『ドキッ!ペニスだらけの水着大会!!』

 大きな水飛沫があがった。
「うえっ、キモ」
 長いツインテールをいじりながら、三月ミユは眉をひそめた。なんで女流アーティストのアタシが、
こんなCSの深夜番組に出なければいけないんだろう?と。
 モデルも兼業しているほど美しいスタイル、思春期の不安を描いた歌詞、圧倒的な声量と高音で
支えられた歌唱力で獲得した人気も、低迷してから長い。俗悪なTV番組にも出なければいけない
バラドルという現状が、ミユには納得できなかった。
 眼前に広がるのは、南国のビーチを模した屋内プール。バブル時代に建設された不良債権で、
シーズンオフには地元住民もほとんど利用せず、低予算番組でも貸切にできたのだ。
 その薄っすらと青く着色された水際で、合成樹脂性の真っ白い砂をかきわけ、ビーチフラッグを
美少女が奪いあっている。
 昔なつかしのアイドル水着大会を、あえて21世紀に再現する、それがこの番組のコンセプトだ。
 撮影スタッフは少数で、男性タレントはリポーターと実況の芸人コンビだけ。一見すると水着の
美女や美少女がたわむれる華やかな空間だが……ここに戸籍上の女性は一人だけだった。
「素晴らしい熱戦が展開されております。アイドルのミユさん、いかがでしょうか?」
「ホント、みなさん、すごいですねー♪」
 実況に話を向けられたので、ミユは曇った内心を完璧な笑顔の仮面で覆い隠した。フリップの指示に
一瞬だけ目をやり、そのまま迷いなく口にする。
「まるで、本当の女の戦いを見ているみたいですぅ♪」
 金髪ツインテールの美少女が白いフラッグをうばって、高々と突き上げた。その細身にアンバラ
ンスなほど大きな、巨乳というより爆乳と呼ぶべき肉塊が左右にゆれ、かろうじて乳首だけを覆って
いた黄色い紐ビキニがはじけ飛ぶ。
 カメラはゆれる胸にズームイン。乳首のボカシもかけない。もちろん本来ならばCS放送といえども
規制するところだが、その勝者は本当は少女ではないのだ。
「イエイ!」
 カメラに向かってピースサインを決める少女の胸から腰へカメラの焦点が移っていく。健康的な
腹筋の下、特注の黄色い紐ビキニは、内側にソフトボールを入れているかのように丸くふくらみ、
ミユとは異なる戸籍上の性別を雄弁に物語っている。
 その股間部分をさらにズームアップし、薄い布で作られたビキニの奥に、柔らかくも平均より大きな
玉と、そのせいで股間にはさめない棒が布ごしに薄っすらと浮き上がっている様子まで、ハイビジョン
画質でモニターに映しだされた。
 そう、この番組は、海を真似た場所で、前世紀を真似た企画を、女を真似た出演者で再現したものだ。
 出演者の選別にあたっては顔の美しさだけでなく、水着で戦う企画のためプロポーションも完璧さが
求められた。それでいて、女性が参加していると疑われないよう、しっかりと男性器を残していることも
条件に入っている。

 軽薄が売りの芸人がかけよって、マイクを突き出しながらリポートした。
「ダメですよー、サツキちゃん。その大きな整形オッパイ、視聴者の皆に見えてますよ」
「……ヤダー!」
 サツキは顔を真っ赤にしてその場にしゃがみ込んだ。もっとも、顔は笑顔なので本気で嫌がっている
わけではない。だが……
 サツキが両腕で爆乳を隠そうとして隠しきれず、近づいてくるカメラと芸人の勢いに押されてしゃがみ
こんだ瞬間……
「サッちゃんの、もーらいっ!」
 スクール水着をつけた小柄な少女が、隙を見て白いフラッグを奪いとった。もちろん、こちらも戸籍上は
少女ではない。ゆるく広がる髪を風になびかせ、ゴールに向かってひた走る。
 胸は小さくひかえめだが、大きく柔らかな尻と、少女らしい白い肌、幼い顔つきに大きな青い瞳が、
紺色のスクール水着に似あっている。
 しかし別のカメラがスクール水着に接近すると、そのデザインこそ旧型に似せているとはいえ、肌にはりついて
乳首が浮き出るほど薄い、シースルーの布地で作られていることがわかった。そして太く長いふくらみが
股間から上向きに収納され、先端がヘソのあたりまで達していることまで映し出された。
「あ、待ちなさい、ズルイよマリア!」
 叫ぶサツキにリポーターが追い討ちをかける。
「どっこい、ルール上はアリです!」
 マリアが偽っているのは、性別や水着だけではない。サツキはもちろん、平均的な成人女性よりも身長は
低いが、すでに年齢は四十を超えている。
 その可憐さは、入念なホルモン調整を行い、全身に数千万円単位の整形手術をほどこし、毎日のメンテを
欠かさないおかげだ。歯にいたっては全て抜いて差し歯にしており、瞳は一回り大きなカラーコンタクトレンズを
入れている。
 屋内プールの巨大スクリーンに、試合開始前のマリアに対するインタビュー映像が映し出された。

「青井マリアさん、本名は有馬岩男さんですが……」
「本名はヤメテー!」
 マリアが耳をふさいでイヤイヤと首をふる。その姿としぐさは、とても中年男性とは思えない可憐さで、ロケー
ションもあいまって海辺に住む妖精のよう。その腹部から股間に浮かぶ不自然なふくらみを見なければ、現役の
女子中学生モデルといっても通用する。
「失礼しました。ではマリアさんは、より女性らしくあるために、がんばって少女らしい外見を保っているのでしょうか」
 今度は嫌がることなく、むしろ誇らしげにマリアは胸をはって答えた。
「ううん、違うよ。あたしは昔から可愛い女の子だけが大好きだったの」
「はあ……?」
 困惑する芸人に、マリアはびしっと指をさして言い切った。
「好きで好きでたまらなくて、あたし自身が可愛い女の子になりたかったわけ。だからオナ(ピー)も、いつも鏡に映した
あたし自身なわけよ」
 さすがに今回は自主規制が入った。しかしマリアのインタビューは続いていく。
「いっちゃ悪いけど、あたしオカマは嫌いだし。あたし自身のチン(ピー)は気持ちいいから工事せずに残しているけど、
仕事がそれしかなかったからニューハーフクラブで働いていただけでさ、ずっと同僚のことキモいと思ってたもん。特に
ベタベタしてくる後輩がいてさー」

 走りながらマリアが叫んだ。
 しかしインタビュー映像は流れ続けて、屋内プールに流れる空気が悪くなっていく。
「ちょっと、アタシでもさすがにここまではいわないわよ……オカマの同属嫌悪ってやつかしら」
 ミユは、いろいろな意味であきれかえり、のけぞって背もたれへ体重をあずけた。
「どういうことですか、マリアさん!」
 後方から追いついてきた少女が叫ぶ。
 長い髪をポニーテールにし、赤いワンピース水着につつまれている肉体は、よく均整のとれた
プロポーションを形作っている。
 もちろんその全身も人工的に作られたものだが、サツキやマリアとは違って、手をかけない自然な美しさに
近づけようと努力していた。その股間を除いては……
「あ、プルミちゃん、あのアレはえっと……」
 ふりかえって速度を落としてしまい、しどろもどろになるマリアの腰に、プルミがタックルした。
 白い砂を模造した合成樹脂の粒が舞い上がり、二人にふりかかる。プルミはマリアを抱きしめるようにして、
いいつのった。
「キモいって思うなら、どうして私達をかわいがってくれるフリなんてしていたんですか!」
 水着風のレオタードに包まれたプルミのしなやかな肢体が、マリアの背中に押しつけられる。まるで幼い
美少女二人が波打ち際でたわむれているような姿だが、ちょうどマリアの尻のくぼみに、プルミの股間の
ふくらみがおさまるような形だった。

「でもさ、最後に入ってきたプルミちゃんとずっと仕事をしていて気づいたんだ。あたしってホラ、可愛い女の子
が好きじゃない? で、後輩をよく見たらさ……」

「ううう……」
 マリアはうなって頭をかかえるだけ。そしてインタビュー映像が流れ続ける。

「で、後輩をよく見たらさ、みんなレベルが高いわけよ。嫌いとかキモいとか思いこんでセーブしてないとさ、
仕事にならないじゃん? でもさ、したってくるプルミちゃんを追い出すわけにもいかないからさ、ずっとガマン
するしかなくて……でも、だんだん難しくなってさ……」

「え……」
 思わず体を離しかけたプルミの腕を、マリアががっしりつかまえた。
「プルミちゃんが悪いんだよ」
 体をひねってあおむけの姿勢になったマリアが、水着の股間を見せつける。
 古いスクール水着を真似たデザインゆえに、股間に水抜き用の穴が開いていて、そこからグロテスクな
肉の棒が鎌首をもたげていた。尿が出てくるはずの先端からは、半透明の液体がとめどなく流れ落ちる。
「プルミちゃんが来てからずっと、鏡を見ても少しもイケなくて、いつもプルミちゃんのことを思ってオナって
たんだよ? 店の宣伝写真に使うって口実で撮影した写真を持ち帰ったりしてさ」
 じっと真正面からプルミを見つめたマリアが、ふいに目をそらしていった。
「ゴメン……キモいのはあたしだったんだよね。プルミちゃんみたいに心から女の子になりたかった良い子じゃ
なくて、プルミちゃんみたいな可愛い子を犯したいと思っていた、有馬岩男っていう中年キモオカマだったんだよ」
 プルミは身を乗り出し、顔をそむけているマリアの耳元にそっと口をよせて、ささやいた。
「はい、マリアさんは信じられないくらいキモオカマです」
 うぐっ、と喉を鳴らしたマリアに、プルミは続けていった。
「とてもひどいキモオカマと思っている、私の大好きなマリアさんです」
「え……」
 見上げたマリアに、プルミはそっと唇を重ねた。最初はやわらかく、やがて濃厚に。
 ゆっくり唾液の糸を引きながらはねれていくプルミに、マリアはたずねた。
「どうして……どうして許してくれるの」
「だって……」
 プルミはほほえんで、自分自身の股間を指さす。薄い布地をつきやぶらんばかりにして、美しい少女の姿を
した少年のたぎる欲望が、染みを広げていた。
「だって私も、いつもマリアさんのことを思ってオナ……オナニーしていたんですから!」
 途中でプルミはどもり、顔は真っ赤に染まった。

 ミユがつぶやいた。
「えーとナニ、これ茶番?」
「いやあ、面白いハプニングですけど、途中からは編集でカットですねー。ニューハーフ同士の告白ドッキリという
台本だったんですが」
 苦笑いしながら実況が応じた。ミユは頭痛がする額を押さえる。
「なんで誰も止めないのよ……」
 ビキニの紐をとめなおしたサツキが愛しあう2人に追いついて追いこし、白いフラッグをつかんでゴールインした。
「イッチバーン!」
 人差し指で天をさして宣言する金髪ツインテールの美少女は、途中で横目で見ただけの2人の影響で顔を赤く
ほてらせている。カメラが避けている股間では、ビキニを完全にはみ出て怒張したペニスが天を指していた。
 浜辺で告白劇を演じた流れで愛しあう美しい2人を見て、他の参加者も興奮が押さえられない。誰もが美しい肉体を
最大限に魅せようとして特製水着を着用していたために、冷静さを装うことができない。わずかでも勃起すれば誰の目
にも明らかだ。
 大挙して男女のトイレに駆け込んだり、その場で隣の参加者と慰めあいはじめた。
 股間さえ見なければ様々な年齢の美しく可憐な女性たち、股間を見れば人工にして人外の美しさを持つ人々が、
屋内プールを淫蕩な空間に染めあげていく。

「プルミちゃん!好きぃ!大好きなのぉ!」
 マリアが小柄な肉体をプルミにこすりつける。その姿は、幼い妹が美しい姉に甘えているようでもあったが、たいていの
男性より圧倒的に硬くて野太いマリアのペニスが赤黒い先端から白濁液を断続的に噴出し、その発射に引きずられて
マリアの腰はバネじかけのようにプルミへ叩きつけられる。
「マリアさん、マリアさぁん……」
 愛する先輩とは対照的に、プルミはとろんと溶けた瞳で空を見上げ、水着を引っぱって端から取り出したペニスから、
ちょろちょろと精液を流れさせていく。心臓の鼓動とともにペニスがゆらぐが、さほどの勢いはなく、プルミの着用している
赤く薄いワンピースのヘソに精液を溜めていく。
「プルミちゃん、入れていい?入れていいよね?!入れたいの!プルミちゃんといっしょになりたいのぉ!どくどくびゅくびゅく
出したいのぉ!!」
 マリアが自分より背の高い後輩を押し倒す。男らしい力強さだった。
 きゃふっと可愛く声をもらしたプルミが、うるんだ瞳でマリアを見返す。
「やさしく……いえ、メチャクチャに……ずっと練習していたんですから!」
 プルミがポニーテールをふり乱し、叫んだ。長い両足をM字状に開いて、さらに自らの柔らかい尻肉を細い指でつかんで、
左右にひっぱった。
「マリアさん、プルミのケツマンコにたっぷり射精してください! 本当のオンナノコじゃないキモオカマの汚いケツメドをグチャ
グチャに壊してください!」
 プルミは、愛らしさと綺麗さをあわせもった整った顔を、せいいっぱいゆがめながら叫んだ。
「んほぉ!プルミの直腸をマリアさんで満タンにぃ!」
 しかし、マリアは自分のペニスを両手でしごきながら、尻にプルミのペニスが当たっているのを感じながら、いやいやするよう
に首を横にふった。
「ダメェ!ケツマンコなんて汚いのは、プルミちゃんは持ってないの!オンナノコよりオトコノコな可愛いプルミちゃんのプルミ
ちゃんはプルミちゃんでぇ!」
 自分でも何をいっているのかわからなくなりながら、マリアは精液をプルミの顔面にぶちまけた。
 髪をふりみだしたプルミの、小ぶりでつんととがった鼻が、桃色のやわらかく艶やかな唇が、黒く長い睫毛が、生臭い白濁液で
染められる。
「プルミちゃんの可愛い顔が、あたしのチンポ汁で汚されてくぅ!プルミちゃんはあたしのもの!あたしが全て染めてあげるぅ!」
 そしてマリアはプルミに顔を近づけ、自分で出したばかりの体液をなめとっていく。
 そんなマリアの舌はやがてプルミの唇のまわりをなめまわし、そして小さな唇の内側に侵入していった。
 そして2人は胸と胸を押しつぶさんばかりに強く強く抱きあい、たがいの暴れるペニスをからませ射精し、幸せを噛みしめるように
互いの体臭を嗅いだ。
「……結婚しよ、プルミ。本気で。籍も入れてさ」
 突然の言葉に顔を輝かせたプルミだが、すぐにその表情をくもらせる。
「ええ? でも私たち、戸籍は男同士ですよ……」
「あたしと養子縁組するの。それで、2人ともウェディングドレスを着るような結婚式をあげて、クラブのみんなも呼ぼうよ」
「その前に、インタビューでひどいことをいったこと、みんなに謝らないといけませんよ」
「うう……」
 今さら頭をかかえる先輩を見て、プルミはくすりと笑った。

 解説者用の椅子を倒しかけたほど勢いよく、ミユが立ち上がった。その顔は真っ赤だ
「こんなの、やってられないわ。アタシ、帰る!」
 銀色のミニスカートをひるがえして席を立とうとする。
 その正面に、よく似た銀色の服装に身を包んだ少女が現れた。銀色のカップに包まれた爆乳の先端がミユに向かい、その迫力で押しとどめる。
「仕事の途中放棄は、感心しませんね」
 特徴的な金髪のツインテール。水着から着替えてきたサツキだった。おたがい長いツインテールが特徴なので、髪の色のような細部を無視すれば
鏡を映しているような光景だった。
「アタシはアーティストなのよ! 女の格好をしてチンポおったてているような変態につきあう義務はないわ!」
 口を荒げて叫ぶミユを見て、サツキは心底からおかしそうに笑った。
「その、女の格好をした変態とは、ミユさんのことですか?」
「……違……!」
 銀色のミニスカートは、マリアとプルミがいちゃつきはじめたころから、風では説明がつかないほど
めくれあがっていた。
 サツキがさっとミニスカートを持ち上げると、水色と白の縞パンから、いいわけできないほど勃起した
ペニスが頭を出していた。
「あ……」
 サツキが肩をゆらして笑い、整形手術でたっぷり豊胸した爆乳がゆれる。
「ミユさんが声量をたもち続けるため去勢していないこと、過去を隠すためにいったんアメリカへ移民
して戸籍を変更したこと、わたしたちの業界では有名ですよ?」
 サツキがミユのペニスをにぎりしめ、軽くしごいた。ミユは苦しげに眉をひそめ、崩れるように椅子に
もたれかかった。
「アタシを、バカにしたいの……スキャンダルにして、金をかせぐの……それとも……」
 ミユはくちびるをかんだが、一瞬おそく、精を放出した。
 サツキの胸の谷間に体液がふりかかり、光沢ある服の表面で水滴となってとどまった。
「ニューハーフタレントを馬鹿にしつづけていた裏切り者へ復讐したいの?」
「ううん、どちらでもない」
 荒い呼吸とともに上下するミユの胸に手をおき、サツキはほほえんだ。
「あなたが来歴を隠したいなら自由にすればいい。でも、わたしは仲間が苦しんでいるのを放っておけ
なかった」
「苦しんでいるなんて、誰が……」
「あなたは本当は嘘が苦手。だから過去を隠していることに耐えられなかった」
「違う……」
「あの2人みたいに本心を出せなかったことが、ミユの歌から魅力を無くしてしまった」
 サツキはふりかえり、砂浜に座って指を握りあっているプルミとマリアを見つめて、ほほえんだ。
「本当にミユの心が女なら、戸籍を変えた今が本当だと思っていれば良かったのに。だけどミユは……」
 サツキはミユの胸をもみしだいた。小さな肉のふくらみを優しく愛情をこめてもんでいると、再びミユの
ミニスカートが持ち上がっていく。
「こんなにオトコノコでもある。ミユはオトコでありオンナでもある、完璧な歌手になれる素質があると、
わたしは思っている」
 そしてサツキはミユの股間に顔を近づけて、いった。
「だからわたし、客だったCS放送局の社長にたのんで、この企画を通してもらったわけ」
「そんな……」
 ミユの言葉は苦しげにとぎれた。サツキがほおをすぼめてミユのペニスを吸い、茎をなめまわし、皮を
甘く噛んで……その愛情に満ちたフェラチオにたまらず、ミユは腰が抜けるまで射精した。戸籍を変えて
日本に戻ってきてから、初めて他人の力を借りて絶頂に達することができた。

 ミユは椅子に座らされたまま、両足首をサツキにつかまれて、両足をV字に上げられた。
 そしてサツキは腰を少し動かして、手をふれずに自らのミニスカートをまくりあげた。その内側では、黒いエナ
メル製の合成皮革で作られた特注のビキニが、サツキの男性器を玉まで包み込み、あたかもSMクィーンが
愛用するペニスバンドのような見た目で、そそりたっていた。
 同じような近未来的ファッションをしたツインテールの少女が、椅子を利用して、いわゆる駅弁という体位に近い
形で抱き合っているような姿勢……
「これなら、浣腸しなくても大丈夫」
 サツキがにっこり笑って、ミユの尻に先端を近づけていく。水色の縞パンはずり下げられ、肛門がまる見えになっている。
「綺麗だ。ちゃんと処理しているんだね」
「バカ! あんたが良くてもアタシが良くない」
 ひくひくと収縮するミユの肛門にふれるかふれないかの距離で、サツキは進むのを止めた。
 どこに隠していたのか、ローションをエナメルに包まれたペニスへたっぷりかけて、サツキがささやいた。
「大切にするよ。わたしが持っているミユへの愛を全てこめて」
 そしてサツキはミユに顔を近づけた。天然の女性ではありえない爆乳がさすがに少し垂れて、ミユの美しい形に
ふくらませた胸に当たる。
「わたしは今でもミユの歌が大好きだよ」
 なんてずるいオカマだ、とミユは思った。オカマやニューハーフなどに自分は分類されないというミユの自意識を、
アーティストの誇りを、サツキは的確にくすぐってきた。
 気づけば解説席の周囲には誰もおらず、カメラマンもレポーターもプールに下りていっている。
 そしてミユの肛門はサツキのペニスを受け入れた。
「ふぁっ」
 巨大なサツキのそれは、エナメル革に包まれることで、なめらかに出入りできるようになっていた。
 しかし、たがいに深く呼吸しないと、肉が裂けそうで、血管が締めつけられそうになる。
「う、動かないで……」
「わたしも、動け、ない……」
 亀頭のふくらんだ部分だけが入り口に包まれたものの、サツキは顔をしかめたまま前にも後にも動かない。
 ミユは裂けそうな痛みをおぼえつつ、裏腹の快感でペニスをいきり立たせながら苦しげにいった。
「あなた、本当に……バカじゃないの」
「ごめ……わたしの、胸を……」
 ミユは自由な手をのばし、すぐ目の前に垂れているサツキの胸を、服の上からさわった。
 右に、左に、もみあげる。おそらく乳首があるだろう位置を中心として、ミユは知りうる限りの性知識を動員する。
「ミユ、わたし……!」
 何かいいかけたサツキが、いったん腰を大きく引くようにして、尻をふるわせた。
 放出された精は行き場がなく、一瞬だけビキニの先端をふくらませるような感触があったが、直腸の奥へ
先端がふくらんでいっただけで、メユの肉が裂けることはなかった。
 ずるりと肛門からペニスを引き抜いて、サツキが深々と息を吐く。そして汗ばんだ顔をメユの尻に近づけた。
「ちょっと、ナニ……」
 サツキは舌を伸ばし、そっとメユの肛門の周りをなめた。ローションの味に混じって、近未来的なファッションを
した美しい少女にはにつかわしくない香りが鼻を刺す。
「ひぐぅ!」
 痛みが快感に変わり、メユは思わず獣のような泣き声をあげた。しかし、すぐに涙声でサツキをとめようとする。
「やめ、汚いわ……」
「……メユを、気持ちよくしたいの」
「わかったから、次ははその……余計なものをとってからにしなさい」
 サツキが顔を上げると、メユが顔を真っ赤にしながら、視線を合わさないように横をそむけていた。
「今日はアタシきれいにしてないから。次の機会に、よ」
 サツキはメユの尻にむしゃぶりついた。
「メユちゃんカワイイッ」
 舌先を白く丸い尻のラインにそわせ、そのままぷよぷよした袋を経由して、肌色の茎を舐めあげる。
「ん……はぁ」
 バラドルがせつない吐息をもらした。
 サツキはさっとペニスから顔をはなし、メユの服のスソに手をかけ、ガバッと引きあげた。きたえた腹筋が深い呼吸で
ふくらんでは縮み、そのしなやかで弾力のある腹にサツキは指をそわせた。
「きれいなヘソ……でも、女とは高さが違うから男だってことがバレバレだよ?」
 にっと笑ってサツキはヘソの穴に舌先をえぐりこんだ。予想もしなかった敏感な部分に優しくふれられて、メユの体が
ほてりを増していく……
「んはあ!」
 メユは目を閉じ、涙を流しながら、再び精を放った。脈動するペニスは上下に精を撒き散らし、ツインテールの少女の
顔にもかかる。

 半透明の液体で汚されたサツキは顔をはなし、しかしいたずらっぽく笑って、ミユに顔を近づけた。
 男の体液の臭いがむっと香る、その女らしく美しいサツキの顔に、ミユは舌をはわせ、きれいにする。
 そして2人は甘いキスを、まるで小鳥がついばむように、おこなった。
「あなたには、また歌ってほしい」
 そうサツキがいった。
「わたしに、いい考えがあるの」
 そういたずらっぽく笑って。

 どこまでが茶番でどこまでが本番だったのか。今でもミユにはわからない。
 あるいは、CS放送局を持っているという社長が、個人的な趣味を満たすことを主目的として、大勢の
人間を巻き込んだのだろうか。
 問題のCS番組は現実に放映されたが、一日をかけて収録した内容は大幅に編集され、わずか30分間に
短縮されていた。マリアとプルミの告白劇はもちろん、乳首が放映されるようなハプニングもなく、単に大勢の
美人美少女ニューハーフが水着でしなやかな身体を見せつけるだけの、まるでプロモーションビデオのような
番組構成だった。
 それからしばらくして、記者会見が続けざまに二つ開かれた。
 一つは美少女ニューハーフ芸人として知られているマリアと、美人ニューハーフモデルとして活動している
プルミの、養子縁組が発表されたこと。あまり注目は集まらなかったし、マリアが持っている芸人枠の後継者
としてプルミを指名したのだろうと世間では受け止められた。しかし、ゲイやビアンの結婚事情にくわしい人間は、
記者会見におけるマリアとプルミの雰囲気とあわせて、2人が事実上の入籍をしたのだろうと感づいた。
 そしてもう一つは、アーティスト三月ミユのカミングアウトと、それにともなう事務所の方針変更。美人モデル
としても活躍していた三月ミユが元男性という事実は、それなりに世間を騒がせたし、移民してまで戸籍の性別を
変更した過去とあわせて、バラエティやワイドショーだけでなく真面目なニュース番組でも話題となった。そして
三月ミユは五月メイという新人とユニットを組み、歌手活動を本格的に再開した。
 ちなみにメイは、クールなミユとはまた違ったベクトルの明るい美人としてモデル活動も行い、2人はペアで
最大限の魅力を発揮するモデルユニットとしても評判を集めた。
「ひょっとして、あなた自身が歌手になりたかったから、アタシを利用したんじゃないわよね?」
「まっさかー」
 白いシーツに全裸でねころがりながら、サツキあらため五月メイはケラケラと笑った。すぐ横で同じように全裸で
ねているいるミユは、不信感を隠さない。
 そんなパートナーの長い髪を手櫛ですきながら、メイは笑った。
「わたしは、ミユの歌に惚れたんだ。わたしと同類だと知る前にね。だから、どうしても復活させたかった」
 そのまま、メイはミユに抱きつく。足がからまり、指をからめ、ペニスとペニス、巨乳と美乳、口と口が重なりあう。
 アンバランスなほど豊胸していたサツキは再手術し、歌手としてデビューするまでに、そこそこ自然なサイズの
巨乳に直していた。
「あんまり大きすぎると、肋骨が圧迫されて、まともに歌えるわけがないじゃない」
 そうミユに叱責されたのだ。
「えー、だってミユ、わたしのオッパイがそんなに気に入ってるじゃない」
 その瞬間まで乳首を優しく吸っていたミユは、サツキが泣いて謝るまで噛み続けたという。
 しかしクラブでショータイムの独唱を担当して鍛えあげていた歌唱力は確かなもので、五月メイはすぐにミユの
公私ともに大切なパートナーとなった。
「公私じゃない、ただのセフレよ」
 そうミユはマリアやプルミと会った時に主張する。
「定期的に処理してあげないと、あのバカは適当な相手とセックスしてスキャンダルを起こしかねないし。それで
迷惑するのはアタシだもの」
 しかし、ライブの終了時には感きわまって抱きあい、疲れてセックスなどできない日にも同じベッドで肌のぬくもりを
確かめながら眠る、そんな関係がいつしか生まれていた。
「アタシはセックスばかり考えるオカマは嫌いだから! だからあのバカは世界一嫌いだから!」
 これが、ミユとメイの出会いだった。
 ミユとメイのユニットが個性をいかしてペニストッキングのような新世代下着のモデルとして活躍する話や、ミユを
追いかけて米国から来た自称恋人との三角関係といった話は、また今度の機会に物語るとしよう。

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