ベッドルームに淫靡な水音が響く。 アキが私の股間に顔をうずめ、女性器に舌を這わせている音だ。 私は首をのけぞらせ、両手でクッションをつかんで快感に耐える。
「どう、リカ?」
アキが顔をあげ、私に尋ねる。 その顔には楽しげな表情が浮かんでいる。
「ああ、やめないで、もっと、おねがい」
「あはは、リカったらすごい。リカのお父様が見たら、なんて言われるかしら?」
「んっ、アキこそ、こんなこと、伯爵様に知れたら、大変、よ」
「私はそんなドジはしないもん」
アキはそういうと、私のクリトリスを指で軽くはじいた。 電撃のような刺激が私の背筋を駆け上がり、私は達してしまいそうになる。
「ひゃうっ!」
「まだだめよー、最後は一緒に、ね?」
私の片足が持ち上げられ、その間にアキが体をわりこませる。 私とアキの女性器がまるで口づけするように密着した。
「私ももう、限界なんだから……」
押し当てられたアキの秘唇もすでに熱い粘液で濡れそぼっていた。 二人が身じろぎするたびに股間から妖しい水音がする。
アキが私の片足を抱え込み、私たちは腰を振りたてた。
● ● ●
「これで、最後ね……」
全裸の私を、同じく全裸の胸に抱き、力のない声でアキが言った。
「……うん」
私の応えにも力はない。
「私が男だったら、リカをあんな奴になんか絶対やらないのに……」
「……私こそ男だったら、アキを結婚相手に選べたのになあ」
お互いに言っても仕方のないことを言う。 これでは睦言というより愚痴のこぼしあいだ。
「アキ、最後に抱いてくれて、ありがとう。私、あなたとのこと一生忘れない」
「私こそ! 私もそのうち、家のために誰かを婿に取ることになると思うけど、愛してるのはリカだけだよ!」
私たちは口付けを交わす。涙がこぼれ、私たちの最後のキスは涙の味となった。
アキの涙を味わいながら、私は心の奥底で誓った。 もしもまたアキとめぐり合うことができたなら、絶対彼女に涙を流させたりしない。 一生を共にし、私のすべてをかけて彼女を守るんだと。
● ● ●
「……という夢を見たのよ」
朝食を食べ終わるあたりで、私の話は終わった。 向かいの席でトーストをかじりながら、アキちゃんはなにやら考え込んでいる。
「……その夢ボクも見た」
「え?」
「それで、生まれ変わったら男になって、リカちゃんをお嫁さんにするって決心してた」
「……えーと」
私たちの視線がDVDデッキに集中した。 夕べ寝る前に見た、レズものアダルトDVDの内容を思い出す。 確か、貴族の家柄に生まれた従姉妹同士が禁断の愛で結ばれるんだけど、 最後は政略結婚のために別れて……。
「寝る前に、あんなもの、見たせいかしら……?」
「……かなあ?」
アキちゃんも首をかしげている。
「ねえ、考えるの止めましょう?」
「え?」
「私たちが前世から愛し合ってたとしたら、素敵じゃない? そういうことにしておきましょうよ」
「……うーん、それはいいんだけど……」
「?」
「それだと、二人とも男に生まれて来たのは大失敗ってことに……」
「うふふ、じゃあ次は、アキちゃん女の子でおねがいね? 私が旦那さんになってあげるから」
「えー?」
「いやなの?」
「……ボク、オチンチン リカチャンニ イレタイ……」
「……えっち。うーん、でも私もアキちゃんに入れたいかなあ。 でも入れられるのも捨てがたいなあ。アキちゃんは、どっちのほうがすき?」
「……両方……」
「アキちゃんのえっちぃ。そんな事言われると、我慢できなくなっちゃうじゃない」
アキちゃんの赤くなってうつむいた顔を見ていると、私まで体が熱くなってくる。 夜まで我慢できるのかしら?
● ● ●
結局その日は、昼に一回ソファでアキちゃんに貫かれ (お掃除していたら後ろからアキちゃんが抱きついてきた)、 夜はベッドで私がアキちゃんを貫いた(アキちゃんの好きなバックからだ)。 両方体験できるって事は、私たち二人とも身体は男でよかったのかも。 アキちゃんのアヌスを責めながら、次に生まれ変わるときも男同士でいいかなあ、と私は考えていた。
―了―