それはちいさな繋がり

「みなさん、今日は来てくださって、ありがとうございました!」
明阜莉里(あきふりり)の澄んだ一声で、握手会は終わりを迎えた。
地鳴りのような喚声と拍手に見守られ、彼女は楽屋に姿を消す。
今度のドラマも盛況だろう。
「いい会見だった。あまり緊張しなくなったな」
舞台の袖から精悍な男が声をかけた。
今をときめく人気俳優の一人で、今度莉里の相方を演じる男だ。
彼との会話を願う女性がどれほどいるだろう。
「ハイ、どうもありがとうございます!」
莉里は人懐こい笑顔を浮かべ、急くように楽屋へ駆けていく。
トイレだろうかと首を傾げつつ、男はステージへ消えていった。


莉里は、はぁはぁと息を切らしながら控え室へ飛び込んだ。
「どうかしたの、そんなに慌てて」
マネージャーの吉野がゆっくりと立ち上がる。
「あの、あの…えっと、その」
莉里はなぜか赤面し、スカートの端を摘んでいた。
吉野はすべて了解しているように、さっとスカートを捲る。
白い絹の高級そうなショーツが硬く盛り上がっていた。
可憐な少女にはけっしてある筈のないもので。
「ふふ、いつにも増してガチガチね。握手会で感じたの?」
吉野は怒張をくるむ股布を剥ぎながら言う。
先走りがとろぉっと糸を引いた。

明阜莉里がニューハーフである事を知る者は少ない。
ふっくらとした童顔にウサギのような愛らしい瞳、
まだまだ発展途上のすらっと細長いカラダ。
その愛くるしさは、老若男女を問わず人気を博していた。
彼の性はどこもかしこも子供のまま。
男根も水着の撮影に全く問題ない大きさだ。

しかし、女性ホルモンの副作用だろうか。
ウサギのような「彼女」には発情期があった。
半年に一度、性欲が尋常ではないほど盛んになる。
今日のようにどうしても融通のきかない日は別として、
数日間はいっさいの仕事を断らざるをえない。
それを知るのは現在、事務所の社長ともう一人、マネージャーの吉野だけだ。

「ふふ。あなた可愛いもの、いやらしく触られたでしょう。
 握手で済んだ?胸を覗かれたり、髪の匂いを嗅がれたりしなかった?」
吉野はカウパーで莉里の亀頭を弄びながら問う。
莉里のそこは彼女が使う香水の瓶よりも大きく滾っていた。
「や、やめて……。はやく、はやく鎮めてください…。
 わたし…なんども、なんども扱きたくて…いきたくて…!!」
莉里は顎から汗を滴らせて哀願する。
吉野は少し残念そうに笑うと、彼女へのお預けを解禁した。
口を軽くひらき、軟らかな唇の輪で莉里の肉茎をしごき上げる。
「ふぁ!」
少女は思わず叫びを上げ、すぐにその口を小さな手で塞いだ。

ぐちゅぐちゅと湿った音を聞きながら、少女は壁に背を預けて身悶えた。
玉袋を指で転がされ、尿道口を舌で掘り当てられ、カリを歯でソフトに擦り上げられ。
「……っ!………っっ!!」
誰もに愛される脚ががくがくと震え、長い汗を伝わせていく。
「もうひきたいんでしょう?いいあよ」
吉野は上目遣いで許可を出すと、一気に口を窄めて茎を扱きはじめた。
ぎゅうぎゅうと音がするほどに海綿体を引き締められ、少女が目を見開く。
「…ああ、ああああっ…!だめ、離して吉野さん、わたしもう出ちゃう!
 吉野さんの口の中でいっちゃうよぉ!!」
相手の口内を穢すのを気遣ってか、莉里は吉野の額を押しやった。
しかし吉野はそれを是とせず、華奢な腰を強く引き寄せる。
粘度のような暖かく潤った喉で亀頭を潰され、少女の脳が白く疼いた。

「…あ、あぅっ……!!!」
呆けたような声と共に、彼女は精の滾りをどくどくと吉野の喉奥に注ぎ込んでいく。
吉野はそれを旨そうに嚥下した後、勢いの落ち着いた亀頭をすすり上げた。
「あ、うあ、うあっ」
吉野が啜るたびに尿道からにゅるっとした物が溢れだし、
少女は壁についた腰を少しずつ落としながら恍惚に浸った。

タクシーの運転手は、ミラーを覗きながら動悸を高めた。
女優の秋阜莉里といえば、たとえ彼のような中年がファンであっても
誰にも馬鹿にされぬほどの国民的アイドルである。
その彼女がぐったりした様子で後部座席に掛けているのだ。
「疲れたのね、可愛い寝顔しちゃって…」
マネージャーの吉野が莉里の顔を覗きながら呟く。

しかし、莉里は寝ていたのではなかった。
彼女は熱に浮かされたような濡れた瞳で、吉野に寄りかかる。
 (吉野さん助けて、わたし、また勃ってきちゃったの…。
  こんないやらしい身体、もうやだよぉ……!)
吉野は内心で舌を巻いた。
口戯であれだけ搾り取ったというのに。
ペニスを付けたまま、女の格好でファンに握手をされたことが
それほど刺激的だったのだろうか。

ともかくも、火照った莉里をこのままにはしておけない。
無理に我慢させても、発情期が延びるだけだ。
「ここで結構です。下ろして頂けますか」
吉野に言われ、運転手は耳を疑った。そこがホテル街だったからだ。
「勘違いなさらないで下さいね。この子の気分が優れないので、
一晩休ませるだけですわ」
吉野は優雅にそういうと、湯当たりしたような莉里を連れて車を出た。

2人の理想的な後ろ姿に、運転手はしばし見惚れていたという。

「ずいぶん興奮したようね。これは徹底的に絞らないと」
少女をベッドに寝かせ、吉野は言った。
つやつやした黒髪、ようやくお椀になりはじめた乳白色の乳房、
すらりとした両の脚から覗く、肌より少し茶色いペニス。

吉野はそれらをじっと目に焼き付けた。
男でも女でもない莉里は、誰にもその桜色の裸を見せようとしない。
莉里を抱く事ができるのは、世界広しといえど自分だけ。
それだって少女が許してくれるからだ。
第一、今の自分の稼ぎはすべて彼女の頑張りから出ている。
彼女が自分を必要としてくれるから、浅学な自分が食べていける。
その幸せと有難さを、吉野は忘れないようにしていた。

「可愛い乳首が立ってるわ。弄られるのは嬉しい?」
吉野は桜の果実のような乳首を優しくつまむ。
んっという可愛らしい声がついてくる。
「泣きたいぐらい恥ずかしいです。でも吉野さんだと…ドキドキします」
ひらいた唇から甘い吐息を漏らしながら、莉里は囁く。
吉野はそれを目の当たりにし、秘所が熱く濡れるのを感じた。
もしも自分が男なら、たまらず彼女を貫いているかもしれない。

「いい子ね。ここでならたっぷり…していいからね」
吉野は、莉里の視線を感じながら衣服を脱ぎ去る。
肉感的ながらよく締まった裸体が露わになった。
少女の逸物が見る間に起ち上がり、皮に溜まっていた白い先走りが幹をつたう。
「いくわよ」
吉野は莉里の華奢な身体に跨ると、スプリングを沈み込ませた。

騎上位で交じり合う男根と女陰。
普通それで声をあげるのは女の方であろう。
しかし、相手が吉野では勝手が違う。
「あ、あっ、あっ!あっ、あああうっ!!」
愛くるしい顔をしかめながら、莉里は脚の指に力を込めた。
諜報員の色責めを思わせる膣の蠢きに。
ぎしぎしと浮き沈みするベッドが頭を揺らし、霞ませる。

  犯されている。

莉里の中にある「女」が歓喜していた。
背中に静電気が張り付き、波打つ。
身体に生えた芯が、熱いうねりに何度も何度も喰いちぎられている。
後ろの穴が勝手に収縮し、前立腺が触れらることなく軋む。
放尿をしているようなぬるさが常に肉茎の内外を流れる。
「熱い…。勝手に出したのね、駄目でしょ?」
自分に跨りながら激しく腰を使う女性が笑っていた。
その寒気のするほどの美貌からぽたぽたと汗が垂れてくる。
酸っぱいような甘いような、大人びた匂い。

「出た…んですか?わたし、もう腰がどろどろで…わかんない…」
莉里は柔らかい身体をベッドに溶かし、ただ男の猛りだけで存在していた。
涎を垂らす顔はどこまでもあどけない。
それを正面に見る吉野は、疲れさえ感じぬままさらに淡いを熱く濡らす。

「よしのさん……好き。すきです。」
熱く濡れた襞に怒張を咀嚼され、腰をがくがくと震わせながら、
ふいに莉里が言った。
恥ずかしいのか、頬を染めたまま顔を横向けている。
潤んだ目だけが、吉野のたゆむ胸と優しい顔を覗いていた。

「わたし…本当は握手会で興奮したわけじゃないんです。
 わたしのファンだって憧れてる人たちを見て、いつかのわたし……
 風俗街で出会った吉野さんに憧れる、男の子だったわたしを思い出して…
 今のアイドル扱いされる自分と重ねたら、何だか、た、たまらなくなって!」

言い終えぬうちに極まったのか、少女は吉野の膣奥に熱さを迸らせた。
「う、ん……っ!!」
奥深くへの突き上げに、さすがの吉野も腰を止めて歯を食いしばる。
一瞬締め付けが緩まった後のきつい収縮で、莉里は彼女も達したのだと悟った。

ぽすっと、吉野のやわらかな身体が力なく莉里に被さる。
こういう時、少女はやはり自分の身体の方がすこし硬いなと感じた。
好きな女性の体臭に鼻腔が満たされ、少女の怒張が娘の膣内でまた一回り大きくなる。
「あん、もぉ!」
膣への圧迫を感じ、吉野ははにかみながら莉里を小突いた。少し痛い。
吉野は少女に逝かされるのが屈辱なのか、達した後は決まって叩く。

「「…ふふっ」」
どちらからともなく、少女と娘は寄り添いながら笑いだした。
多忙な日々を送るふたりが、休息の刻を満喫する瞬間だ。

「このままあんたに付き合ってたら、腰が立たなくなっちゃうわ。
 そろそろ、お尻の穴を可愛がってあげる」
2人の身体中が互いの体液にまみれたころ、吉野は性器で繋がったまま
莉里の身体を持ち上げた。
折れそうなほど圧迫が増し、少女が大きく口を開ける。
吉野はローションをたっぷりと付けた指で莉里の肛門を抉った。
「ふぁあう!!」
少女の叫び。きちっぎちっといやらしく粘る音がその排泄の穴を満たす。
吉野はVの字にした指を回し、丁寧に腸壁を開いた。
莉里の腸奥が新鮮な空気に晒される。
十分に少女の蕾がくつろいだのを確認し、吉野は床に置かれた何かにも
大量のローションを浴びせた。
少女が振り返り、それを見て恐怖とも歓喜ともつかぬ表情になる。

「さぁ、可愛い女の子の莉里ちゃん。おしりを犯される時間よ。
 いつかみたいに、気持ちよくて暴れるのは無しね?」
吉野は莉里のちいさな手を後ろで縛り上げる。
少女は視線を惑わせ、期待と不安に揺れているのが明らかだった。
吉野に抱えられ、少女の華奢な肢体が床の冷たい剛直に沈む。
「ぃ、あ、っあああ……!!」
腰骨が開き、初々しい蕾が目一杯以上に皺をのばして、
彼自身の物とは比にならない大きさを飲み込んでいく。

骨盤を深く硬く抉られ、しこり起った男根を飲みこまれ、
国民的アイドルは身を震わせた。
後ろの孔から大量のローションを撒き散らし、腸液を垂らし、
愛する女性に何度も何度も精を吐く。
お互い狂ったように腰を打ち付け合い、穴という穴を穿ち合う。
やがて外が白むころ、ようやく彼女らは深い眠りにつくのだ。


迷い仔であったふたりが偶然に出会い、今を生き、
やがて幸せな未来へとつながる夢を見ながら。


                  おわり

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