして、兎のオーナーは店の奥に下がっていった。 この店のアトラクションやショウは、常に彼が司会をしているのだ。

「いらっしゃいませ、太田さん、茉莉香ちゃん」

 オーナーと入れ替わりに、ホステスの榊エミコが二人の席にくる。 エミコはバニーボーイからドリンクやスナックの乗ったトレイを受け取ると、

「こっちはもういいわ。あっちを手伝ってあげて」

 といって下がらせた。

「……? そんなに忙しくなるような混み具合かしら?」

 何気ない茉莉香の疑問にエミコが答える。

「うん、普段なら大丈夫なんだけど……。ちょっと風邪で何人かダウンしちゃってるのよ。 お客さんにうつすわけに行かないから完治するまで出勤禁止でしょ?  おかげで今ちょっと手が足りないのよ」

 言われてフロアを見回す茉莉香と敬一。 たしかに、ホステスとバニーボーイの人数がすこし少ないようだ。 カウンター席のバーテンダーも一人しかおらず、忙しげに立ち働いている。

 そうこうしている間にステージの幕が上がった。 兎が丁寧な中にも軽妙な口調で口上を述べる。 どうやら本日のショウは『レジスタンスと秘密警察官』物らしい。 ライトアップされたステージには、コンクリート打ち放しの壁と鉄格子を模したセットが出来ている。 フロア中の視線が集まる中、黒い軍服の女性が囚人服の女の子を引きずって来た。

「……あの子、中学生?」

「……なんかずいぶん若いな」

「あの子、あれでも高校三年生よ。軍服の方はあの子のお姉さん」

「え? じゃあ、あっちは女の子?」

「ええ。オーナーがどこかからみつけてきた短期バイトなの」

 ステージ上では、手錠で鉄格子につながれた女の子が服を引き裂かれていた。 悲痛な悲鳴と布の裂ける音が響く。

「あと、あっちの二人も。今ステージに上がってる子の知り合いなんだって」

 エミコが指差す先を見ると、確かに見覚えの無い顔が見えた。 バニー姿のセミロングの子とカクテルドレスのお姫様カットの子が、ステージをじっと注視している。

「ステージやホステスまでなんて、ほんとに手が足りないみたいね」

「ええ。特にステージの方はマキさんとミキさんが倒れちゃったから責め役出来る人がいなくて。 あの子がSで助かってるわ」

 ステージに目を戻すと、軍服姿のほうがストラップにディルドーを装着しているところだった。 小さいペットボトル並のサイズに、茉莉香は思わず目を見張った。

「ね、ねえ、あれ、大丈夫なの?」

「うん、私もはじめはびっくりしたんだけど、あの子のお尻すごいのよ」

 極太ディルドーがアヌスにあてがわれ、片足が抱え上げられてそれが客席にさらされる。 同時にあらわになったペニスは、根元がサテンのリボンで縛り上げられていた。

『やあっ、いやあっ、たすけて、お姉ちゃん!』

『変態マゾの癖に雰囲気出してるんじゃないわよ。 観念してあんたのドスケベケツマンコがぶっといの飲み込むところを見せなさい』

 極太ディルドーが可憐なすぼまりを突き破り、ずぶずぶと胎内に侵入していく。 ディルドーが突き進むにつれて、なえていたペニスが急速に力を得ていった。

『ほらほら、なによこの無節操なチンポは?』

『や、やめて、おちんちんしごかないでえ!』

 ディルドーの抽送につれてペニスが揺れ、透明な液をこぼす。 時々一番奥までつきこまれると、そこが弱いのか女の子が甲高い悲鳴を上げた。

「……うわー、ありゃすごいな」

「……」

「なかなか逸材っぽいでしょ?」

 やがて女の子が絶頂を迎え、リボンを解かれると同時に大量の精液を撒き散らしたところで幕となった。 兎が感謝の辞を述べ、ステージとフロアの照明が元に戻った。

「あの子達のおかげでとりあえず何とかなってるんだけど、それでも忙しくて。 私ももう五日連続出勤よ」

 エミコが笑いながら言う。 しかし茉莉香には、エミコが実際かなり疲れているのが判った。

「……ねえあなた、ちょっと」

「ん? なんだい?」

「私……」

● ● ●

 ――それから一週間後。

 この一週間、茉莉香は臨時のアルバイト扱いでマグナハウスのフロアに出ていた。 当時からの常連客のみならず、引退時にはこの店の客ではなかった新規の客にも好評だ。 今日はその最終日として、フロアではなくステージに上がる事になっている。

 ちなみにショウの内容は、茉莉香の希望によるものである。

 やがて夜もふけてくると、ステージショウ開幕の時間となる。

「其れでは只今より、本日のショウを開幕いたします」

 兎頭の司会者がショウの開幕を告げる。 今夜の衣装は白衣の上に医療用スモック、頭には耳の出る穴を空けたメディカルキャップだ。

「さて、お客様方の中には、昨年太田敬一氏と結婚して引退した藤原茉莉香の事を覚えている方もおられるかと思います。 本日は太田夫妻の結婚一周年にあたり、特別なショウを企画致しました」

 その声を合図にステージの照明が点灯する。 今夜のステージセットは、産科医院の分娩室を模したものだった。 白い壁と中央に置かれたベッド。ベッドには産婦の両足を上げて固定する台がついている。 ベッドの脇には椅子と、反対側に道具台が有った。

「それでは、今宵の主役に登場して頂きましょう」

 ステージの袖から茉莉香と敬一が現れる。 敬一の服装はシャツにスラックス、ジャケットという普段着だが、茉莉香の方は検査や手術のときに着る医療用ローブ姿だ。

 打ち合わせた手順に従い、茉莉香がベッドに横になる。 敬一はベッドの頭よりに置かれた椅子に座った。 茉莉香の足がフロアの方に向き、向かって左側に敬一が座る位置になる。

 茉莉香の足が持ち上げられ、拘束台に固定される。 フロア側からは茉莉香のペニス、そしてアヌスが丸見えになる。

 ついで、兎ドクターが道具台からなにやら取り上げ、フロアにかざして見せる。 それは、スキンの中になにやらソーセージのようなものを詰め込んだ物に見えた。

 兎ドクターはそれにローションをまぶすと、それを茉莉香のアヌスに挿入していった。

「んっ、くう、んんっ」

 茉莉香が悩ましい声をあげる。 この一年毎晩のように敬一のペニスに貫かれ、茉莉香のアヌスはすっかり開発済みだ。 異物の進入にも、緩やかな快感を感じている。

 挿入が終わると、兎ドクターは同じ物をもうひとつ取り上げた。 再び客席に向かって掲げて見せる。

「今太田婦人の中に挿入したのは、高吸収性ポリマー製の人形です。 このポリマーは水を大量に吸収する性質が有ります」

 そういって道具台からビーカーを取り上げると、スキンの中に水を注ぎ込んでいく。 と、見る間にスキンの中の物体が膨張をはじめた。 ウィンナーのようなサイズだったのがどんどん膨張し、缶ジュースの缶ほどのサイズに膨らんだ。 色はベージュ一色で、その形は胎児の人形だった。

「と、このように、吸収した水を内部に保持する性質が有ります」

 道具台から、今度はシリンジを取り上げる。 茉莉香のアヌスからはみ出しているスキンの口にシリンジの先端を差し込むと、慎重な手つきで水を注入していった。

「ん……」

「んっ、んん……」

「くうっ、はあっ、はあ……」

 水が注入されていくにつれて、茉莉香の息が少しずつ荒くなっていく。 アヌスの中が圧迫されているのだろう。 やがてシリンジの中の水がすべて注入されるころには、茉莉香の呼吸は疾走中のマラソンランナーのようになっていた。

「だ、大丈夫かい?」

 ベッドの脇に座る敬一が、茉莉香の手を握りながら心配そうな声を掛ける。

「大丈夫、です、あなた……」

 茉莉香が敬一の手を握り返しながら答える。

「それより、もう、産まれそう……」

 客席側からは、茉莉香のアヌスが苦しげにひくついているのがみえる。 同時に、内側から前立腺を圧迫されているのであろうか、ペニスが立ち上がっているのも。

「さあ奥様、御腹に力を入れて、リズミカルにいきんで下さい。 ご主人は、奥様を励ましてあげてください」

「はい、先生。茉莉香、がんばって!」

「んっ、わたしっ、ふうっ、がんばりますっ、ふうっ!」

 茉莉香がいきむたびに、そのアヌスを押し広げて胎児の頭がみえる。

「んんっ、はあっ、くっ、ふうっ!」

 胎児の頭が半分ほど外に出る。茉莉香の息は荒く、顔色も真っ赤になっている。

「んあっ、くっ、んんんっ!」

 ずるり。胎児の頭部が完全に外に出た。 茉莉香のアヌスは、いまや限界まで押し広げられている。

「奥様、今赤ん坊の頭が出ました。その調子です」

「茉莉香、がんばれ!」

「んっ、茉莉香、ふうっ、くっ、がんばります、あなた、はあっ!」

 ずるり。胎児の胴の半ばまでが押し出された。すでに胎内に残るのは臍から下だけだ。

 胎児が押し出されるたびに、茉莉香のペニスがはねる。 前立腺をえぐられる刺激、肛門を異物が通過する刺激、直腸をこすりあげられる刺激。 それらの物理的な刺激に加え、擬似的にでは有るが愛する夫の子を今まさに産んでいるという精神的な興奮と、それを衆目に晒しているという背徳感があいまって、絶え間ない絶頂感にも似た感覚が茉莉香をさいなんでいた。

「あと少しです。もうすぐ完全に産まれますよ」

「茉莉香、がんばって、あとちょっとだ!」

「くんっ、はいっ、くうっ、ああっ、あっ、あああ〜〜〜っ!!」

 ずるり。ついに胎児が完全に娩出された。 それと同時に――茉莉香のペニスが、精液を吐き出した。

 どくん、どくん、どくん

 はねとんだ精液が茉莉香の腹に滴る。

「おめでとう御座います、可愛いお嬢さんですよ」

 兎ドクターがすばやくポリマー製の人形をベッドの下に隠し、代わりに布で包まれた赤ん坊の縫いぐるみを茉莉香に抱かせる。 茉莉香の足の拘束を解くと、精液をガーゼでさっとぬぐってローブのすそとシーツを整えた。

「ん、はあ、あなた、わたし、がんばりましたわ……」

 縫いぐるみを本当の赤ん坊のように抱きながら、茉莉香が敬一に微笑み掛ける。

「うん、よくがんばったね。茉莉香はえらいよ」

 敬一は、舞台の上だということも忘れて茉莉香に口付けた。 茉莉香も、縫いぐるみをしっかりと抱きながらキスを返す。

「ご来場の皆様、どうぞ祝福の拍手をお願いいたします」

 兎ドクターが言うと、客席から万雷の拍手が起こった。 その音に我に返った茉莉香と敬一が、客席に向かって礼をした。

―了―

*** Back stage ***

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(・x・)  「お疲れ様でした、太田様、茉莉香さん。御陰で助かりました」
茉莉香「いえ、こちらこそ我が儘を聞いて頂いて、ありがとう御座いました、オーナー」
敬一  「でも、大変じゃなかったかい? すごく苦しそうだったぞ」
茉莉香「……いえ、その」
敬一  「?」
茉莉香「……ちょっと、気持ちよかったかなって……」
敬一  「そ、そうだったんだ……」 (;・_・)
茉莉香「……敬一さん、わたし、次は男の子が欲しい、です……」 ノノル*・ヮ・ル