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オン・ザ・ステージ

 司会の口上が聞こえる。

『本日は、何処とも知れぬ独裁国家の治安機関が舞台です』

 袖からみえる舞台の中央では、兎の被り物にタキシードと言う珍妙な格好の司会者がマイクを手に口上を述べている。 あれはこのパブのオーナーなのだが、客どころか従業員にも素顔を見た事が有る人間がいないのだそうだ。

『悪逆非道な秘密警察幹部と、それに逮捕された無実の市民。 果たしてどの様な事に成りますか』

 思わず苦笑してしまう。 ちらりと横を見ると、『無実の市民』役のユキが緊張しながらステージと客席を見ている。 わたしは『悪逆非道な秘密警察幹部』らしい、きつい声を作って声を掛ける。

「なにを緊張してるのよ」

「ご、ごめんなさい、お姉さま……」

「あんたは私にされるままになってればいいの。 引き摺られたら抵抗する、質問されたら『知りません』か『違います』、拷問されたら『助けて』か『許して』。 簡単でしょ?」

「はい……、でも……」

「客席でアキが見てるのよ。みっともないところを見せたいの?」

「!」

 どうやらこれは効いたらしい。ユキは目を閉じて深呼吸をはじめた。

『其れでは、ショウの開幕です!』

 開幕が告げられる。 私もひとつ深呼吸をすると、ユキの両手をつなぐ手錠に結ばれたロープを引いて歩き出した。

● ● ●

 事の起こりは三日前、SMクラブでの一仕事が終わって控え室に戻ったときだった。

「ユカちゃん、ちょっといい?」

 オーナーの三河さんが声を掛けてきた。普段は事務所にいるのに珍しい。

「はい?」

「ちょっと出張のお仕事頼みたいんだけど、いいかしら?」

「? うちはデリバリーはやらない筈じゃ?」

「ああ、そういうのじゃないのよ。 あなた、二丁目の角のビルの地下にあるお店知ってる?」

「たしか、ニューハーフパブかなんかでしたっけ?」

「そうそう。そのお店でちょっと風邪が流行っちゃってね、ヘルプを探してるの」

「……私は一応女なんですけど?」

「自分で『一応』とかいっちゃだめよ……。 ま、それはさておき、探してるのはステージショウの出演者でホステスじゃないの。 演目の都合で、S役が出来る人を探してるんだそうなんだけど、どう?  出てくれたら時間給に出張手当て上乗せで出すわよ」

 要するに、M男(ニューハーフだが)を責められるS女を捜している、という事か。

 追加の手当てを出してくれると言うのだから問題ない。 特に断る理由もなさそうだ。

「かまいませんよ。いつからです?」

「よかった。あちらのオーナーさんが来てるから、着替えて事務所の方に来て。 お店の方は今日はもういいわ」

「はい」

 オーナーが控え室から出て行くと、私は急いでシャワーと着替えを済ませた。 短い廊下を通って事務所に向かい、ドアを叩く。

 コンコン。

「山瀬です」

「はいって」

「失礼しま……!?」

 事務所に入った私は言葉を失う。

 ドアの正面の応接セット。その向こうに簡易パーティションウォールと観葉植物。 見慣れた風景だ。応接セットのソファに座っているものを別にすれば。

 兎だ。どこからどう見ても兎だ。

 ごく地味なダークグレーのスーツを着た人物がこちらに背を向ける位置で座っている。 その頭は兎のマスクに覆われていた。 シュールだ。とてつもなくシュールな光景だ。

 絶句している私に向かってオーナーが声を掛ける。

「ユカちゃんこっち来て、ご紹介するから」

 オーナーに手招きされ、私は応接セットの脇に立った。

「こちらが先ほどお話した、当店従業員の山瀬祐香です」

「……はじめまして、山瀬です」

 私の挨拶に、兎頭が答える。

「始めまして、鈴木一郎と申します。この度は有難う御座います」

 挨拶はごく丁寧だ。が、巨大な兎の顔で言われるとなんとも言えない違和感がある。 名前の方もなんだか胡散臭い。英米系なら John Smith といった所だ。

「いやいや、本当に助かります。休業にしようかとも思っていたのですが、如何やらそうしないで済みそうです」

 話を聞いてみると、本格的に人手不足らしい。 私はふと、アキやリカ、ユキの事を思い出した。

「プライベートの知り合いに、ニューハーフが三人ばかりいるんですけど……」

 軽い気持ちで三人の事を持ち出してみる。 兎頭は、興味深げにアキ達の事を聞いてきた。

● ● ●

 こうして、私はショウパブの舞台にショウガールとして立っている。

 アキとユキはバニーボーイとして、リカはホステスとして短期契約した。 アキとユキはともかくリカは無理かと思っていたら、リカの勤めるブティックの店長があの兎オーナーと知り合いだったらしい。 兎のくせによく判らない人脈の持ち主である。

 さて、今日は二週間契約の二日目。 ローテーションの都合で、私とユキで舞台に出る事になった。 ユキは相当に緊張していたが、なに、かえってそれが初々しさを演出している。 客の反応もこちらから見る限り上々だ。

 私の服装は、黒尽くめのナチス親衛隊風の軍服。材質はエナメルだ。 シャツは着ておらず、襟元からレザーのブラが覗いている。 右手に短い乗馬鞭。左手はユキの手錠につないだロープを握っている。

 ユキは薄汚れた囚人服。アトラクション用の簡単に破ける素材で出来ている。 両手を金属手錠で拘束し、そのチェーン部分にロープが結ばれている。

 ステージには牢獄のセットがしつらえられている。 と言っても、背景用のコンクリート壁の書き割りと、鉄格子があるだけだが。 客席側から見ると、ステージのちょうど中央あたりに鉄格子が立っている形になる。

 私とユキは、ステージの客席から見て右手側から登場する。 抵抗するユキを私が乱暴に引き摺る形だ。

 鉄格子のところまでくると、私はユキを床に引き倒す。

「きゃっ!」

「ふっ、さあて、今夜も楽しませてもらうわよ」

「い、いやです、おねがい、許して……」

「許して欲しかったら、あんたの仲間の居所を吐きなさい!」

「な、仲間なんていません! 私、レジスタンスのメンバーなんかじゃありません!」

「ふっ、口が堅いわね。やっぱり今夜も拷問ね」

「本当です! 信じて下さい!」

 私はその言葉を無視して、ユキの背に鞭を振り下ろす。

 ビシッ!

 音とともに囚人服の背中が裂け、布切れが千切れ飛ぶ。

 この鞭はSM用の柔らかい物で、思い切りたたいたとしてもせいぜい多少赤くなる程度だ。 ただし音だけは派手に鳴る。 囚人服もアトラクション用の簡単にちぎれる素材で出来ているので、この鞭でも見た目は派手に裂ける。

「きゃあっ!」

 ユキが悲鳴をあげる。 大して痛みは無いはずだが、それでも鞭で打たれるという行為と、派手な音が恐怖感をあおるらしい。

 私は一撃目と交差するように二撃目を送る。 服の背中が×字型に裂け、その下の白い肌が露になる。

「ほおら、どう? 正直に言わないと、もっともっと痛い目にあうわよ?」

「うっ、ううっ、知りません、本当に知らないんです……」

「ふふっ、強情ね。もっと鞭が欲しいのね」

「いっ、いやあっ!」

 私はユキを鞭で打ちつづけ、一打ちごとに自白を求める。もちろん自白などありえない。 ショウのシナリオ自体が『無実の市民を嬲って楽しむサディストと哀れな犠牲者』というものだ。

 十数回目の鞭打ちが終わるころには囚人服の背中と尻の部分はぼろぼろで、肌を隠す役目を果たしていない状態になっていた。

 ステージの床にうつぶせたユキは、涙をぼろぼろこぼしながら荒い息を吐いている。

「いや……、いや……、もう、許して……」

 うつろな目でぶつぶつと呟いている、理不尽な暴力に痛めつけられた哀れな犠牲者の姿。 その姿が、私の中の暗い炎を煽り立てる。

 ――イタメツケタイ

 ――ナカセタイ

 ――モットモット、ヒメイヲアゲサセタイ

 私は暗い衝動に突き動かされるままに、ユキの手首をつかんだ。 引き摺り起こすようにして立ち上がらせる。

「ふふっ、まだまだよ」

「やあ、いやあ、たすけて、お姉ちゃん……」

「残念ね、あなたの『お姉ちゃん』はこんなところに助けに来てはくれないわよ」

 左手でユキの右手首をつかみ上げながら、右手でズボンのポケットから手錠を出す。 その手錠を鉄格子のバーにはめ、反対側をユキの手にはまる手錠のチェーン部分にかけた。 ユキが鉄格子から両手で吊り下げられる形になる。

 背中を鉄格子に預け、両手を挙げた姿勢で拘束されたユキ。 私はその胸に手を当て、控えめな乳房を鷲掴みにする。

「いっ、いたっ!」

「ふふっ、可愛い胸」

 ユキの胸はごく控えめなものだが、これは完全な自前だ。 高校一年生のころに美容サプリメント、二年生になってからは女性ホルモン剤や豊胸剤などを飲ませてきた結果、自然に発達してきたのだ。 当然、シリコンバッグや水バッグを挿入した胸とは違い、芯まで神経が通っている。 感度は高く、ユキの敏感な性感帯のひとつだ。

 その乳房を、私は鞭で打った。

「! きゃああっ!!」

 囚人服が裂け、ピンクの乳首と、赤く腫れた乳房が露出する。

「いやっ、いやっ、いやあっ!」

 ユキが涙を流しながら身をよじる。 手錠のチェーンがガチャガチャと鳴り、鉄格子が軋む。

 私はそれにかまわず、二撃、三撃と鞭を送った。 たちまち囚人服はぼろくずとなり、ユキの上半身はほとんど剥き出しとなる。

「どう? 自白する気になったかしら?」

 息も絶え絶えのユキに私は問い掛ける。 無論、肯定的な答えなどは期待していないが。

「し、知りません、私、レジスタンスなんかじゃ……」

「ふう、そうなの――もっと虐めて欲しいのね」

「! ちっ、ちがいますっ、もうやめてえっ!」

 私はユキの発言を無視すると、肩をつかんでその体を半回転させた。 ユキが鉄格子に向かい合う形になる。

 囚人服に手をかけ、ほとんどまとわりつくだけのそれを全て引き剥がす。 ユキの全裸が客席に晒される。 素裸に突き刺さる無数の視線に、ユキの羞恥が煽り立てられる。

 もっとも、正確にいえば全裸ではない。 ユキのペニスは、根元をサテンの幅広リボンで縛り上げられている。 射精を封じ、より大きな苦痛と快感を与えるためだ。 恥ずかしい部分をかわいらしい蝶結びで飾るリボンの存在は、ユキの羞恥心をよりいっそう煽っているだろう。

 私はいったんユキから離れた。ジャケットのウェストのベルトを解き、脱ぎ捨てる。 上半身はブラジャーとズボンをつるすサスペンダーだけの姿になる。 次いでズボンのジッパーを下ろすが、ズボンは脱がない。

 ズボンのポケットから、大型のディルドーを取り出す。 小さいペットボトル並の太さ、長さがある、XLサイズだ。 私はそれを、ズボンの下のストラップのアタッチメントに装着した。

 固定を確認して両手を離す。私の股間から、ほとんど人間離れといっていいサイズのペニスが首をもたげている。

 ズボンのポケットから、今度はローションのボトルを取り出す。 注入用ノズル付きのスクイーズボトルタイプだ。 私はそのノズルをユキのアヌスに無造作につきこむと、ボトルをぐっと握り締めた。

「! あっ、あんっ、いやっ、なに、入ってくる……」

 私はユキの言葉を無視してローションを注入し続けた。 ほとんど空になったところでボトルを引き抜き、残りをディルドーに注ぎかける。

「こっちを御覧なさい」

 ユキが恐る恐るといった仕草で振り返る。 ディルドーを目にしたユキが短い悲鳴をあげた。

「鞭は効かないみたいだから、今度はあなたのお尻に聞いてあげるわ」

「いや、いやあっ、そんなの壊れちゃう!」

 私はじたばたと暴れるユキの背後に迫ると、左腕でその左足を抱え上げた。 客席からは、ユキのアヌスとそれを狙うディルドーがよく見えているはずだ。 私はディルドーに右手を添えて安定させると、その先端をユキのアヌスにあてがった。

「ほら、いくわよ」

「やっ、いやあっ、やめてっ、やめてえっ!」

「やめて欲しかったら、素直に白状しなさい」

「ほんとに違うんです! わたしレジスタンスなんかじゃありません!!」

「ふうん、そう――じゃあ仕方ないわね」

 ずぶり。

 ディルドーの先端がユキのアヌスに食い込んだ。

「! あっ、ああっ」

 ずぶり。

 鰓の部分が肛門をくぐり、亀頭部がユキの中におさまる。

「うあっ、あっ」

 ずぶり。

 ディルドーは私の腰の動きにつれて容赦なく突き進み、あっという間に三分の一ほどがユキの中に入る。

「あっ、ああっ、うああっ!」

 ごりっ。

 ディルドーの先端が直腸奥に突き当たる。この部分はユキの弱点だ。 ディルドーの竿部分は三分の二ほどがユキの中に消えている。

「! ひっ、ああっ、あっ」

 ごりごりっ。

 私はディルドーの先端でユキの弱点をえぐる。 腰を左右にゆすり、ディルドーをユキの胎内で暴れさせる。

「あっ! いやあっ! そこっ、やめてえっ!」

 ずん。

 ディルドーをほんの一センチほど後退させて、すかさず突き入れる。

「ひっ! やめて、もう入らない、もう入らないようっ! おねがいやめてえっ!」

「……素直に白状したら、すぐに抜いてあげるわよ」

「しらないっ、しらないよう、いやあ、たすけてえ、お姉ちゃあん」

「ふっ、じゃあ仕方ないわね」

 それからあとは、単純といえば単純な往復運動だけだった。 ディルドーの往復にあわせて喘ぎ声が上がり、奥をつつくと甲高い悲鳴が上がる。 私はユキの絶頂を見切り、ぎりぎりのところで絶頂を回避しながら胎内を蹂躙し続けた。

 そして数十回の往復の果てに、ついにユキは限界を迎える。

 ユキの体がのけぞり、全身がびくびくと痙攣する。 私はユキのペニスを飾るリボンの端をつかむと、勢いよくそれを引いた。 戒めから解き放たれると同時に、怒張しきっていたペニスがすさまじい勢いで精を放った。 鉄格子の間を抜けて飛んだ精液が、ステージの上に音をたてて落ちる。

 ユキの痙攣が治まるのを待って私はディルドーを引き抜いた。 全身から脱力したユキが、力なく鉄格子にぶら下がる。 ぽっかりと開いた肛門からは、白く泡立ったローションがだらだらとたれ落ちている。

「ふふっ、これでも白状しないなんて、本当に強情ね」

「ほんとうに、レジスタンス、なんて、しらないんです、ほんとう、です、もう、やめて……」

「また明日も拷問ね。楽しみにしてなさい」

「いや、やめて、たすけて、もうやめて、おねがい、たすけて、お姉ちゃん……」

 ぶつぶつと正気を失ったように呟くユキの手錠を外し、私はその体を担ぎ上げた。 ユキを抱えてステージから下がりながら、兎頭の口上を背中で聞く。

 次回のショウではユキをなんと言って虐めてやろうかと考えながら、私はステージを後にした。

―了―

*** Bonus Pay ***

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( ・x・)「今日で終わりですね。お疲れ様でした」

川 ゚ー゚)「いえ、仕事ですし。ちゃんと料金は頂いてますから」

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( ・x・)「これは私から、あなたがたへの個人的な謝礼です」
   つ[ラブホテル無料宿泊券]]]]] ←五枚綴り

リリ ・ω・)「え、でもアルバイト料はもうもらってますけど……」

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( ・x・)「ええ、ですからこれはボーナスです」

川 ・ヮ・ノ「いいんですか?」

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( ・x・)「実はこの券は○○町風俗業商店会のキャンペーンの賞品のあまりでして。
    というわけですからどうぞお気兼ねなく」

リリ ・▽・)「わあい、ありがとうございます!」

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( ・x・)「それでは、またご縁がありましたら」