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 side-A
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 1月の早朝5:25。まだ周りは真っ暗で、ジャケットを着込んでいても寒さが身にしみる。そこまで辛い思いをして、こんな
 神社の境内の奥にある林の中で息を潜めているには訳がある。もう少しすると。美津子さん…この神社の巫女さんが
 やってくる筈だ…彼女だけの「お勤め」をするために。

  美津子さんは一年程前からこの神社で働きだした人で、歳は僕より少し上ぐらいだろうか。今どき珍しい、腰まで
 届きそうな黒のロングヘアーを、背中で1本に束ねている。当然、服装は巫女装束だ。今年、大学受験のために
 勉強中の僕は、模試がある度にこの神社へ通うようになった…というのは半分建前で、本当の目的は美津子さんだ。
 最初にお祓いをしてもらった後の模試でかなりの高得点をとれたので、美津子さんにそのことを報告したら彼女は
 喜んでくれた…その時の笑顔が凄く可愛くて…まぁ要するに一目惚れ、というやつだ。
  それから僕は学校の試験や模試があるごとにお祓いをしてもらうようになった。彼女に報告できるように毎回
 気合いが入るもんだから、成績もどんどん急上昇。そのことを話す度に、美津子さんは本当に喜んでくれる。
 そんな彼女が、まさかこんなことをしてたなんて…。

 がさっ

 「!」き、きた…5:30ジャスト。 懐中電灯の明かりがこちらを照らす…しかし、僕はこのために迷彩色のジャケットを
 わざわざ購入したのだ、見つかる筈がない。身を低くしてそんな事を考えているうちに、美津子さんは、この境内の
 中で一番背が高い木の前で立ち止まった。きょろきょろと周りを見回すと、持っていた懐中電灯と…今日は箒か…
 その二つを地面に置く。そして、巫女装束の袴の帯をするりとゆるめ、袴を…膝下までずり下ろした。そして
 白衣の帯も緩めるが、これは完全に解かない。白衣の胸元をはだけさせ、隙間から手を突っ込みやすいよう、
 細工をしているのだ。
 「……」顔はよく見えないが、夜明け前の月明かりで美津子さんの下半身が照らされる。すらりと長い足が、
 白衣の合わせ目から見えている。そして、美津子さんは傍らにおいていた箒を手にとり、その柄を両足の間に
 ゆっくりと差し込んだ。
 彼女は箒を右手で支え、余った左手を白衣の隙間から潜り込ませて胸をまさぐっている。やがて、美津子さんの
 悩ましい声が静かな林に響きだす。

「んぁ…ぁ…ぁ……ぁっ……」 いくら早朝とはいえ、野外であることを当然承知の上でしているのだろう。声はかなり
 抑え目だ。ときおり吹く風で木々の騒めきにかき消されてしまう。
「ぁん……ぁっ……」 暫くすると、美津子さんは腰を前後に振り始めた。その軌道からして、どうやら右手で支えて
 いる箒にその…彼女のあそこ…をこすりつけているらしい。僕はまだ、女の子の”本物”のあそこを見たことがない。
 スケベな友人が裏だのなんだのといってDVDを無理矢理貸し付けてきた時、親に隠れてパソコンで見てるぐらいだ。
 それも、あまりいい印象がない。でも、美津子さんのは…美津子さんのは一体どうなんだ?
「ぁ……ぁぁ…あ…あっぁっ」 悶々と美津子さんのあそこを妄想してるうちに、彼女の腰の動きが早くなってきた。
 固唾を呑んで見ていると、彼女は突然上半身をそらせ、何時もの”悲鳴”を上げた。ネットで調べてわかったん
 だけど、これは…女性の”オナニー”だ。そして、あの声と身体の動きは、美津子さんが”絶頂”に達した証拠。
「はぁ…っ」 気の抜けるような声をだし、美津子さんはへなへなと地面に座り込んだ。いつもなら、ここで彼女の行為は
 終わりを迎える。いそいそと袴を履きなおして服装を整え、境内に戻って行く……筈だった。
”一体何をしてるんだ?” 美津子さんは乱れた白衣もろくに調えず、懐中電灯と一緒に持ってきていた紐のような
 ものを手にとった。そして、白衣の右袖に左手を突っ込み、なにかごそごそと弄っている。
”虫にでも刺されたのかな…” 一瞬を置いて、ぱしゅっという軽い音が一瞬聞こえ…そして次の瞬間、僕は…
 僕は信じられない光景を見た。
 美津子さんが袖に突っ込んでいた左手を抜くと…その手には彼女の右腕が…肩から先がそっくりそのまま
 引き抜かれてきたのだ。
「あ゛ぁっ!」 小さいが、明らかに痛そうな声が聞こえる。僕が見てるのを知ってて、マネキンの腕を仕掛けていたの
 だろうか?そんな疑問も、美津子さんの白衣の袖を見てふっとんだ。まるでハンガーに掛けているように、右袖が
 肩口からすぼまるように垂れ下がっている…本当に、本当に右腕が…肩からまるごと抜けてるよ…。
 腰を抜かしそうな僕を尻目に、彼女は右手の切り口(?)へ先程の紐のようなものを差し込んだ。そして紐のもう
 一方を垂れ下がった右袖に突っ込み…どうやら肩にその紐を繋いでいるらしい。「んっ」 僅かな喘ぎ声の後、
 僕の両目は漫画のように飛び出そうになった。

 ぴくっ…ぴくっ…ぐっ、ぐっ

 切り離された筈の右腕が、何事もなかったかのように動いている。肘も、手首も、指も…その動きが正常であるか
 どうかを確かめるように、手を握ったり開いたりしている。「…よし、じゃあ今度は…」 そう呟くと、美津子さんは
 残った左手で、傍らの木の枝をしっかり掴む。僕は、彼女が何をしようとしているのか瞬時に理解した。
「…はぁ…あっ!!」僕が予想した通り…さっきと同じ音がしたかと思うと、美津子さんの声と同時に、左手が
 彼女の胴体から離れた。彼女の左手は、木の枝をしっかりと掴んだまま…と思ったら、そのままどさりと地面に
 落ちた。美津子さんは身体から離れた右手を両足で器用に掴み、紐を右肩に差し込ませている。それが終わると、
 今度は左手側の切り口にその紐を接続。ほどなくして、外したばかりの左手も普通に動くようになったようだ。
 時々後や横に倒れそうになりながらも、美津子さんは必死で体勢を整えている…それはあまりにも奇妙な光景だった。
 まるで生きているマネキンを見ているようだ。今、美津子さんの白衣の両袖はだらしなく垂れ下がっている…
 当然だ、今の彼女には両腕がついてないのだから。そのかわり、右袖からは細い2本の紐…月明かり見えた
 のだが、何かのケーブルだろうか…が伸び、その先には彼女が取り外した、肩から先の両腕が繋がっている。

 「…上手くいくかしら…」 美津子さんは不安そうに呟きながら、大木にもたれ、両足をM字型にゆっくりと開いた。
 膝まで掛かった白衣を、両足を器用に動かしてはだけさせようとしている。彼女のは僕の真っ正面で、丁度僕が
 隠れている草陰に向かって足を広げていた。しかも、月明かりは僕の背後から照らされている。そして美津子さんが
 太股を大きく動かしたかと思うと、彼女のあそこを隠していた白衣の端がはらりとずり落ちた。
”…!!” ぼくは彼女に見えないように草陰の地面へ伏せているのだが、距離的には5m以上離れている。
 そこで僕は、ズボンのポケットから小さな双眼鏡を取りだした。今日のために通販で買った安物だが、
 その値段以上の効果を僕に見せてくれたのだ。
「…ない…何も生えてない…」 彼女のあそこは、裏DVDで見たような陰毛だらけの不気味なものじゃなかった。
 彼女の特徴でもある、素朴で飾り気のない…そんな股間の狭間に、割れ目がくっきりと見えている。
 声が出ないように興奮を必死でおさえていると、さきほどの腕が…なんと、彼女の割れ目を目指して這っていくでは
 ないか。
”こ、これは…” 僕はその両腕の切り口を見て、全てを理解した。両腕の切り口からは、その腕の白くて柔らかそうな
 肌からは想像できないものが…機械の部品が顔を覗かせていた。その隙間に、さっきのケーブルが繋がれている。

 彼女は…美津子さんは、ロボットだったのだ。
 美津子さんが…僕の大好きな美津子さんが…事実を受け入れられないまま、彼女の腕を呆然と見守る僕。
 双眼鏡の倍率を更に上げて、美津子さんのあそこを観察してみる。すると、さきほどまではよくわからなかった
 のだが、彼女のあそこには…割れ目の周囲を囲むように継ぎ目のようなものが見える。継ぎ目の上には、
 逆三角形の小さなガラスのようなものが埋め込まれているようだ。あんなピアスなんて見たことも聞いた事もない。
 それに、そのガラスは時々鈍く光っているようにも見える…人間が、あんなところが光る訳がない。
 更によく見てみると、彼女のあそこは何かで濡れているのか…てらてらと月明かりが反射し、光を放っている。
 その美しさに見惚れてかけた瞬間、視界の片隅から手が伸びてきた。そして…左手が割れ目を器用に開く。
”!!!” 割れ目の奥には、家の医療図鑑でしか見たことのない、”女の中身”が見えた。僕の股間が瞬時に
 反応する。彼女がロボットだったショックで忘れていた性欲が突然蘇った。
”うっ…” 左手で股間をおさえる。いきりたった僕のアレが地面に突き刺さりそうな勢いだ…。
 …美津子さんの残った右手は、割れ目の中にある何かを探っているようだ。「はぁ…はぁ…あぁ…んんっ」
 今までに聞いた事のない声を出しながら、美津子さんは上半身をくねらせている。そのうち、白衣がはだけた
 隙間から、美津子さんの胸が徐々にこぼれ出てきた…その頂には桜色の、可愛らしい突起。身体をゆっくり
 くねらせる度に、大きな乳房が揺れる。よくみると、乳首が白衣の裾に沿ってこすりつけられるように動いている…
 美津子さん、器用すぎ。
 乳房の揺れに見惚れていると、突然美津子さんの声色が変わった。「ぁぁあああああっ!!」 何かとんでもない
 ものに触れられたような声。あわてて彼女の股間に視線を戻すと、手の動きがさっきと全然違う。割れ目の
 中には右手の人さし指と中指が突っ込まれ、くちゅくちゅと音を立てながらいやらしく動いていた。一方の左手は
 割れ目にそって人さし指で何かを押え…その人さし指を激しく振動させている。
「はあっ…はぁ…そう…奥をもっと…」 美津子さんはしきりに、自分の腕に指示を出している。
「っぁああああっ!!そ、そこは…だめぇつ!」 髪の毛を振り乱し、腕に玩ばれていた。まるで、自分の腕では
 ないみたいだ。僕は妙に思いながらも、その光景を目に焼きつけようと必死で双眼鏡をのぞいている。
”…ビデオカメラもってくればよかった…” 少し後悔しつつも、僕は微妙に腰を動かし始めていた。こうすると、
 僕のアレのさきっぽが、下着にこすれて気持ちいいのだ。…服越しとはいえ、地面が相手だからちょいと
 痛いが…。
「んぁ、んぁ、んぁ、あああっ、い、いっちゃう…あたし、いっ…ちゃう…」涙と涎を流しながら、髪の毛と白衣を
 振り乱して喘ぐ美津子さん。未知のエロチシズムに僕はすっかり、周囲の警戒を怠っていた。(後日、その事に
 感謝することになるのだが…)
「ぁあ、ああ、あっぅあああ」美津子さんの喘ぎ声のトーンがどんどん高くなってきた。僕の我慢も限界だ…
 そう思った瞬間。

  ウ  ワ   ン  っ ! !

「「!!!!!!」」僕も、美津子さんも驚いて同時に飛び上がった。いつのまにか、僕の後ろに野良犬が
 近づいていたのだ。僕がいきなり起き上がった事に驚いたのか、野良犬はそのまま近くの茂みに飛び込み、
 逃げて行った。くそっ、折角もう少しのところだったのに…そう思った次の瞬間、呆然とした美津子さんと
 目があってしまう。
「……」 絶頂に達しかけた寸前、その行為をいきなり中断させらたこと。そして、何よりも僕が覗いていたこと。
 二つの衝撃が相乗し、彼女の動きは完全にとまっていた。乱れ切った白衣からは両胸の乳房が丸見えで、
 桜色の突起はぴんと立っている。そして、あそこは……なんと、腕は未だに動き続け、彼女のあそこを
 刺激し続けている…だが、その快楽も今の彼女の頭には全く届いていないようだ。
「…した?」どれぐらい時間が経っただろうか。先に口を開いたのは美津子さんだった。「見ました…よね?」
 僕は何も答えられなかった。片手には双眼鏡…どうみても覗きをしていたようにしか見えない。
「嫌…」彼女の目から、涙が…さっきとは比べ物にならないぐらい、こぼれ始める。「嫌…嫌ぁ…」
 そのまま彼女はよろよろと起き上がろうとしている。だが、両腕を取り外してある状態では上手く立ち上がれない。
「いやぁぁぁぁ!!!」 美津子さんは悲鳴をあげると、股間に手がはさまったまま無理矢理立ち上がり、その体勢から
 身体をよじらせて走り出そうとする。
「ーーーーーっ!!!」僕も立ち上がろうとした次の瞬間、美津子さんは自分の腕に思いっきりつまずき…
「きゃぁああああああああああっ!?」そのまま激しく、転倒した。両腕が無い状態であるからして、まるで
 全力疾走中だったようなコケ方だ。美津子さんはまだ動き続けている腕と一緒に、もんどりうって地面に転がった。
「み、美津子さん!!」 あまりにも激しいコケ方を見た僕は、今までやっていた事を忘れて彼女に駆け寄った。しかし、
 美津子さんは僕が近づく寸前、もの凄い勢いでもがき始めたのだ。その時、美津子さんが踏んでしまったように
 見えた彼女の両腕の機械部分は、パチパチと音をたてながら青い火花を散らしていた。

「みちゃい…ヴビッやっ!! おね゛ヴっ がっ いピーーー!」まるで、壊れたラジオのような、雑音の入り交じった
 悲鳴を上げ、白衣の裾を振り乱しながらもがき…苦しそうに何度も寝返りを打つ。苦痛で歪んだ顔は、僕を見る
 度に何かを訴えようとしている…その顔を見て、僕は足の動きが一瞬止まってしまった。そして、彼女は大きく
 反り返ったかと思うと、大きなブザー音を発し…そのまま、沈黙した。
 静寂を取り戻した林の中で、僕は体中の力が一気に抜けた…へなへなと地面にへたりこむ。「美津子…さん」
 呼びかけても返事がない。彼女の足にからみついた配線に繋がっている腕は、その動きをようやく止めたようだ。
 地面を這うように僕は彼女に近寄ってみる。美津子さんは、ぴくりとも動かない。最早着衣とは呼べない状態の
 白衣からはみだしている乳房も…胸も、全く動かない。呼吸が止まっている…
「死……」いやまて、美津子さんは…彼女はロボットだったんだ。これは死んでるんじゃない。
 しかし、この状況から見て…彼女が”故障”してしまったのは火を見るより明らかだ。僕の頭を、海より深い罪悪感が
 襲った。このまま彼女をほうっておくわけにはいかない…。意を決した僕は、彼女の着衣をできるだけ治してあげた。
 乱れた白衣を元に戻し、袴を履かせ…取れた両腕からケーブルを外し、見た目がわからないように袖の中に押し
 込む。最後にかっと見開いた瞼を優しく閉じさせた。瞼を閉じた彼女の顔は、悲しみと怒りに歪んだままだ…。
 僕の両親は幸いにも、昨日から1週間の旅行に出かけている。壊れてしまった彼女を抱き上げ、僕はそのまま
 自宅に向かった。

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 side-B
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  美津子さんを抱えたまま自分の部屋に戻ってきた僕は、彼女を自分のベッドに横たえる。ロボットだから重いと
 思って、気合いをいれて抱え上げたんだけど、美津子さんは予想以上に軽かった。女の人を抱き上げるなんて
 初めてだから、これぐらいの体格の女性としては重いのか軽いのか判らない。
  横たわっている美津子さんのお腹の上で組ませていた両手を白衣の袖から引き抜く。袖に突っ込んであった
 だけの両腕は、何の抵抗も無くあっさりと彼女の体から離れた。引き抜いた腕は人間と殆ど変わらない肌触りで、
 向き出しになっている肩関節の部品が妙に違和感を感じさせる。そして機械部分をよく見てみると、ケーブルの
 被膜が溶けてフレームや人工筋肉にくっついている。腕がこれだとすると、身体の方が心配だ…腕を僕の机の
 上に置き、美津子さんの体の具合を確認することにする。
  美津子さんの顔は、泥で少し汚れていた…コケたときについたんだと思う。服も少し汚れ気味。服はともかく、
 顔は奇麗にしてあげなきゃ。僕は一階へ降りて濡れタオルを用意し、部屋に戻って美津子さんの顔を拭き始めた。
 彼女の顔だけ見てると、とてもじゃないがロボットとは思えない。表情も自然で、まるで眠ってるだけのような…
 って、あれ? さっき部屋を出るまでは、あの苦しそうな顔のままだったのに。僕が疑問を抱いた瞬間、美津子さんが
 静かに目を開いた。その目は少しの間天井を見つめていたが、やがて彼女の頬を拭いていた僕の手に視線を移す。
「!!!!」 驚いて引っ込めた僕の手を、美津子さんの視線が追い掛けてくる。その視線は僕の手から肩、首、
 そして、僕の顔…目と合わさる。
「……」「……」暫く目を合わせたまま、沈黙が続く。 僕は視線を外したかったが、美津子さんが『目をそらさないで』
 と、視線で訴えている。僕は蛇に睨まれた蛙のように、動けなくなっていた。
「…恭一さん」 美津子さんが僕の名前を呼んだ。僕は返事をすることが出来ず、そのまま押し黙ってしまう。
「見ました…よね?」 僕は、下を向いたまま彼女の問いに答える。「…見てた」 顔を上げずに続けた。「最初から
 最後まで、美津子さんの……」 その先は、今の僕には続けることができなかった。

「恭一さん、わたしは…」 身体を起こそうとしながら僕を問い詰める美津子さん。しかし、両腕を失った彼女は、上半身を
 よじらせるのが精いっぱいのようだ…。そんな彼女の肩に手を回し、ゆっくりと抱き起こす。服越しに触った肩が、
 ごつごつとした機械部品であることがはっきりと感じられた。
「…ありがとう」 そういうと美津子さんは、自分の右肩に回された僕の手を見つめる。「わたしは…恭一さんもその手で
 感じている通り」美津子さんが僕の方に振り向く。 「…ロボット、です。」
 僕は、彼女の告白に改めて衝撃を受けた。嘘でも夢でもない、事実を…彼女の身体を触って確認し、本人の口から聞く。
 最早拒否をすることも反論することも出来ない。
「…恭一さん、貴方にお願いがあります」この状況で、僕に何をさせるつもりなんだろう。 口答えする気力さえ失った
 僕は、ただ頷くだけだ。
「わたしの服を脱がせて…わたしの、全てを見てください」 
 僕は自分の耳を疑った。美津子さんに嫌われても全く不思議じゃない事をしてしまったのに…それなのに、彼女は
 自分の裸をこの場で見せようとしているのだ。軽い眩暈に襲われた僕は、眉間のあたりを指で抑えながら返事をした。
「本当に…いいの?」僕は美津子さんと初めて視線を合わせた。その目の色は真剣そのもので、何かを企んでいるとは
 思えなかった。頷いた美津子さんは、ベッドから足を下ろし、ゆっくりと立ち上がる。
「お願いします」 立ち上がった美津子さんは僕に身体を近づけてきた。
  意を決した僕は、まず袴の帯に手をかける。帯を緩めて袴をおろし、次は白衣の帯をゆるめていく。僕が美津子さんの
 衣服を脱がせている間、彼女は一言もしゃべらなかった。微妙な雰囲気が場を支配して行く中で、僕は彼女の白衣に
 手をかけ、裾を左右に開くと…両腕がない身体から、白衣が抵抗もなく床にぱさりと落ちた。
 「あ…」僕は息を飲んだ。双眼鏡も通さず、僕は女性の体を間近で見るのは初めてだ。それも、彼女は人間じゃない。
 まず、肩関節から先の両腕がなかった。肩関節は金属フレームと人工筋肉、ケーブル類がむき出しになっている。
 特に右肩のケーブルは黒く焼け焦げて酷い状態になっていた。
  痛みは感じないのだろうか? 確か、神社で腕を取り外した時は痛そうに呻いていた筈だ。


「…保護回路が働いてるから、右肩からは痛みを感じません」 僕の考えを見透かしたように美津子さんが呟いた。
「左肩は、痛覚センサーをブロックしてあります。わたし、ロボットですから…ほら、これを見て」 彼女の言葉に続いて、
 ぱしゅっという聞き覚えのある音がした。そして、美津子さんの胸にうっすらと浮かんでいた線が濃くなったかと
 思うと、乳房が…乳房が両側に開いたのだ。乳房と胸の隙間からは、金属フレームらしきパーツが見えている。
「メンテンナンスハッチです…もう少し開けて、中を見てください」 僕は彼女に言われるままに、メンテナンスハッチを
 更に広げてみる。
「…ぁ」 美津子さんが僅かに喘いだ瞬間、僕はメンテナンスハッチの中身に目を奪われた。乳房の触感から全く
 想像することのできない、精密な機械部品と金属フレームで埋められている。それを見て、僕のアレが突然いきり
 立ち出した。何故? 彼女はロボットなんだぞ? 
「わたしのこと、嫌いになったでしょ?」 僕を更に戸惑わせる一言。「い、いきなりそんな…」 僕の言葉を遮るように
 美津子さんは続ける。「わたしの体は見ての通り、恭一さんとは違います。それにわたし…わたしは」 
 顔を背け、開かれた自分の乳房を見つめながら呟く。「淫乱…です。わたし、恭一さんに見られてた時…」 言葉が
 途切れた。美津子さんは悶えるように身体をよじらせると、右側のメンテナンスハッチが閉じかかる。その頂の
 桜色の乳首は…僕が見てもわかるぐらい、ぷっくり膨らむように立っていた。
「恭一さんの事だけを考えて、か…感じて…ました」 恥ずかしさと悲しみが入り交じった表情で絞り出すように
 続けようとする美津子さん。もう…もうやめてくれよ…。
「あの時はショックでしたけど、今は…貴方が目の前にいるだけで…ほら」 彼女は足を広げ、少しかがむようにい
 して腰を突き出し、己の股間を強調した。彼女の割れ目は、あの時みたように濡れて…その液体は、太股を滴り
 始めている。

「こんなにいやらしく…なってるの。わたしみたいな淫乱人形なんて…恭一さんには…恭一さんはもう…」 美津子さんの
 目から涙が流れている。美津子さん、僕は…僕は!!
「もうわたしなっ……!!」自暴自棄になった彼女の口を、僕は強引に塞いだ…僕の唇で。
 暫くそのままでいると、ぬめっとした何かが僕の口に入ってきた。これは…美津子さんの舌だ。それは何かを
 求めるように、上唇の中をまさぐり始めた。それに答えるかのように、僕は彼女へ舌を絡めて行く。
 こんな形になるなんて、想像もしてなかった。

「…っ」 暫くして、僕は重ねていた唇を離した。互いの舌がその別れを惜しむように、糸を引いている。
「恭一さん…」 潤んだ瞳で僕を見つめる美津子さん。「わたし…わたし……ぐすっ」
「もう、それ以上何も言わないで」 彼女の頬をつたわる涙を、僕は指ですくいとった。「僕は…美津子さん、僕は
 美津子さんが大好きだ」そのまま、自分の想いを彼女にぶつけていく。 「美津子さんがどんなロボットでも
 僕の想いは変わらない…!」  それを聞いた美津子さんは暫くの間俯き…口を開いた。
「ありがとう、恭一さん。わたし、凄くうれしい」彼女は俯いたままで答えた。「でも…一つだけ試させてほしい
 ことが…あります」
「…僕にできることなら、なんでも」美津子さんの頭を優しく撫でながら、彼女の言葉を待つ。
「わたし、一週間毎に冷却水を交換しないといけないんです」 冷却水の交換…ロボットなら自然な行為じゃないのか?
「その冷却水の交換、手伝ってもらえますか?」 もっと凄いことを要求されるのかと想っていた僕は拍子抜けした。
「それぐらいのことなら、いくらでも。」 その時の僕は、”冷却水交換作業”のことを、自動車と同じようにしか考えて
 いなかったから、あまり深く考えずに返事をしたのだ。

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 わたしは今、とても複雑な気分。神社のお祓いで初めて遇った時から、ずっと想いを寄せてきた恭一さんに、わたしは生まれ
 たままの…いや、ロボットのわたしには『生まれたままの姿』なんて存在しない。衣服を着用せず、しかも両腕を取り外した
 状態で、わたしは恭一さんを待っている。
「美津子さん、持ってきたよ」恭一さんが部屋に戻ってきた。片手には水道水の入ったペットボトル、もう片手には
 洗面器。この二つの道具だけでは、これから何をするのか…恭一さんはまださっぱり判っていないみたいだ。
「ありがとう、恭一さん」そういうと彼は、わたしの前に胡座をかいて座り込んだ。
「…美津子さん、あの…」恭一さんは顔を少し赤らめながら、畳んで脇に置いてあった巫女装束の白衣を手にとった。
「服、そろそろ着て欲しいんだけど…」ああ、そういうことね。
「別にいいけど…そのあと、ちゃんと手伝ってくださいね?」
「わかってるよ」恭一さん、なんだかすごくウブ。着てもいいけど、実はあまり役に立たないのよね…。
 白衣をきっちり着せてもらい、帯を締めてもらう。
「それでは恭一さん…まずは、白衣の裾をたくしあげてください」あれ? 恭一さんがフリーズ状態に…。
「そそそそ、それじゃ服着た意味ないじゃないかっ!!」だから言ったのに… 

「冷却水の交換には必要な手順ですから…」わたしはさらりと言ってのける。実際、嘘はついてない。
「じゃあ、一度立ち上がりますからちょっと待ってくださいね」
「…わ、わかったよ…」ぶつぶつと文句を言いながらも、恭一さんはわたしが立ち上がるのを手伝ってくれた。
「じゃあ、裾をめくるから…」そう言いながら、彼は白衣の裾を膝上あたりまでたくしあげ、そこで裾を縛ろうとする。
「だめです、もっと上まで上げてくれないと…」本当は膝上でもいいんだけど、わたしが1週間前に自分でやったときは、
 股関節あたりまでたくし上げていたのだ。
「こ、これ以上上げると…その…美津子さんの…」言葉に詰まる恭一さん。「わたしの…なんですか?」少し問い
 詰めてみる。顔を真っ赤にしてる彼の頬がかわいく見えて、ついいじめてしまう。
「あそこが…見えちゃうよ」消え入りそうな声で答えた。「恭一さん、わたしのひとりえっち…最初から最後まで
 見てたんですよね」
「そ、その時と今とは全然違うだろむぅっ!!」問答無用。わたしの唇で、恭一さんの口答えをシャットダウンする。腕がないから
 捕まえっ放しという訳にはいかないけど、それでも効果はあったみたい。

「…お願い」ゆっくりと唇を離して、一言だけぼそりと。「…ずるいよ美津子さん」相変わらず照れながらも、
 結びかけた裾をもう一度解いて、ゆっくりと腰まで裾をたくしあげてくれた。わたしのあそこが、再び恭一さんの目にふれるようになる。
「目を逸らさないで…わたしを、よく見て」彼によく見えるよう、足を肩幅より少し大きく開く。そして、床に置いてあった洗面器の
 真上に腰を下ろした。そのまま、後ろにあるベッドに上半身を預けて行くと、わたしは洗面器の上で丁度正座をしながら
 恭一さんに秘部を見せるような格好になる。
「み、美津子さん…今から何を…」驚きながらも、わたしの割れ目からはもう目を離そうとしない。「さっきもいった通り、冷却水の
 交換をするの」人工膀胱の貯蔵モード、排水シーケンスへ移行。「本当は、ものすごく…はずかしいの…」人間でいう、
 ”排尿”に等しい手順を踏まなければ、わたしは冷却水を交換できないのだ。
「でも…あなたには…見てほしいの…」わたしのあそこがどんどん熱くなってくる。排水よりも先に、愛液の分泌の方が激しく
 なっているぐらいだ。

 ぽたっ ぽたたっ 

  いやらしい音をたて、愛液が洗面器に滴り落ちる。「美津子さん、これって…」
 ち、違うの!! おかしい…いつまでたっても排水が始まらない。リトライを繰り返してみたが、人工膀胱から冷却水が
 落ちてこない。そうか、ひょっとして。

「…恭一さん、胸のメンテナンスハッチを開けますから、白衣を脱がせてください」言い終わると同時に、胸部ハッチのロックを
 解除する。恭一さんは黙って、わたしの白衣の胸元をはだけさせた。
「右胸のハッチを開けて、乳房の裏のモニターを見てください…そこで冷却水を強制排出する操作が出来ます」
「一体何がどうなってるの?」モニターの横にある小さなカーソルボタンを押しながら恭一さんが呟く。
「人工膀胱にも保護回路が作動してるんです」そう、あの時の衝撃は、こんなところまで影響していたのだ。
「…ごめん」少し俯きながら彼は謝ってきた。「もういいの。恭一さんがこうやってわたしを見てくれていれば……あぁんっ!!」
 右の乳房を支えていた恭一さんの手が、わたしの乳首に当たった。さっきからずっと立ったままのわたしの乳首、ものすごく敏感に
 なってる。
「ごごご、ごめんっ!」慌てて謝る恭一さん。
「ふぁ…き、きにしないで」今は、排水をすることが先決。「そう、そのメニューの5番を選んで…あとはenterを押せば…」
「…こう?」恭一さんがenterを押す。強制排水モード、作動確認。モニターを目視して安心した次の瞬間…
「あ…あぁ? んぁああっ い、いやぁ!! こんなっ!?」わたしのあそこが、突然激しい疼きを伴って熱くなり始めた。
「だ、だいじょうぶなの? 美津子さん!?」いきなり悶え始めたわたしを気遣う恭一さん。快楽と共に、今まで感じたことのない
 感覚がわたしの割れ目を襲っている。確かに強制排出するのは初めてだけど、これは…これは…

「で…る…『出る』?」 普段の手順では体験したことのない、全く新しい感覚が私の論理回路と快楽中枢を刺激している。
「出る…やだ…出ちゃうよぉ……こんなの、はじめて…ひやぁ!」今、両腕があったら、あそこを力の限り押えたい。
 それが出来ないもどかしさで、”出そう”な感触と”快楽”が同時にわたしの論理回路を攻め立ててくる…身体をよじらせずには
 居られない。
「きょ…恭一さん…わたしの…わたしの人工じょ…おまんこを…もっと…見て…」わたしが喘いだ次の瞬間、
 排水ノズルが割れ目から5mm程突き出され…
「あーーーーっ!!」ノズルの先から冷却水の排出が始まった。冷却水を排出しているという感覚が快楽中枢に直結されて
 いるのか、快楽は全く止む様子がない。ノズルから吹き出している冷却水は、緩い放物線を描いて洗面器に落ちていく。
「すごい……まるで本当のおしっこ…みたいだ…」恭一さんが、わたしのあそこを凝視している。そんなに見られたら、わたし…
「あ…止まった…」強制排水、終了。「ああぁ…はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」息が苦しくなるほど…放熱装置がフル稼働する
 ほど、わたしの体は燃えるように熱くなっている。
「美津子さん、すごい汗だ!本当に大丈夫なの? 今、タオル濡らして持ってくるから!」立ち上がって部屋を出ようとする
 恭一さんを引き止める。

「大丈夫…だから…それよりも、水…水が欲しい…」冷却水の残量が0に近い状態では、すぐにオーバーヒートしてしまう。
「あ、そうか!」ペットボトルのキャップを開け、わたしに手渡そうとする恭一さん。「あ…」そう、両腕がない状態では、自分では
 水分が補給できない。「水…み…むっ」過熱してカラカラに乾いてきたわたしの唇が、何かで塞がれた。それは、恭一さんの
 唇だった。その隙間から、ゆっくりと水が注がれてくる。わたしはまるで人間の赤子のように、その水を吸った。

 ちゅう、ちゅぱっ、ちゅくっ

 恭一さんは何度も何度も、口移しでわたしに水分補給をしてくれている。1.5Lのペットボトルが空になるころ、わたしはようやく正常に
 動けるようになった。疲れ切った恭一さんがわたしの傍らに座り込み、肩で息をしている。
「よ、よかった…これでもう大丈夫かな…?」恭一さんの顔を見て、わたしは罪深い気持ちで一杯になった。
「ご、ごめんなさい…わたしのせいで…」続けようとする唇を恭一さんが塞ぐ。「美津子さん…お願いがあるんだけど」
 軽いキスを交わした後、恭一さんが切り出した。「いまの…もう一度見せてくれないかな…」
「ええっ!?」強制排出をしたら、またオーバーヒートしてしまう。
「要するに、最初から水分をとっておけば いいんじゃないかな」確かに名案。でも…
「それで多分大丈夫だと思うけど…でも、何故?」人間でいう排尿と等しい、卑猥な格好。気持ちいいのは自分だけ
 だと思ってたのに。
「その…今の美津子さん、凄く可愛かったし…それに…」それに? 「美津子さんのそれ…おしっこみたいで…すごく興奮した」
「恭一さん…」わたしは驚いて恭一さんの顔を見た。照れているのではなく、明らかに上気している表情だ。
「洗面器を空にして、新しい水を持ってくるからまってて!」そのままわたしの話もきかず、彼は部屋を飛び出していった。
 まさか、こんな展開になるとは。てっきり嫌われると思っていたのに。そもそも、わたしがひとりえっちをしだしたのは、
 恭一さんが神社の境内で排尿行為をしていたところを目撃したのが発端なのだ。
”恭一さんのおちんちん…あれをわたしの、あそこに…” そう思うと我慢できなかった。それからわたしは、誰も見ていない早朝の
 境内の奥の林でひとりえっちを始めたのだ。

「マグカップをもってきたから、今度は大丈夫だよ!」勢いよく戻ってきた恭一さんが、水をいれたカップをわたしの口元に運んで
 くれた。それをゆっくりと飲み干す。
「…恭一さん、わたしのひとりえっち…まさか」そう、わたしは一週間前から毎朝自分を慰めていた…あの大木の前で。
「ごめん…今更だけど、ずっと見てた」カップに水を注ぎ足しながら恭一さんは答えた。
「一週間前、美津子さんが…あの大木の前で…おしっこしてたの、見ちゃったんだ」
 ああ、やっぱり見られてたのね…
「あれが本来の冷却水交換手順なんです」こうなったらもう隠しても意味がない。あの日の事を包み隠さず告白する。
「いつもわたしは、自分の身体を見て思ってた。わたしはロボットなんだって。でも、恭一さんの排尿行為を見てから、恭一さんの
 真似をしてみたくなりました。こうしたら、わたしも恭一さんみたいに…人間と同じになれるかなって…」
「美津子さん…」
「それで、排水しながら恭一さんのことを考えてたら…我慢…できなくて…そのまま…」そう、あの日に初めて、トイレ以外の
 場所で冷却水の交換を試みたのだ。そしてわたしは、そのまま自分の秘部を玩んで…
「気がついたら、わたしはひとりえっちをしていました」カップの水を飲み込み、一旦区切る。
「それが、僕が見たあの…」どうやら一部始終を見られてたらしい。 
「その通りです…それからわたしは、毎朝あの場所で、貴方の事を考えながら…ずっと…していました」
 カップに注ぎ足された水を最後まで飲み干す。これでわたしの体内貯蔵タンクは満杯になった。
「そうだったんだ…」恭一さんは申し訳なさそうにいった。「僕がもっと、美津子さんの想いに気付いてあげていれば…」
「ううん、いいの」被りを振りながら、空になった洗面器の上に座り直し、再び先程と同じ姿勢をとる。
「そのおかげで、わたしの秘密を…貴方だけに、伝えることが出来たんですもの…」
「美津子さん…僕は」「さぁ、準備できました。強制排出…お願いします」
 彼の言葉を遮り、わたしは腰を前に突き出した。

「ごめん…ありがとう。」恭一さんが、再び強制排出の操作を始めた。排出量は最大、かつ速度は一番遅く。こうすることで
 少しでも長く、快楽を味わうことができる筈だ。
「わたしもね、本音をいうともう一度冷却…」 そういいかけて、わたしは言い直した。「…お、おしっこを出してみたい」
 あの感触をもう一度味わいたい。そうすることで、恭一さんと少しでも
「じゃあ、いくよ」恭一さんの指がenterを押す。
「…あっ…」
 先程とは違い、じわりと”出そうな”感触が、下腹部を侵食し始める。やがてその感触は、下腹部から割れ目へと徐々に
 広がり始めた。
「お、おしっ…こ…出るぅ」さっきとは違って、わたしの口から”おしっこ”という言葉が、自然に出てくる。

 もうわたしがロボットなんてこと、関係ない。わたしがこれからするのは…

「んはぁ、おしっこ、我慢できない…出ちゃう…出ちゃうよぉ」強制排出モードを無理やり我慢してみようと試みる。
 が、そんなことは当然出来ない。やがて、割れ目から出始める冷却水…さっきより量は控えめだ。
「ほら、見て…わたし、恭一さんと…同じ…よね?」涙が止まらない。快感と嬉しさと恥ずかしさが交じり合う。
「美津子さんのおしっこ…人間と同じだ…僕と同じだよ」恭一さんが、わたしのおまんこを…おしっこを見てくれてる。
「嬉しい……わたしのおまんこから…おしっこが…どんどん…」
 洗面器を満たしていく、わたしの”おしっこ”。
「出てるよぉ…わたしの…おしっこ…お願い…とまらないで…」
今この瞬間だけ、私は恭一さんと同じ「ニンゲン」になれたのだ。

 でも、ゆっくり出しているから、刺激が足りない…もっと快楽が欲しい。快楽が……恭一さんが欲しい。
「ああっ…恭一さん…さわって…あそこを…おね…がい…」目眩く快楽の隙間を縫うようにわたしは懇願した。
「こ、これでいい…の?」恭一さんの声が聞こえた瞬間、冷却水排出とは別の快楽が人工陰核から伝わってきた。
「んぁあああっ! あんっ! ああん!」喘ぎ声が止まらない。視覚センサのイメージがどんどんぼやけ始めている。
"強制排出残り時間、0:30" ああ、もう終わってしまう…もっと恭一さんが欲しい。そう思った時、わたしの乳房から予想外の
 快楽が論理回路に伝わってきた。 恭一さんが…わたし…の乳房を…
「あんっ!! あふっ!! お、おっぱい、もっと…吸ってぇ…あぅ!」
「あんっ!……あん!…んあ!あぁ…あん」 もう耐えられない…限界だ。
「あ…あ…あっ……いくぅ……あああぁ〜〜〜〜っ!」
強制排出が終わると共に、わたしは達した。

「美津子さん、すごくよかったよ」 そう言いながら、恭一さんは私のあそこを愛撫してくれている。愛液と冷却水で、太股もびちゃびちゃに
 なってしまっている。
「…拭いて」 わたしは恭一さんに向かって一言だけお願いをした。
「え? ああ、わかった」 彼はティッシュペーパーを2〜3枚手に取ると、私の秘部を優しく拭き始めた。手が動くごとに快感がわたしの論理
 回路を貫く。
「ぁっ…ああっ」 人口声帯が勝手に艶めかしい喘ぎ声をだす。「美津子さん、僕は・・・」 恭一さんも呼吸が荒くなってきている。
「ごめん、もう我慢できない…!」 突然、恭一さんはわたしの体をを抱きかかえ、ベッドに横たえた。
「きゃっ!? きょ、きょういちさ…」 彼の目は野獣のようにぎらぎらしている。こんな目の恭一さん、初めてみた。
「…!!」 有無を言わさず、恭一さんはキスをしてくる。舌を差し込み、絡め、貪るようなディープキス。下腹部に、何か固い
 ものが当たっている。これはひょっとして…
「…僕のアレが、もう爆発…しそうなんだ」 唇を離した恭一さんは、ズボンと下着を一気に下ろした。彼の股間にそそりたつ、たくましくて
 太い男根。
「…入れて…お願い…」 本音を吐露するわたし。 「あなたと、一つになりたい」
「美津子さん…僕も」 恭一さんが、己の男根をわたしのあそこに当てがった。ぴくりと震えるわたしの身体。「好きだ。ひとつになりたい」
 そういうと、彼は男根を一気に挿入した。
「んんぁああっ!」 痛覚と快楽が一緒くたに押し寄せる。「痛っ…ひぃあぁ!!」 身体をよじらせ、喘ぐ。
「あ…ご、ごめん!」 慌てて謝る恭一さん。 「だ、大丈夫…そのまま腰を動かして…わたしの中を、探って…」
「こ、こう? うっ、うぁっ…」 徐々に腰を動かし始めると、それにあわせて快楽が伝わってくる。
「み、美津子さん…僕、こんな、うっ…はぁっ、初めてだ」 わたしの身体を抱きながら、腰を激しく動かし始める恭一さん。
「もっと、動いて、んっ…わたしも気持ちいいの」 自分も腰を動かし、互いに高みへ上り詰めて行く。
「んぁつ! 美津子さん…僕…なんか出る…っ!!」 
「わたしもっ…あっ…いくぅ!」
 そしてわたしたちは同時に絶頂をむかえた。


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 エピローグ
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 自分でもまさかこんなことになるなんて思ってもいなかったけど、とりあえずは結果オーライということにしておこう。なによりも、あの
 美津子さんと一緒になれたんだから。ちなみにあの後、ぼくは彼女の左腕だけを何とか治すことができた。電源配線がショートした
 原因は右腕だったようで、左腕は配線のコネクタ部分を僕のPCのもので代用して、何とか元通りに取り付けることができたのだ。

「わたしは神社に戻ります」 取り付けただけで動かない右腕をおさえながら、美津子さんは僕の家から去って行った。
 自分でメンテナンス中にミスをしたということで誤魔化すといっていたが、大丈夫なんだろうか。去り際にそのことを言うと、美津子さんは
 僕に軽くキスをして、「大丈夫。また、いっしょにしましょ」と言ってくれた。
「じゃあ…いつもの大木の前で」 僕が提案すると、美津子さんは少し顔を赤らめながらこくりと頷いた。これからは早起きの”散歩”が
 日課になりそうだ。

(終わり)

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