ある水曜日の昼下がり。とある家のリビングルームのソファに、一人の少女が仰向けで 寝そべっていた。 ・・・少女の服は上半身がはだけた状態で、右手をブラジャーの中に差し込み、左手は 秘部をまさぐるようにショーツの中へ突っ込んでいる・・・下半身とソファーの間には厚 めの生地で出来たシーツが丁寧にしかれ、臀部の周辺は何かの液体でしっとりと濡れていた。 当の本人は恍惚の表情を浮かべたままぴくりとも動かない・・・と思ったら、閉じてい た瞼が突然見開かれた。 「ん・・・・・ん〜〜〜」 快楽を存分に味ったとしか思えない、艶めかしい表情を浮かべながらアリサはゆっくり と上半身をソファーから起こす。 「あ・・・またシステムダウンしちゃったんだ。」 彼女自身の『初体験』から 3 ヶ月。最初は攻められる一方だったアリサも調整 (←本 人談)を繰り返し、主導権を取り戻しつつあった。現在はお互いに心地よいタイミングで 達する事が出来るよう、アリサ自身が 更なる調整(しつこいようだが本人談)を毎日の ように実行し、自分自身のコンフィグレーションを弄くっているという状況のようである。 〜今回も調整だけのつもりだったんだけどなぁ (///) 10 回調整をすると、 7〜8 回は目的を忘れ、 最後までいってしまう癖がついちゃっ た・・・正直ダメだなぁとは思ってるんだけど・・最近は「ある方法」を使えば、ゆうき さんと一緒にイケた時の感触を再現しながら出来ちゃうもんだから、ついつい最後までやっ ちゃうのよね・・・。 ソファーを念入りに拭きとった後、汚れたシーツや下着を片づけつつシャワー室前の更 衣所で鏡を見る。 〜とてもじゃないけど、「ある方法」を使った時の私の姿はゆうきさんに見せられたもん じゃないわ・・。 いつもながら、「ある方法」を使った行為が終わった後の姿は、自分でも恥ずかしくな ってしまう。なんせ着衣の乱れや汚れはさることながら・・髪の毛は乱れ、顔は上気して 赤くなり、立った乳首が服の上からでもうっすらと見えている。いつもシャワーで身体を 洗ったあと、冷たい水で体表面の温度を下げて、やっと元通りになっていくといった具合。 でも、結果的にゆうきさんが喜んでくれるんだから、こんな私でも許してもらえるよね・・・。 いそいそと服を脱ぎながら、身体に異常が無いかチェックする。最初の頃は、調整が終 わった後に性感帯として設定されている箇所を少しでも触れようもんなら、全身から力が 抜けて立てなくなってしまうことさえあった。 〜そうなった時は大概ゆうきさんに助けてもらうんだよね・・・嬉しいけど恥ずかしい・・・ と、その後の事を妄想して身体をくねらせながらシャワーを浴び続けるアリサ タソ であった。 そしてシャワーを浴び終わり、奇麗な服を着終わった彼女の目に飛び込んできたのは、 柱時計が指し示す時刻だった。 15:00 「いっけない!!! 隣町のスーパーの特売セールに遅れちゃう!!!」 今朝の新聞の折り込み広告で見た、『バーベキューセット 1000 円(お一人様 1 パッ ク限定)50 パック限り』とか『紳士下着 上下セットで 500 円 お一人様3セット限定』 は特に見逃せない。 あわてて買い物バッグをひっつかんだアリサは、バス停に向かって ダッシュしていった。 「あ〜ん、まってぇ!」 アリサがバス停に走り込んできたのと、バスの扉が開いたのは殆ど同時。息を切らしながら 彼女は隣町のスーパーに向かうバスへ乗り込んだ。 「ふぅ、なんとか間に合った・・・」 自宅からバス停までは、普通に歩いて5分の距離。しかし、歩いていてはどう考えても間に 会わないと判断した彼女は全力疾走してきたのだった。アクチュエータが過熱してる・・・ 荒くなっている息は、放熱効率を上げるために彼女が備えている機能の一つ。アリサの世代 以前のホームメイドロボットは武骨な大型ファンで唸り音をあげながら放熱していたものだったが、 そういう部分でもアリサは発売当時では革新的なモデルだった。人間さながらに呼吸し、喋り、 表情を変える。そして何より、マスターにあわせて自らの心を変化させていく??そう、彼女達は ホームメイドロボット初の「成長する心」を手に入れたのだ。 〜 結局私たちは、日本で初めて各家庭に受け入れられた、量産タイプ初のメイドロボだったのよね。 隣町に近づくに従い、アリサしか乗っていなかったバスの乗客が徐々に増えてくる。(アリサと ゆうき君は、比較的郊外に住んでいるのです) そしてその乗客の殆どが、女性型メイドロボ だった。自分が生まれた頃に比べ、メイドロボの普及率は爆発的に増加している。今では国が ロボット産業発展を促すため、一家で一台メイドロボを購入できるように補助金を出している程だ。 〜 でも・・・ メイドロボはこの10年の間、飛躍的に進化したといってもいいだろう。アリサが既に3世代以上の 旧型になってしまうぐらい、ハードウェア・ソフトウェア共に日進月歩といってもいい進歩を遂げている。 そうした世代交代の中、アリサの姉妹・・・つまり、同型のメイドロボは数年前からすっかり姿を 見なくなってしまった。実際、彼女が今乗っているバスの乗客は、6〜7割が最新型のメイドロボだ。 最新型のメイドロボは、見た目も重量も、そして肌の質感も殆ど人間と同じ。アリサの各関節部分は 接合ラインが目立つが、最新型では殆ど判らないほど外装の成型技術が進歩している。 〜 なんだか寂しいな・・・わたしの妹やお姉様達、一体どこにいってしまったんだろう・・・ 数年前まではアリサの姉妹がどこに行っても見られたものだが、今ではメイドロボの登録データ ベースを検索しても、現存する姉妹を見つけることさえ困難になってしまった。稼働中の姉妹に いたっては、画面をスクロールさせなくても表示しきれるぐらい少ないのだ。 〜 壊れたり、捨てられちゃったりしてるのかな、やっぱり。 最新型のメイドロボの寿命は、アリサの世代に比べると数倍に伸びていた。アリサの世代で通常 約数年、丁寧なメンテナンスを施せば30年はもつと言われているが・・最新型は基本的なメンテのみで 50年もつとメーカーが豪語している程だ。それぐらい。素材や組立技術も進歩しているということ なのだろうか。その事を考えると、アリサは非常に幸せなユーザーに買われたといえるであろう。 現状のアリサの全パーツの内、75%は現行モデル用のものを流用してあった。これもひとえに、 ゆうき君の彼女への愛が成し得た事実である。(今のゆうき君にとって、現行モデル用のパーツを 少加工してアリサに取り付けるのは朝飯前だったりする) 〜 わたしがどうしても治らなくなったら・・・・ アリサが少しうつむいた時、バスの自動アナウンスが目的地についた事を告げた。 「いやいや、わたしとゆうきさんの愛は、それしきじゃ壊されない筈よ!!」 これからスーパーで繰り広げられる争奪戦に備えるべく、アリサは腕の裾をまくり上げながら 店内に突入していくのでありました。