Blue Roses Garden > マグナハウス > 実演販売?

実演販売?

 某地方都市の繁華街の片隅、小さな商業ビルの地階にその店はある。

 マグナハウス。

 ホステスが全員ニューハーフの、いわゆるニューハーフ・パブである。店内の一角にショーステージがある、ショーパブと呼ばれるタイプの店だ。

 この店のステージで毎晩行われる過激なショーは、常連を惹きつけて離さない、そしてその手の趣味を持たない人間をも惹きつける魅力を持っている。

 そのステージで、今宵演じられるのは……。

● ● ●

 ステージの中央に、分娩台が据えられている。産科の医院で出産時に妊婦が横たわる、両足を開いた形で固定する特殊なベッドだ。すぐ傍には術具台も置かれ、それだけを見れば分娩室のように見えなくも無い。

 しかし、今分娩台の上に居るのは臨月を迎えた妊婦ではなく、術具台上に並べられているのも救急用の止血器具や臍帯処理用の道具ではなかった。

 分娩台の両脇に立つのは、看護婦の衣装をまとった二人の女性――に見える人物――だ。ただしそのナース服は一般的なデザインの物ではなく、剥き出しの肩や太ももの付け根ぎりぎりのミニスカート、おまけに色は派手なピンクという代物だった。顔立ちや体格はそっくりで、少し目を離すともうどちらがどちらだったか分からなくなるほどだった。

 彼女たちの名前はマキとミキ。マグナハウスに勤務する、双子のホステス――もちろんニューハーフである。

 分娩台の上の人物も、一見したところは女性だった。長い髪と若干垂れ気味の目元が、どこか気弱げな雰囲気をかもし出している。顔立ちの印象に反して診療着の胸元を押し上げる乳房は豊満で、見る物の目を惹きつける。身長は170を超える長身なので、最終的な印象は『背が高くて胸も大きいのに性格は気弱』という、いじめの格好の標的になりそうな物だった。

 こちらの名前は榊エミコ。マキとミキと同じく、マグナハウスで働くニューハーフホステスだ。

 この三人が、今夜のステージの出演者だった。

 さて一見すると産科医院の分娩室を模したように見えるステージだが、明らかな、そして異様な違いがいくつかある。

 最初に目に付くのは分娩台の上である。

 分娩台上のエミコは、開脚台上の両足だけではなく、両手をも拘束されていた。産婦が力むときにつかまる為の握りに、両手が粘着テープでぐるぐる巻きに固定されている。さらにその口はボールギャグでふさがれ、唾液がこぼれるに任されている。

 無力なその姿はさながら俎上の鯉、はたまた生体解剖を待つ実験動物といったところだ。

 もうひとつ普通の医院と違う点は、傍らの術具台――正確には術具台の上に並べられた道具類にあった。

 そこにあるのは止血器具やその他の医療器具ではなく、ゴムで出来た模造男根やモーターで動く玩具、あるいは女性器を模したシリコーンゴム製の自慰道具と言った、いわゆるアダルトグッズの類だった。

 異様な道具立てにフロアの興奮が高まり、客の視線が分娩台上のエミコに集中した。その視線に興奮したのか、エミコの男根は屹立し、診療着に外からも分かるふくらみを作っている。

「さてお集まりの皆様、やってまいりました、夜の実演販売の時間でーす」

「マキさんマキさん、今夜の商品はなんですか?」

「今夜の商品は、大人のおもちゃ屋さん『ショップ○○』から提供されたこちらのおもちゃ類です!」

「まあ、たくさんありますねー」

「最近恋人との夜がマンネリなあなた、はたまた一人が寂しいあなた! そんなあなたにお勧めのおもちゃ紹介! 最後には当店とのスペシャルコラボレーショングッズも紹介しちゃいます!」

「あらあらこれは見逃せませんねー。それでは早速最初の商品をお願いします」

 二人のピンクナースの掛け合いで舞台は始まった。露天商か、はたまた深夜の通販番組か――軽快なトークが客をひきつける。

「さてさてミキさん、これは何だと思います?」

「これは、うーん、洗濯バサミでしょうか?」

 マキが最初に取り上げたのは、金属製のクリップのような道具だった。歯の部分にはゴム製の滑り止めがつき、確かに全体的には洗濯バサミに見える。

「ざーんねん、これはニップルクリップっていって、こうして使うんですよお」

 マキは無造作に、分娩台上のエミコの服の胸元を引き裂いた。薄い診療着はあっさりと裂け、エミコの乳房が剥き出しになる。剥き出しになったその乳房の先端、既に固くとがっていた乳首にマキは無造作にクリップをかませた。

「〜〜〜!」

 エミコが悲鳴を上げようとするが、それは口に噛まされたギャグに妨害され、くぐもった呻き声にしかならなかった。手足に入った力に、分娩台がぎしぎしと音を立てる。

「あらあら、実験動物さんが痛がってるみたいですよ? 大丈夫なんでしょうか?」

「大丈夫大丈夫。このニップルクリップのスプリングはとっても軽いんです。それに歯の部分にはゴムもついてますから、体に傷がつく心配もありません!」

「それなら安心ですね。じゃあこちらの実験動物さんはどうしたんでしょうか?」

「これは喜びの表現ですよお。この実験動物さんは性格マゾヒストですからねえ。ほら」

 マキが今度は診療着の裾をめくりあげた。エミコの股間からアヌスまでがむき出しになり、屹立したペニスとその先端からにじみ出る蜜が衆目に晒される。

「あらまあおちんちんが濡れてますねえ。これなら心配ないですね。ところで、おっぱい用のおもちゃはこれだけですか?」

「ニップルクリップ以外だと、こんなものもありますよお」

 ミキに促されたマキが次に取りあげたのは、小さなゴムスポイト状の道具だった。スポイトと違うのはその先端で、ラッパの口のように広がっている。全体は透明なプラスチック製で、ゴム球以外の部分はすべて透き通っている。

「こちらは?」

「これはこうやって使うんですよお」

 マキはクリップをかませたのとは逆の胸に先端を押し付け、ゴム球を二、三度握る。するとマキが手を離しても器具は離れず、エミコの胸にぴったりと吸い付いていた。

「おやおや、しっかりくっついてますねえ」

「はい、この通り」

 マキがスポイトを掴んで上下に動かすと、それにつれてエミコの豊満な胸が上下にゆれた。乳首をつまんで胸を振り回される感覚に、エミコが再び苦鳴をあげる。

「見てください、乳首が吸引されて吸い出されているのが分かりますかあ」

「まあ本当、すっごく尖ってますねえ」

「男の人の口で吸われるのとはまた違う、先っぽだけをきゅっと吸われる感じが気持ちいいんですよお」

「それはとっても気持ちよさそうですね」

 分娩台の上のエミコは早くも息絶え絶えといった風情だった。それをよそに、マキとミキの軽快なトークは続く。なんといっても、術具台上にびっしりと並べられた道具のうち、まだたった二つを紹介したに過ぎないのだ。

「さて、お次はこちらっ!」

「アイマスク? 安眠グッズでしょうか?」

「いえいえ、使い方しだいでこういうものも立派な大人のおもちゃになるんですよ」

「ほうほう」

 トークをしつつ、マキは手早くエミコにアイマスクを装着する。エミコは首を振ってマスクを外そうとするが、徒労に終わる。

「さてさて、これで実験動物さんは視力を奪われました」

「そうですね」

「ご存知ですか? 人間って、視界を奪われるとそのほかの感覚がとっても敏感になるんですよ」

「ほほう、それは知りませんでした!」

「そこで今度はこれの――」

 そう言ってマキが次に取り上げたのは、何の変哲も無い筆だった。

「出番です!」

「今度は筆ですか?」

「はい、筆です。ちなみに100円ショップでも買えるんですよお」

「それは経済的ですね。それで、その筆で何をするんでしょうか?」

「こうします!」

 マキは手にした筆の先をエミコのわき腹に当てた。先がほんのわずかに触れる程度のごくごく軽いタッチだったが、エミコは何か熱い物でも当てられたようにびくりとする。再び分娩台のきしむ音がフロアに響き渡った。

「おやおや、なんだかすごくびっくりしてますよ?」

「はい、何しろどこに触られるか分かりませんから、まったく気構えが出来ないんですね」

 筆先がエミコのわき腹から離れ、今度は臍をくすぐる。くぐもった呻き声を無視してそのまま腹から胸をさかのぼり、乳房の間を通って喉元に向かう――と思うと、いきなり向きを変えて横に移動し、鎖骨をなぞって肩口に抜けた。筆が動くたびにエミコの体は緊張し、荒い息が吐き出された。

 肩から離れた筆は今度はまったく違うところ、太腿の内側をくすぐり始める。その後マキは、首筋、最初とは反対のわき腹、足の裏、乳房の周辺、耳という具合に、エミコの全身を筆で撫で回していった。

 新しい部分をくすぐられるたびに、エミコは体をびくびくと震わせる。露出したペニスもそのたびに震え、先端から溢れた蜜が周囲に垂れ落ちた。

 最後にマキは、そのペニスの先端に筆を当てた。敏感な亀頭を撫でるようにくすぐり、透明な液を塗り広げるように愛撫する。

 デリケートな刺激に性感を高ぶらされ、しかしそのデリケートさゆえに絶頂には至れない――焦らし責めを受けるエミコの全身からはいつのまにかぐったりと力が抜け、筆の動きにつれてわずかに痙攣するだけになっていた。

「おやあ、実験動物さんの具合が変ですよ?」

「むむっ、ちょっと焦らしすぎちゃいましたかねえ。それでは次のアイテムにいってみましょうか」

 エミコの蜜を滴らせる筆を置きながらマキは言った。その言葉が聞こえているのかいないのか、エミコはただ荒い息をつくだけだった。

「それでは今度はこれを使ってみましょう!」

「これはローションですね?」

 マキの取り上げた透明なボトルを覗き込み、ミキが確認の質問をする。

「ただのローションじゃありませんよ? この温感ローションは、温湿布と同じ理屈で触れた部分をホカホカさせてくれるんです」

「なるほど、普通のローションがひんやりした感じがするのと逆なんですね?」

「その通りです。さて、これを――」

 説明しながらマキはエミコの両胸からクリップとスポイトを取り外した。続いてボトルのキャップを回し、外れると同時にエミコの胸の間にローションをたっぷり振りまいた。

「!」

 びくりとするエミコを無視して、マキはローションを塗り広げてゆく。単に塗り広げるだけではなく、円を描く動きで筋肉を揉み解しながらだ。

「ほほう、マッサージですか?」

「はい、その通り。こうやって緊張した体を揉み解してあげるのに、この温感ローションは最適なんですよお」

「なるほど、これは恋人同士のスキンシップにももってこいですね」

「これをやってあげれば、好感度アップ間違い無しです!」

 解説トークの間もマキの両手はエミコの全身をまさぐり続け、全身にローションマッサージを加えてゆく。エミコは力の抜けた様子で分娩台に体重を預け、緊張がすっかりほぐれているのが傍目にも分かる。

「あ、もちろんこんなことも出来るんですよ」

 不意をうってマキの右手がエミコのペニスをつかみ、ローションにまみれた手のひらでいきおいよくそれをしごく。

「!? 〜〜〜っ!」

「おお、なんだか効果は抜群ですよ?」

「粘膜に触れると温感も一段とアップするんです」

「なるほど、おちんちんが熱くてたまらなくなるわけですね?」

「はい。そしてローションですからこんなところにも」

 ペニスを離したマキの右手が、人差し指だけを伸ばして握られる。その向かう先は、屹立したペニスの下、ココア色のすぼまりの中心だった。

 ずぶり、と指が肉の洞窟を穿つ。

「!!」

「挿入するのに役に立っちゃうんですよお」

 抜き差しを繰り返し、肛門粘膜を責めながらマキが言う。その指が一往復するたびに、エミコは声にならない悲鳴を上げて痙攣した。

「敏感なところが熱くてたまらないわけですね。これは効きそうですねえ」

「これで前戯をしてあげれば、本番がいっそう激しくなること間違い無しです!」

 マキの指が引き抜かれ、エミコの痙攣が治まる。その呼吸は、先ほどまでを上回る激しさだった。

「さてさて、お次のアイテムはこちら!」

 次にマキが取り上げたのは、男根を模した太長い筒状の器具――ディルドーではなく電源とモーターを内蔵したバイブレーターだった。

 その形状は男根の単純な模倣ではなく、竿の部分にはびっしりとパールが並び、大きく膨らんだ亀頭部にもいくつもの突起がついた、性器を責めるためにいささかグロテスクに改造された形状だ。全体を覆うシリコーンゴムは全て透明で、金属製の内部軸や先端部に内蔵された小型モーター、こちらも金属製のパール部や狭間のギアが垣間見える。凶悪な外形に加えて金属製の内部機構をむき出しにしたそのデザインは、拷問道具じみた印象を与える物だった。

 マキはエミコの視界を奪っていたアイマスクを外すと、その凶悪なバイブレーターをかざしながら解説を続ける。

「こちらのバイブにはアメリカ航空宇宙局・NASAの開発した超強力モーターと、スペースシャトルにも使われている燃料電池の技術を応用した電源回路、そして宇宙用に開発された新合金製の内部構造が使われているんですよお!」

「おお、これはすごいハイテクの塊です。って、電源に燃料電池ですか?」

「……いえ、『燃料電池の技術を応用した電源回路』です。電源は単一電池3本を使います」

「……えー、超強力モーターというのは」

「人工衛星などにも使われる、強力なトルクを持つモーターの設計を応用したモーターを二機内蔵しています。大きいほうは竿のスイング・伸縮とパールの回転、小さいほうははヘッドの内蔵ローターに使用されています。設計上、人体が発生可能なあらゆる締め付けを無視して体内を掻き回せる出力を確保しています!」

「それはすごそうですね」

「それでは実際の動きをみてもらいましょう」

 マキはそう言ってバイブの底部についた主電源スイッチをオンにすると、二つついたダイヤルの片方を回した。低い振動音と共に先端が震えだし、そこから生えた柔軟な突起がそれにつれて複雑にゆれる。

「この先端部分には独立したローターが内蔵されています。そしてこの柔軟な突起がその振動を余さず伝えてくれるんですよお」

「これは気持ちよさそうですね」

「子宮口に、はたまた直腸行き止まり結腸部に、お腹の奥底にダイレクトヒットです!」

 マキはそこでいったん先端のローターを止めた。もうひとつのダイヤルを回し、今度は別のモーターを動かす。先端と胴の継ぎ目部分で回転と伸縮を伴う動きが起こり、それと共に無数のパールが回転をはじめる。

「今度はこちら。スイングとピストンの同時動作、そしてこのパールの回転が、膣または直腸への完璧な刺激をお約束します!」

「こ、これは強烈そうです。しかしパワーのほうは大丈夫なんでしょうか?」

「それではミキさん、ちょっとこれをぎゅっと握ってみてください」

「こうですか――これはすごい、想いっきり握っているのに動きがぜんぜん変わりません!」

「このバイブは人体の括約筋が理論上出しうる限界筋力で締め付けられても動作可能な設計になっています。これはNASAが研究した最新の人体工学理論に基づいた設計なんですよお」

「それは完璧ですね! でもお高いんでしょう?」

「この超強力ハイテクバイブ、今回はなんと8,900円、8,900円でのご奉仕です。入荷数量は限定百個、急がないと売り切れちゃいますよお」

「これは見逃せませんね!」

「さてそれでは、これを実際に人体に使うとどうなるか、実験してみましょう」

 マキとミキに視線を向けられて、分娩台上のエミコがびくりと身を震わせた。その視線はマキの持つバイブレーターに釘付けで、全身が小刻みに震えている。

「おや、実験動物さんはなにやら怖がっているようですよ?」

「うーん、このバイブは大きいですからねえ。いきなり入れたら体を傷つけちゃうかもしれません。そんなときはこれ――」

 マキはバイブレーターを術具台に戻すと、もっと細い棒状の器具を取り上げた。

「アナル拡張スティックの出番です!」

 マキが取り上げたのは、プラスチック製の棒の軸上に螺旋が刻まれた器具だった。先端から根元にかけて緩やかに太くなっていく構造が、掘削用のドリルを連想させる。

 マキが取り上げたのは一本だけではなく、小指程度の細い物から先ほどのバイブより多少太い程度の物まで、大小合計5本があった。

「これを使ってあらかじめ拡張しておけば、初めての方でもこのバイブを楽しめます!」

「ほほう、これは至れり尽せりですね」

 マキとミキは――獲物を前にした肉食獣のような――笑顔を浮かべながらエミコを見た。

 滑らかなプラスチックの螺旋が、回転しながら肉の洞に潜り込んでゆく。ローションにまみれたそれは肉の環の締め付けを無視し、逆に自らの太さでそれをこじ開けてゆく。

「はいっ、一番太いところまで入りました」

「あらあら、こんなに拡がって。客席の皆様、よーくご覧になってくださーい」

 マキの手によって回転しながら押し込まれてゆく拡張スティックが、エミコの肛門を容赦なく押し広げてゆく。スティックはすでに三本目で、大人の親指よりも一回り太いぐらいの太さになっている。

 押し広げられて震える肛門と、容赦なく肉穴の中に食い込んでいるプラスチックを、ミキの構えたハンディカムが捉えている。カメラから伸びたコードはステージ上に運び込まれたハイビジョンテレビにつながれ、エミコの肉穴が器具に犯され拡張される様子を鮮明に映し出していた。

「はあーい、それじゃ次にいきましょうねえ」

 ずぼずぼと淫靡な響きをさせながら、スティックが引き抜かれてゆく。押し込むときとは違い回転を与えられずにまっすぐ引き抜かれたスティックが、その螺旋の凹凸でエミコの肛門を嬲る。ねじれの山が肛門を一つ通り過ぎるたびに、エミコは苦痛とも快楽ともつかないうめき声をあげた。

「はいっ、じゃあ次は4番ですねえ」

 次のスティックにローションをたらしながらマキが言う。マキの手にしているスティックは、一番細い先端部でも大人の親指並、根元付近では成人男性のペニスに匹敵する太さだった。

 温感ローションをたっぷりまぶされててらてらと光るスティックの先端が、エミコのアヌスに押し当てられる。やっと閉じることが出来たばかりのアヌスを再び押し開かれ、エミコは息を飲んだ。

 ぐるり、とスティックが回転し、アヌスが一回り押し広げられる。抵抗するように震えるのを無視して、もう一回転。さらに一回転。そしてまた一回転。

 プラスチックのドリルが回転するたびに、エミコのアヌスは押し広げられてゆく。スティックが潜り込んでゆくにつれて細かい襞になっていた肛門はぴっちりと広がり、やがては張り詰めたようになってゆく。

 エミコのアヌスが無慈悲に押し開かれ拡張されてゆく拷問じみた様は、カメラに余すところ無く捉えられモニターに映し出されている。それだけではなく、固く怒張して、既に股間まで蜜を滴らせている男根も――全てが衆目に晒されていた。

 再びスティックが根元付近までアヌスに埋まる。ほぼペニスと同じ太さの棒をくわえ込んだアヌスは、おそらく男に犯されているときと同じような状態だろう。普通ならばなかなか目に出来ないその状態が、今は数十人の目線に晒されていた。

「はーい、それじゃ抜きますねえ」

 再び濡れた肉がこすれる音がし、スティックが肛門粘膜を嬲りながら引き抜かれる。エミコの痙攣と共に、分娩台が軽く軋んだ。

「じゃあ最後、今度はちょっと太いですよお」

 マキの手にした最後――五本目のスティックは、先端こそさほどでもなかったが、付け根近くの一番太い部分では一般的な男性のペニスを明らかに上回っていた。男の物より一回りは太いそれを、マキはエミコの目の前にかざす。

「これが終わったらさっきのバイブを入れてあげますからねえ。楽しみですねえ」

 ボールギャグを噛まされたままのエミコはもちろん何も答えることは出来ない。スティックに釘付けの視線が意味しているのは、恐怖感か、それとも快楽への期待か。

 衆人環視の中、最後のスティックがアヌスに押し当てられた。

 粘液でぬめった音をさせながら、最後の拡張スティックが引き抜かれた。エミコのぽっかりと開いたアヌスは、一拍おいてから名残惜しげに閉じていった。

「はあい、それでは準備も整いましたので、本番にいってみましょうかあ」

「おおっ、いよいよハイテクバイブの威力が露になるんですね!」

「ミキさん、カメラをしっかりお願いしますね。お客様にはバッチリ見てもらわないといけませんから」

「はい、お任せを!」

 マキがバイブにローションをふりかけ、ミキの手にしたカメラがそれを映す。バイブの先端がエミコのアヌスに押し当てられると、モニターにはその光景が大写しで映し出された。

「ではいきます」

 無数の突起に覆われた先端が、肉穴を押し広げながら食い込んでゆく。エミコの背が反り返り分娩台が軋むが、太ももから足首までをマジックテープで固定され、手首もしっかり固定された状態では、足を閉じることも手で拒むことも出来なかった。

 やがてバイブの先端部――人体で言えば亀頭にあたる部分――がすっかり隠れ、一段細くなっている部分を肛門がしっかりと咥える形になった。

「はいっ、これで先端のローターがお尻に入りました。まずはこれから動かしてみましょう」

 マキの指がダイヤルを回すと、エミコの体内からくぐもったモーターの音が響いた。エミコの尻が震え、肛門が収縮してバイブを噛み締める。その様子は余さずカメラに捉えられ、モニターに映し出されてゆく。

「今、先端の突起が入り口の敏感な部分をくすぐってるんですよお」

「これは気持ちよさそうですね」

「おちんちんや指では出来ない、このバイブならではの刺激なんですよお」

 マキが軽くバイブを前後させる。抜き差しをする、というほどではなく、わずかに当たり所を変える程度の動きだ。

「!? 〜〜〜っ!」

「おおっと? なんだかすごい反応ですよ?」

「このようにちょっと角度を変えてやることで、気持ち良い部分を満遍なく刺激してあげることが出来るんですよお。先端から全方向に生えた突起が、どんな角度でも刺激を完璧に伝えてくれるんです」

「なるほど、一番感じる部分がどこにあっても大丈夫というわけですね?」

「はい、そのとおりです」

 そこでマキはいったんローターを止めた。エミコは再びぐったりと分娩台にもたれ、ボールギャグの隙間からふうふうと激しい息をしている。

「さてお次は、スイング&先端ピストンのダブルアクションと、多重逆回転パールの威力を見てみましょう!」

「おお、これもなんだか凄そうです!」

「強力モーターの威力をとくとご覧ください!」

 マキの指が、ローターの振動調節ダイヤルの下にあるダイヤルにかかった。

 マキはまず、ダイヤルを一目盛りぶんだけ回した。

 バイブの先端がゆっくりと回転しながら伸縮をはじめ、同時にその下のパールの列が回転しだす。パールは全部で四段になっており、その一段毎に逆方向に回転している。

「〜〜〜っ!」

 エミコの咥えたボールギャグの隙間からうめき声が漏れる。あるいはギャグを咥えてさせられていなかったら、絶叫があがっていたかもしれない。

 回転と伸縮をするバイブが肉穴を責める様が、モニターに大写しになる。先端の回転に従って肉穴はゆがみ、伸縮にしたがってめり込み、捲くり返る。透明な被覆の下に銀色のメカニズムを光らせたバイブが充血した粘膜を蹂躙する様は、エミコを拘束する分娩台ともあいまって、手術か何かのようにも見えた。

「いかがです、この括約筋の締め付けをものともしないパワー!」

「うーん、まさに力こそパワー、といったところですか。しかしまだパールが入っていませんね?」

「はい、それではもっと奥まで挿入してみましょう」

 バイブが数センチ前進し、エミコの中に潜り込む。先端の回転部と伸縮部は全て体内に消え、パールの一列目がちょうど肛門にかかる位置に来た。

「〜〜っ、〜〜っ!」

 再びエミコの背筋が反り返り、分娩台を軋ませる。モニターには肉の環が回転するパールに嬲られる様が映し出され、スピーカーからはモーターの駆動音と濡れた肉の掻き分けられるしめった音が響いている。

「おお、これまた凄い反応です」

「パールを入り口にちょうどあてているので、凄い刺激になるんですよお。そして外からは見えませんがヘッドの動きは先ほどのままですから、中のほうも強烈に掻き回されています」

「これは気持ちよさそうです。今までのバイブでは満足できなかった方も、これなら大満足ですね!」

「はい。それでは最後に、このバイブの全力全開をお目にかけます!」

「これでまだ全力じゃ無いんですか?」

「はい。まずは一番奥まで挿入します」

 マキはそういうと、バイブを一気に根元までエミコの中に押し込んだ。外に出ている分は、コントローラーのほかはパールの四列目だけがわずかに外から覗ける程度で、残りは全てがエミコのアヌスの中におさまる。

「次にヘッドのローターも動かします」

 マキの指がダイヤルに触れ、先端部の内蔵ローターを起動する。エミコは再び震え、のけぞりながら体を捩じらせた。

「お次に両方を最大出力にして」

 二つのダイヤルが『MAX』の目盛りまで回され、カメラのマイクが拾うモーター音が大きくなった。振動音と回転するギアの噛み合う音がスピーカーから響き渡る。

「こうやってピストンしてあげます」

 マキは最大出力で動作するバイブをエミコのアヌスから出し入れし始めた。

 エミコのアヌスはえぐられ、拡げられ、こねくり回され、パールにこすりあげられる。その動きの一つ一つに、エミコは言葉にならない声をあげてのたうった。

 ずぼっ、と濡れた音がした。マキがエミコのアヌスからバイブを一気に引き抜いたのだ。暴れ回るバイブを乱暴に引き抜かれ、エミコはまたしてものけぞった。

 性器――といってもいい敏感な尻穴――を責めていた強烈な刺激がいきなり途絶え、エミコはぐったりと横たわりながらはあはあと荒い息を吐く。

「さてここで、実験動物さんに感想を聞いて見ましょう」

 ミキはカメラを術具台に置くと、エミコの声を封じていたボールギャグを取り外した。

「実験動物さん実験動物さん、超強力バイブの感想はいかがです?」

「はっ、はあっ、はあっ……、ふあい、とっても、きもひ、よかっられふ……」

 エミコが回らぬ呂律で何とか答える。その顔は涙と涎にまみれ、ギャグから解放された口元からもいまだに涎が垂れていた。

「はいっ、ありがとうございます。以上、体験者の声でしたー」

「それでは最後の商品の紹介に――」

「ああんっ、まだっ、わたし、いってないのおっ、もっと、もっと、わたしのおしり、けつまんこ、ごりごりしてっ、おねがい、いかせてえっ!」

 紹介を〆ようとしたマキの台詞をさえぎり、エミコが絶叫する。

「おやあマキさん、どうやら実験動物さんが壊れちゃったようですよ?」

「そうですねえ。ちょっとこのバイブが強力すぎたようです。それでは最後の商品で――」

 マキは術具台の上から二つの道具を取り上げた。

 一つは男根を模したゴム製の道具、いわゆるディルドーだ。モーターなどを内蔵していない、純粋な張形である。

 もうひとつは柔らかいシリコーンゴム製の筒――男性器に使用するためのオナホールと呼ばれる物だ。

「楽にしてあげましょうか」

 マキはにやりと笑い、エミコを見る。エミコは焦点の合わない目でマキの手の中のものを見ながら、『もっとお、いかせてえ……』とつぶやいていた。

「さてさて、最後の商品はなんでしょうか?」

「はい、こちらの二点です」

「これはディルドーと、もうひとつはオナホールですね?」

「本日の限定スペシャル商品です!」

「うーん、見たところ、ごく普通のディルドーとオナホールのようですが……」

「そうですね。機能的には一般的な市販の物と同じです」

「そうすると、どの辺がスペシャルなんでしょうか?」

「実はこの二つ、こちらの実験動物さんのおちんちんとお尻から作られた、再現商品なんですよお」

 マキの言葉に、客席の一部からどよめきが上がった。

 エミコはマグナハウスのホステスの中でも売れっ子で、固定客も少なからずついている。おそらくはそのような客があげた声だろう。

「ほうほう、『AV女優だれそれのオマンコを忠実に再現したなんとかホール』とかそういうのと同じなんですね?」

「はい。まず、こちらのディルドーは――」

 マキはディルドーをエミコのペニスに並べて見せた。ミキが再び手にしていたカメラがそれをアップで写す。片方は生身、片方はゴム製の二つのペニスは、確かに寸分違わぬ形、大きさだった。

「この実験動物さんのおちんちんを勃起させてから、医療用シリコンで型取りしたものです」

「なるほど、それはそっくり同じ形になりますね」

「外見だけじゃ有りませんよお。固めのハードラバーを芯に、外側を柔軟なシリコーンゴムで覆った二層構造によって、硬さや手触りも完全再現です!」

「なるほどなるほど。おや、よく見るとこのディルドー、先端に小さな穴があいているようですが?」

「実はこのディルドー、射精機能も再現しているんです!」

「射精機能ですか!?」

「はい、中心を細いゴムのチューブが貫通していて、底の部分はこのようにアタッチメントになっています」

 マキはディルドーをひっくり返すと、その底辺を指差した。ディルドーの底辺には金属製の差込口と、何かの固定用金具があった。

「こちらのプラグにこのポンプつきチューブを差し込んで――」

 マキは術具台から、細いチューブの途中にゴム球型ポンプがついた物を取り上げた。チューブの先端のねじ込み式接続金具をディルドーに繋いで見せる。

「こっちから液体を吸い込ませてやります」

 次に取り出したのは液体の入ったボトルだった。マキがそれを軽く振ると、白濁し、粘性を帯びた液体がボトルの中でとろりとゆれる。

「これは? 精液ですか?」

「こちらは商品名『ザーメンローション』といいまして、見掛けも触った感じも精液そっくりなんですよお。で、これを……」

 ボトルのキャップを外し、チューブの吸い込み口を入れる。マキがポンプを何度か握ると、白いローションが吸い上げられていった。

「こうやってポンプで吸い込んであげます」

 マキはディルドーの先端をエミコの顔の前に持っていく。目の前に突き出された擬似男根の先端を、エミコはぼんやりと見つめた。

「はいっ、ご覧ください!」

 マキがぐっとポンプを握ると、ディルドーの先端からローションが噴き出した。擬似射精がエミコの顔を射ち、白く染める。

「おおっと、これは面白いですねえ」

「さらにこのディルドー、この固定金具でストラップに固定することも出来るんです。女性のお客様にもご活用いただけるんですよ」

 ミキの手にしたカメラが、ディルドーの先端と、白いローションに汚れたエミコの顔をアップで捉えた。喘ぎながらディルドーを見つめるエミコの表情は、快楽だけを求めるとろけきった物だった。

 すぼっ、という音がした。エミコの固く勃起しきったペニスが、シリコーンゴムの筒に飲み込まれた音だ。

「こちらのオナホールは、××社のアナルホールを原型に、この実験動物さんのお尻を忠実に再現した商品なんですよ」

「ほほう、お尻を忠実に再現ですか」

「はい。直腸部の直径、奥行き、結腸までの長さ、肛門括約筋の締め付けなどを、膣圧計と内視鏡を使って実測しています。また、入り口部分の形状もシリコンで型取りしてあるんですよ」

「なるほど、完全再現ですね!」

「はい。この実験動物さんのお尻に挿入した時と寸分違わぬ感触を、おちんちんに与えてくれるんです!」

 マキはそういうと、エミコのペニスを飲み込んだオナホールを上下に動かした。ローションがぐちゅぐちゅと派手な音をたて、シリコーンゴムの内側に形作られた襞がエミコのペニスをこすり上げた。

「あっ、ふあっ、ひいんっ、ああっ、ひいっ!」

 ホールが上下するたびに、エミコの嬌声が上がる。ローションで扱かれて以来ずっと放置されていたペニスに強烈な刺激を受け、エミコは脳が焼けるような快楽を味わっていた。

「さてそれでは、お尻の方も責めてあげるとしましょう。ミキさん、このオナホールをお願いします」

「はい」

 ミキはカメラを置き、マキに代わってオナホールを両手でつかんだ。エミコの巨根を飲み込んでいびつに膨れたホールは、片手では指が回りきらない太さになっていた。

 一方マキは再びディルドーを手にすると、ミキが立っているのと反対の側に立ち、エミコのアヌスにディルドーの先端を押し当てた。

 温感ローションを塗りこまれて拡張スティックとバイブレーターに犯されたエミコの肛門粘膜は、さながら火傷をした肌のように敏感な状態になっていた。その敏感な場所に触れられ、エミコのアヌスがぎゅっと収縮する。

 すぶり、とディルドーがエミコのアヌスに食い込む。マキはぐりぐりとこじるようにして、エミコの体内にディルドーを押し込んでいった。肛門の締め付けを力ずくで突破し、傘の張った亀頭が肉の筒を押し広げながら奥を目指す。一方の入り口は、太い竿をくわえ込むためにみっしりと押し広げられている。

 自らの尻穴を犯しながら、自らの男根に犯される。エミコは今、そんなありえない感触をペニスとアヌスで味わっていた。

「さてそれでは、かわいそうな実験動物さんを安楽死させてあげましょうか。ミキさん、オナホールで思いっきり扱いてあげちゃってください」

「はいはい」

 マキの手にしたディルドーが激しく抽送され、ローションを撒き散らしながらエミコのアヌスを犯し始める。同時にミキの手にしたホールも激しく上下し、こちらもローションをこぼしながらエミコのペニスを扱き上げる。

「ひぎっ、いやあっ、うああっ、だめっ、しぬっ、しんじゃうっ、しんじゃううっ!」

 エミコの悲鳴を無視し、マキとミキは手にした道具を使い続けた。幾度も絶頂寸前で寸止めされていたエミコに、その刺激を耐える事など出来はしない。あっさりと絶頂に追いやられたエミコの体が再びのけぞると、拘束されたままびくんびくんと痙攣した。

「お、いっちゃったようですねえ。ホールの中に熱いのが出てるのが分かりますよお」

「あ、ミキさんミキさん、中身をこぼさないようにホールを外してください」

「? はい、こうでしょうか」

 ミキはホールを引き抜くとすばやくひっくり返し、挿入部――肛門にあたる部分――を上にした。その挿入部にマキはポンプの吸入口を差し込む。

「このホールとディルドーがあれば、こういう使い方もできるんですよ」

 マキはポンプを使い、ホールの中に溜まったエミコの精液を吸い込んでいった。精液はチューブを経由し、いまだエミコの体内にあるディルドーの先端から吐き出される。

「あっ、ふあっ、お尻の中、熱いの、出てるうっ!」

 エミコが再び体を震わせる。絶頂直後の敏感な体内に熱い刺激を受け、再び軽い絶頂に達したようだ。

「ほうほう、自分に中出しとは無駄がありませんねえ」

「はい、完璧なリサイクルで、とってもエコなんです!」

「……それはなんだか違う気もしますが。さて商品はこれでおしまいですね」

「はい。本日ご紹介した商品は全て、駅前裏道商店街の『ショップ○○』さんで扱っています! 特に最後にご紹介したディルドーとオナホールは、各30個の限定生産商品です! 皆様ぜひお買い求めくださーい!」

「それでは、本日の実演販売はこの辺で!」

「「またのおこしをおまちしていまーす!」」

 フロアに向かって大股開きのエミコの両脇で、マキとミキが一礼する。ステージの照明が落ちると、フロアから盛大な拍手が上がった。

―了―

* User's voice *

川 ^∀^) 「さて、お客様のご感想です」
川 ^∀^) 「まずは大学生Aさんと、ブティック勤務Rさんの声です」

A 『温感ローションを購入しました。
  これをボクの体に塗ってRちゃんの体にこすりつけると、
  ぽかぽかしてすごく気持ちいです。
  お風呂に入る時の楽しみが一つ増えました』

R 『温感ローションでAちゃんにマッサージしてもらうと、
  お仕事の疲れが溶けるみたいに消えてしまいます。
  今では私たちのバスタイムに欠かせなくなりました。
  素敵な商品をありがとうございます』

川 ^∀^) 「恋人同士のお二人に、無くてはならないアイテムになったようです」
川 ^∀^) 「Aさん、Rさん、お幸せに。さてお次は、高校生Y君です」

Y 『強力バイブ買いました。
  私はお尻の一番奥が一番気持ち良いところなので、
  先端内蔵ローターと伸縮機能のおかげで今まで使った
  中で一番気持ちよくなれました。
  パールで入り口をゴリゴリしながら奥を突かれると、
  何回もいっちゃいそうになります。
  このバイブはマイベストになりました!』

川 ^∀^) 「最後は女子大生のYさんです」

Y 『射精機能つきディルドーと温感ローションを購入しました。
  弟のお尻をディルドーでたっぷり犯してあげた後、
  ポンプで温感ローションを注ぎ込んであげると悶絶して喜んでくれます。
  今ではプレイにすっかり欠かせない一品になりました』

川;^∀^) 「えー、Yさん、過激なプレイはほどほどにしてくださいね?
      以上、お客様の声でした」
川 ^∀^) 「それでは皆様、ごきげんよう〜」