・・・・ 各デバイスの認識終了 ・・・・

 ・・・・ シェルを起動中 ・・・・

「・・・・・・・はっ!!」 気がつくと、便器のウォシュレットが彼女の臀部に向かって水流を発射し続けていた。
 幸いにも服装には水がかかっていなかったようだ。アリサは体勢を立て直しながらウォシュレットの水流を
 止めた。身体の各部分を点検・・バッテリー残量45%、愛液残量は・・・わっ、5%!? 秘部に手を当てて
 みると、ほんの少しずつではあるが、愛液がじわじわと未だに分泌され続けているようだ。愛液を切らして
 しまうと、分泌システムのハードにダメージを与えてしまう・・・幸いにもさっきのバーゲンで愛液の予備を購入
 していたので、さっさと補充してしまおう。しかし、そう考えた矢先。

「もしもし!? もしもしーっ!! 大丈夫ですかぁ!? ぐすっ ぐすっ・・・」 どんどん どんどん

 若い女の声と、扉を叩く音がアリサを我に返らせた。そういえば再起動直後にアクティブセンサーに反応
 あったわね・・・って、この声はもしやっ!! 「だ、だいじょうぶですっ!! 今すぐ出ますからっ!!!」
 アリサは買い物袋から出しかけた愛液のボトルを慌ててしまい込み、下半身の汚れをタオルで拭きとる。
「ぜんぜんなんともないですからっ! ちょっと待ってくださいっ!!」 下着をつけ、スカートの裾を元に
 戻す。髪の毛も出来る範囲で整え、顔の汗もさっきのタオルで拭く・・・って、順番逆っぽいけどそんなこと
 構ってられないわっ・・・・・っと、出来上がり!!

 がちゃつ、バタムっ

「ほら、全然大丈夫って・・・・あ、あのーー・・?」 扉を開けたアリサの目の前には涙で顔をぐしゃぐしゃにした、
 先程別れたはずの少女が立っていた。
「ああ、よがっだ・・・悲鳴の後、1分以上声も呼吸音もなくなっぢゃっだがら、死んじゃったのかと
 思っだんでずよう・・・ぐずん」
 鼻水と涙でぐしゃぐしゃになった少女の顔を奇麗に拭いてやりながら(当然さっきのタオルとは別よ!)、
 なぜ少女がここにいるのか聞いてみる。

「・・・で、忘れそうになっていた買い物を済ませてトイレに入ったら、そこの個室から悲鳴が聞こえてきて・・」
 アリサは顔面がスパークで弾けそうなぐらい、恥ずかしさで論理回路が一杯になった。
 ぜ、全部聞かれてたのかしら??
「誰かが苦しんでると思って、聴覚センサのゲインを目一杯に上げてみたら、なんだか苦しそうな呼吸が
 10秒ぐらい聞こえてて・・・最後に雑音のような悲鳴のような音がしたと思ったら、それっきり水の音しか
 聞こえてこなくなっちゃって・・・ぐすっ」
 ・・・どうやら、絶頂に達する20秒ぐらい前から聞いていたみたいね・・私の声も悲鳴にしか聞こえてなかった
 みたいだし、上手く誤魔化せばバレないわよね。

「あの、ちょっと私、あれから調子が悪くなっちゃって・・・他の人に迷惑かけないよう、個室の中で色々と
 調節してたらシステムダウンしちゃったの。ほら、今はこの通りピンピンしてるから、もう大丈夫、ね?」
「うっ・・ほ、本当ですか?でもほら、脚がまだ震えてるじゃないですか。」
 よく見てるわね・・・実際、脚の震えが止まるまであと5分は掛かりそうだわ・・。
「あのー、私これから水冷ユニット用の冷却水を交換しないとだめなんです。2分もあれば終わりますから、
 少し待っててもらえますか? 荷物、お持ちしますから。」
 いや、お気持ちだけは・・と断ろうと思ったんだけど、そんなうるうるした瞳で見られたら・・・
「お、お願いしていいかしら・・?」 思わず頼んでしまったじゃない orz
すると少女はぱっと笑い、「それじゃ、ちょっと待っててくださいね!!」と言ってから個室に入って行った。

 ぱたん ごそごそ・・・・ばたん、するっ・・・

 しゃーーーーーーーーーっ

「え、ええぇえええ!?」 自分が先程まで妄想していた絵図が、今まさに目の前の個室の中で展開されて
 いるではないか・・・そうだ、思い出した。確か新型機種は水冷ユニットを身体の各所に搭載しているため、
 定期的に冷却水を交換する必要があるという話をゆうきさんに聞いたんだった。それにしても、まさか
 こんな形で交換するシーンにお目に掛かれるとは・・・・あの娘が、扉一枚隔てた向こうで・・・冷却水・・・
 いや、おしっこを・・・・

 ジュワッ どぐんっ

「んくっ・・・・・・・・っ!!??」 その瞬間、アリサは愛液の分泌だけでなく、まるで先程のキュウリが突然
 秘所に挿入されたような感覚に襲われた。「な、なぜ・・・」 はっきりいって何が起こってるのか理解でき
 ない。わかるのは唐突の快楽に耐え切れず、スカートの上から秘所を両手で抑えながら前かがみに
 なっている、鏡に映された自分の姿だけである。

「えっと、冷却水のボトルはっと・・・」 冷却水の排出音が途切れ、暫くしてから少女の声が聞こえてきた。
「あの、大丈夫ですかー?」 余程心配なのか、トイレの中から少女が声をかけてきた。自分は貴女の
 恥ずかしい姿を想像してこんなことをしてるのに・・・罪悪感が頭の中を駆け巡り、快楽が徐々に
 薄れて行く。 もう少ししたら歩けるようになるはず・・・そうしてる内に、水を流した音が聞こえ、
 個室の扉が開いた。

「ふー、初めて交換したけど大丈夫かな・・・・あっ、大丈夫ですかっ!」 アリサに駆け寄る少女。
「大丈夫・・・・って、あまりこの格好じゃ言えないわね。一応歩けるから、申し訳ないけど荷物もって
 もらえるかな・・・」
 紅潮している顔をあまり少女の方へ向けないように気をつけながら、アリサはふらふらと歩き出した。
 と、ここで気付いた。さっきので愛液の残量が0に近い。なりふりかまっていられない、補充しなきゃ。
 幸い補充液のボトルには、それが愛液ともろにバレるような表記はされていない筈。
「あの、ちょっとその買い物袋をこちらに渡してもらえないかしら」
「これですね、はいどうぞ」 受け取った買い物袋から、これまた特売でゲットした無印良品の補充液を
 取り出す。ボトルのキャップを開け、咽に補充液を流し込む・・と、その様子を見ていた少女がぼそり。

「へぇ・・その冷却水って変わった成分ですね・・。人工バルトリンセン液(濃縮還元)てなんですか?」

 ぶほっ!!! 思わず補充液を吹き出すアリサ。当の少女は小首を傾げ、真顔になっている。

「げほっ げほっ・・・よ、読まなくていいから! ちょっと向こうむいててくれないかな?」
「ご、ごめんなさい・・・」 少ししょげ返りながら顔を背ける少女。悪いことしたなと思いつつも・・・
 成分を真顔で読まなくてもいいじゃない! そんなことを思いつつ、補充完了。あとは指定された
 量の蒸留水を続けて補給・・・しばらくして愛液残量を再確認。残量100%、問題なし。愛液の分泌も
 どうやら完全に止まったみたいだし、なんとか歩けるわね。脚の震えが少し残ってるけど・・。
「じゃぁいきましょうか。荷物、重たいけどお願いね」
「大丈夫ですよ!お姉様!! 私、こう見えても結構力持ちなんですよ。」
「あの、お姉様って呼び方は・・・」 ああ、そうだ。お互い名前も知らないんだった。「わたし、アリサって
 いうの。貴女は?」
「わたし・・わたし、春菜(はるな)っていいます。よろしくお願いします、お姉様!」
 いや、だからお姉様じゃなくて・・・と言いかけて春菜の顔を見た瞬間、その笑顔に心を奪われるアリサ。
 ・・・・可愛い・・・それに奇麗。よくみると、今までのメイドロボと造形の仕方が違うのね。アニメ風じゃ
 なくて、メリハリがついてて鼻や眉間の左右にしっかりと陰影がつくような感じ。誰がデザインしたん
 だろう・・・。

「・・あのー、顔、赤いですけど大丈夫・・」 はっ、気がついたら見惚れてた!
「ほら、もう足も震えなくなってきたから、大丈夫。ね?」 少し大袈裟に歩を進め、春菜を安心させる。
「本当ですね!最初はどうなるかって思いましたけど・・・って、もうそこがバス停です」
 いつのまにかバス停についたみたい。あれ? 春菜ちゃんも同じバスに乗るのかな?
「わたし、○○町で降りるんですけど・・・荷物、大丈夫ですか?」
 なんたる偶然。自分が降りるバス停にジャストミート。
「わ、わたしもそこで降りるから・・・」
「それならお姉様の自宅まで荷物お持ちしますよ!遠慮はいりませんから」
 にっこり。これが人間の言う『天使の微笑み』というものかしら・・・
「お、お願いしていいかな」「当然ですぅ!」 傍から見ると、本当の姉妹のようだ。春菜の方が少し
 背が高いので、姉に見えるのがどちらか微妙だったが。
 そんなやりとりをしてる間に、目的のバスが来た。手をつないだまま、バスに乗り込んで整理券を
 手に取る。既に時刻は17:30を過ぎ、帰宅ラッシュと重なる時間だ。ラッシュはあまり好きじゃない
 (痴漢に遇う確立大)なので、いつもならもう30分早めにバスへ乗ってるんだけど・・・仕方ないか。
「・・ちょっと混んでますね・・」 バスの真ん中付近まで徐々に詰めながら春菜が呟く。
「まぁ、少し遅くなったから仕方ないわ。バッテリーの残量は大丈夫?」
「わたしなら大丈夫です。一日立ち仕事してても大丈夫なように出来てますから。お姉様は?」
「残り50%切ってるけど、大容量バッテリー積んでるから心配しないで。予備バッテリーも積んでるし。」
 まるで本当の妹が出来たみたいだわ。「春菜ちゃんがうらやましいわ。私なんて最近、バッテリーの
 もちがあまり良くないし・・・」 会話が弾んで楽しい反面、妹と自分の性能差を如実に感じたアリサは
 複雑な気持ちになった。

 日が暮れて徐々に暗くなって行く街中を、アリサと春菜を乗せたバスは走り続けている。アリサの予想通り、
 バス停に停車するごとに人間達がどんどん乗り込んでくる。この時間帯、メイドロボ達は自宅でマスターを
 迎えるべく、家事にいそしんでいるのが普通だ。春菜のセンサーにも、姉以外のメイドロボは反応しない。
「あの・・・お姉様」 会話の途切れに耐え切れず、春菜が口を開く。
「どうしたの?」 優しい声で姉が応えてくれた。「お姉様のマスターって、どんな人なんですか?」
 しばらく間があき、アリサが応える。「うーん、わたしのマスターはね・・・」

 と、その時。車内の【急ブレーキにご注意ください】ランプが点灯し、バスは激しい急制動を開始した。
「「きゃぁ!!」」 姉妹も思わず悲鳴を上げ・・その瞬間、二人の動作クロックは最高速度モードに遷移する。
 アリサの世代からメイドロボに装着を義務づけられている、「緊急対応機能」の一つが自動的に
 発動したのだ。一定値以上の急激な加速度変化をしたとき、不慮の事故からマスターと自分自身を
 守るため、彼女達の動作速度は限界近くまで引き上げられる。

 春菜のバランス保持ロジックがが通常の数10倍の速度でセンシングシーケンスを実行。彼女の慣性
 駆動型人工筋肉が素早く反応し、右足の着地地点をフィードバック値から予測する。人間の反射行動に
 近い動きを見せながら、春菜はなんとか点灯せずに踏みとどまった。とはいうものの、ラッシュ時の
 バスでは早々動けるものではない。自分の後ろに立っていた女性にもたれかかってしまった彼女は、
 女性に振り向いて謝った。
「ご、ごめんなさい!!」
 仕方ないわねぇ、気にしない・・という表情を女性は浮かべてくれた。よかった。ところでお姉様は?

 春菜が前を向き直ると、顔を真っ赤にして何かを必死に我慢しているアリサの姿があった。
「お、お姉様!?」 身体を支える為に設置されてる支柱が、アリサの胸の谷間にすっぽり挟まれて
 いる。更に、姉は両腕で胸を抱え込むようにしているため、その大きさがはっきりと判るぐらい
 乳房の形が強調されている。

「あ・・・・」 春菜の顔も真っ赤になった。なぜ?私、照れてる? お姉様があんな目にあってるのに・・!
「お姉もがががっ」 思わず大声をあげそうになった彼女の口が、アリサの手で素早く塞がれる。
”お願いだから、声を出さないで” アリサは赤外線通信機能を使い、妹へ必死で語りかけていた。

 赤外線通信機能・・・アリサが発売された当時、メイドロボ同士がワイヤレスで情報を交換するために
 搭載された、当時では最新の装備である。ここ最近の機種ではワイヤレスLANやブルートゥースに
 シェアを奪われ、余程の好き者でなければ装着しないオプション機能になってしまった。しかし、
 声を出さず的確に相手と通話する手段を、アリサはこれ以外に持っていない。

”・・・お姉様?” つ、通じた!! アリサと同じ、額に仕込まれた複合センサで受信しているしい。
”さっきので胸を少し打っちゃって、調子が悪くなっただけ。” 嘘はついていない。確かに少しだけ
 胸をうったが、調子が悪いのは胸ではない・・・。
”でも、すごく苦しそう!!そうだわ、バスの運転手さんに知らせて・・”
”だ、ダメ!!それだけはやめて!!!”
”でも・・・” 今にも泣きそうになっている春菜。そんな彼女を安心させるため、アリサは一計を案じる。
”ほら、胸部周辺のシステムダイアグ結果を送るから、回線開いて・・・・ね、大丈夫でしょ?”
”うん・・・でも、無理しないでね?” 姉から送信されてきたダンプリストを見て、少し落ち着いたようだ。

 まずは最大の危機を脱出できたわね・・・で、でも・・・あそこの制御が効かないのを何とかしないと・・

 アリサは性感帯から途切れることなく送られてくる快楽と格闘していた。だが正確にいえば、その快楽は
 性感帯から送られてきているものではない。その正体は・・・彼女の快楽中枢デバイスで有効になった
 ままのキャッシュメモリに残っている、夕方のキュウリによるものであった。

”な、なぜ・・あのキュウリの・・感触がまだ残ってるの・・・あああん!! む、胸の谷間に支柱が挟ま・・”
”お姉様?!”

 突如として昨日の夜の記憶がメモリーへ勝手に読み込まれた。これって、ゆうきさんのアレを
 胸に挟んで・・・わたしが自分で乳房を揉んで・・

 ジュワッ

 愛液が噴出した感触が、秘部へダイレクトに伝わってきた。ショーツが濡れ、股間が生暖かくなる。
「んはぁ」 熱い吐息と一緒に、声が漏れる。思わず秘部へ両手を回してしまった瞬間、今度はバスが
 急加速開始。アリサはバランスを崩し、ぐらりと後ろへふらついた。
”危ないっ!” 後ろに転倒しそうになる姉を、思わず抱き寄せる春菜。実は今の混み具合なら、バスの
 揺れに身を任せても転倒するような状況ではない。しかし、それを判断できるほど彼女は冷静で
 なかった。

 むにゅ

”んぁあっ” 支柱を挟み、アリサと春菜は互いにしっかり抱き合う状態になった。春菜の小振りだが
 張りのある乳房と、アリサの大きな弾力のある乳房が、互いを圧迫しながら密着していく。
 は、春菜ちゃんの乳房が・・私の・・私の胸に・・・この子の鼓動まで聞こえてくる・・?

 彼女の右胸に仕込まれたセンサーが、春菜の鼓動の高鳴りをしっかりと捉えていた。そう、これは
 ゆうきさんの心臓の鼓動と同じ・・・でもなぜこの娘が・・・ああんっ

 バスが路面の凸凹を通過する度に、アリサの乳房が揺れる。その揺れが春菜の胸に伝わり、互いの
 揺れが共振して、アリサの乳首に刺激を容赦なく与えていた。

 最新型のメイドロボ・・・春菜には、ユーザーに安心感を与えるために様々な新機能が奢られていた。
 その一つが『人工心臓』だ。とはいっても、彼女達に血液があるわけではない。さきほど春菜が補給した
 冷却水、これがこの人工心臓によって各所の水冷ユニットに送られ、最終的には人工肺に装備されて
 いるラジエータで熱交換を行う仕組みになっている。そして、その人工心臓は人間そっくりの鼓動を
 生み出すように設計されている。『心拍数』は熱量に比例しているだけではなく、彼女達の精神状態を
 反映するための「感情表現システム」の一部でもあるのだ。

 そう、春菜は今・・・生まれて初めて「どきどきする」感情を味わっていた。なぜだろう、お姉様と密着
 してから、胸のどきどきが止まらない・・・お姉様の熱い吐息が私の首の辺りにかかってくる。その
 データが論理回路に送信される度に、私の人工心臓が高鳴る。

 彼女は自分の体温がどんどん上昇していくことを感じていたが、いつもと違って体温上昇を抑える
 ことが出来ない。そして、乳房の、乳首のあたりに何か固いものが当たってる。そこから正体不明の
 データがどんどん送られてくる。これは、なに?

 彼女がそのデータを解析できないのも無理はなかった。春菜の快楽中枢デバイスはまだ認証が
 解除されていない状態なのだ。
”怖い・・・わたしのメモリーが訳のわからないデータに飲まれて行く・・・助けて、助けて・・・”
”・・ちゃん・・・春菜ちゃん!!”
 データで覆われた虚空の彼方から、姉の声が届いた。

”春菜ちゃん、聞こえる?”
”お姉様!わたし、こわい!!”
”だいじょうぶ、だいじょうぶだから” アリサは快楽と戦いながらも己を保っていた。トイレで行った
 コンフィグの書き換えが成功していたのだ。

”春菜ちゃん、ハンカチ・・今出せる?”
”だ、出せるけど・・どうするの?”

”よく聞いて・・そのハンカチで・・ぁぁん・・・私の股間を・・拭いて欲しいの” 今、バスの混雑状態は最高潮に
 達している。妹に股間を触らせても、その行為直接が見えるような状況ではないはずだ。それよりも、
 このままでは自分だけじゃなく、密着している妹のスカートまで私の愛液で汚れてしまう。彼女を好奇の
 目に晒す訳にはいかない・・・。今、アリサは妹に対する愛情に気付き始めていた。ゆうきさんに感じて
 いることとは違う、この娘を守らないといけない・・・それは、アリサの母性の目覚めでもあった。

”え・・・どうして?”
”詳しいことは、また今度話してあげるから・・ヒャンッ”
 赤外線通信でも姉の苦悶の声が時々届く。どうやら反論している暇はないようだ。春菜はハンカチを
 出した。
”出したけど、これをどうすれば・・・”
”腕の力を抜いて・・わたしに任せて”
 アリサは妹の手を優しくつかむと、密着している部位のスカートを上手くたくしあげ、自分の股間へ
 誘導した。そのまま、割れ目にそってハンカチを持った手を秘部へ滑り込ませる。
”あぁぁんっ!! ・・・そ、そうよ・・・そのまま・・・”
”お姉様のあそこ、濡れてる・・・なぜ?”
”それもいずれ、時がきたら・・・説明してあげる・・ンッ・・・”
 不意にバスがゆれ、ハンカチを押えていた春菜の手が前後に揺すられた。その瞬間、彼女の指が
 姉の固くなったクリトリスに触れる。

”'(%&'$%&%0)0=!!!!”

”お姉様!!しっかりして!!” 姉の雑音まじりの悲鳴を聞き、春菜は思わずハンカチを握っている手を
 ひっこめかけた。
”いや・・だめ・・そのまま・・そのまま続けて・・お願い・・・” 予想外の姉の言葉を聞き、春菜は一瞬狼狽した。
”どうして?お姉様、とっても苦しそう。”
”ちがうの・・・わたし・・・気持ちいいの・・・大好きな貴女にあそこを弄られて・・とても・・欲しいの・・・”

 妹の持っているハンカチは感触からして、どうやらタオル生地の厚めのハンカチのようだ。これなら、
 愛液の分泌量を絞れば何とか凌げるだろう。アリサは押し寄せる快楽の波を乗り切り、むしろそれを
 コントロールして楽しむ事が出来るようになりつつあった。

”こ、こう?” 妹が優しく手を動かし、わたしのクリトリスをもてあそんでる・・・
”あっ あっ あっ あんっ・・・そうよ・・・その固いものを、もっと弄くって・・・”
 言われた通り、アリサのクリトリスを指先で押し潰すように揉み回す。
”んぁあああああっ あぁぁーーーっ!!” これは悲鳴でも、単なる悲鳴ではない。歓喜の交じった、
 心地よい悲鳴だわ・・・
 春菜は姉のヨガリ声に心地よさを感じるようになっていた。もっと声を聞きたい。彼女は手の動きを
 更に激しくし、赤外線通信で聞こえてくる姉の声と、快楽に歪む表情の記録を開始していた。

 バスが大きく左右に揺れる。もうすぐ、今の乗客の大半が降りるバス停だ。確かその近所には
 大きな段差があって、バスの車体が大きな音を立てて揺れるポイントがある。イクならそこしかない。

 相変わらず高クロックモードで動作しているアリサの頭脳は、状況を素早く的確に判断した。そして
 妹に最後の指示を出す。

”ハァ・・ハァ・・春菜ちゃん・・・あと1分したら、バスが大きく揺れる場所があるの・・それと同時に・・・”
”それと同時に?” 姉の指示を漏らさず聞こうと、真剣な表情を浮かべる春菜。
”わたしの・・固いところを・・思いっきりつねって・・・”
”ええっ!そんなことしたら・・・お姉様が壊れちゃう・・・”
”だいじょうぶよ、そんなことで壊れる程わたしのあそこは・・・柔じゃないから・・・”
”・・・そしたら、カウント始めるね・・・”
”ありがとう。大好きよ、春菜ちゃん・・・”
 赤外線通信で言葉を交わした後、春菜は姉から送られてくるデータと同期し、正確にカウントを開始した。

 カウントが進む間、春菜は更に刺激を強くしていった。アリサのコントロールにより、愛液の分泌は
 タオルハンカチ一枚でぎりぎり吸収できる量に収まっていたが、それもそろそろ限界に達しようと
 している。まさにこれが最後のチャンスであった。

”お姉様、あと10秒・・・・8・・・7・・・6・・・”
”ぁんっ ぁああああんっ 頼むわよ・・ああっ” 身体が過度に反り返らないよう、背中のアクチュエータへの
 電力をカットし、妹の身体に手を回す。
”3・・2・・1・・・ゼロ!!” カウントゼロの瞬間、バスが大きな段差に乗り上げ、重力センサーが一瞬0を
 指し示したその瞬間。春菜は姉のクリトリスをつまみ、ヒネリを加えた。

「ーーーーーど が っ し ゃ ん !!!!!」 アリサが絶頂に達した瞬間、バスは段差を乗り越えて
 地面に着地。サスペンションが撓み、バスの車体が大きな音を立ててアリサの声をかき消した。

 へなへなと妹の身体にすがりつくアリサ。春菜は姉の股間から素早くタオルを抜き取り、上着のポケットに
 しまいこんだ。ぐちゃぐちゃになってるけど、上着のポケットなら染み出しても目立たない筈だ。
 少し離れた場所の席が空いたのを確認し、姉の腰に手を回す。アリサは妹の肩に手をかけ、ふらつき
 ながら空席に座り込んだ。

 アリサが達したバス停から更に10分走ったところにあるバス停で、彼女達以外の乗客は全員降りて行った。
 二人が同時にため息をつき、お互いに顔を見合わせて・・・・姉妹の顔から笑みがこぼれる。
「ありがとう、春菜ちゃん。貴女がいなかったら、どうなってか・・」
「わたしも良いものを見せてもらいましたから、お互い様です♪」
 ・・・良いものってなんだろう・・・私の恥ずかしい姿以外、彼女に見えてない筈なんだけど・・・
 そんな姉を知ってかしらずか、春菜の胸には新たな決意が芽生えていた。
 ・・・今はよくわからないけど、お姉様のあの声と顔、ものすごく良かった。どうやったらあんな事が
 できるのか、必ずつきとめる・・・

 そうこうしてる内に、バスは目的地に到着した。手をつないで降りるメイドロボ姉妹。その姿はバスに
 乗った時に比べ、とても自然な姿に見えた。

「これ、わたしのメールアドレスです。あのスーパに行く時、また連絡しますね」
「ありがとう、これがわたしのアドレス。また連絡するから。」
「じゃぁ、また今度・・・」 春菜は手を振りながら、アリサと反対方向に駆けて行った。さて、私も帰らなきゃ・・

 あれ? 身体が動かない?

 バッテリー残量確認・・・ぜ、ゼロ%!! ってことは、予備バッテリーは・・の、残り10%!!

 まずい。バス停から自宅まではそこそこ距離があるうえに、この残量だと途中で止まっちゃう。あ!!
 よく考えてみたら、春菜ちゃんに荷物持って行ってもらう約束だったのに・・・すっかり忘れてた orz

 そんな訳で、彼女は泣きながらゆうきくんに連絡し、迎えにきてもらったのでした。当然アリサは
 動けなくなる寸前だったので、ゆうきくんは彼女をおんぶして帰宅する羽目に。
「ふぇ〜〜ん、ごめんなさぁ〜〜い」
「・・今度バッテリー切らしたら、おしおきだからね・・・」
「そ、それだけは許してくださぁい (///)」
 夜の帳がおとずれるなか、2人は仲良く?帰路につくのでした。

(終わり)

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