その日、私の弟…研司は晩ご飯を食べた後、すぐに寝てしまった。

「やっぱり負担かけすぎよね」
 私はお父さんの部屋で昨日からの出来事を何回も反芻していた。落雷事故で身体機能を半分以上失って
 しまった私は、お父さんと研司の手でなんとか復活することが出来た。でも、現状は…研司に頼らなければ
 本さえ読めない始末だ。それによって、大好きな読書を暫く諦めないといけないということは、私にとって
 かなりのストレスだった。

「でも、今は…」

 そう、今はそれ以上に、研司と離れてしまう事が何よりも苦痛に感じる。私は一階、研司は二階の部屋で
 寝ているから、全く会えないという事ではないのに…そう、私から研司に会いに行けないのだ。そう思うと、
 胸の奥がジンジンと痛んでくる。そもそも私はアンドロイドなのにこんな感覚に苦しんでいるのは、身体の
 深部感覚を人間と同じようにセンシングできるような設計になっているからだ。お父さん曰く、『お腹の減り
 具合がデジタル表示されるのは許せない』との事なのだ。だから、私は人間と同じように空腹感を感じるし
 (それがロボットには必要ないとしても)、人工女性器からの快楽を楽しむ事も出来る。

「…研司」
 研司の顔を思い浮かべた瞬間、下腹部の奥が熱く疼くのを感じた。弟の事を考えるだけで、身体の芯が
 熱くなり、人工女性器がある辺りが何ともいえない感覚に包まれる。以前にこんなことが無いとは言えないし、
 あったとしても…一人エッチで何とか静まる程度だった。
「んっ…はぁ…」
 私は体を捩らせて腰を前後に動かし、あそこが微妙に下着と擦れて得られる僅かな快楽でお茶を濁している。
 今の私にとって、この状態ははっきりいって拷問としかいいようがない。
「かといって…研司にこれ以上負担かける訳にはいかないし」
 晩ご飯を食べてから私の身体を拭いてくれた時、研司は明らかに体力が消耗しきった様子だった。私はそれを
 見て、どれだけ”欲しい”というのを我慢したことか。
「お父さん…研司の言う通り、ちょっとやりすぎよ…」
 私は疼く身体をなんとか抑え、無理矢理瞳を閉じて強制スリープモードに移行した。普段は味気なくて使わない
 強制スリープモードが、今日ばかりは有りがたく感じる。私の意識は研司の事を考える暇も無く、あっというまに
 暗闇に包まれて行った。

「姉ちゃん、本当に大丈夫?」
「うん、いざとなったらお父さんに緊急コールを送ることになってるから」
「じゃあ、昼過ぎには帰るから…」

 研司は朝一番から食料の買い出しの為、自転車で街へ出掛けていった。
「ふぅ…暇だなぁ」
 私は留守番をすることになった…とはいうものの、お父さんのベッドに寝ころんだまま何も出来ないというのが
 本当のところだ。研司がベッドの脇に机を移動させてPCを置いてくれたおかげで、ネットの閲覧はなんとか
 なった。学校の友達ともメールでやりとりを再開させたのはいいが、友達全員が ”死んじゃったのかと思った”と
 いうメールをよこしてきたのには辟易した。そんなに私は病弱に見られていたのだろうか…二日程音沙汰が
 ないぐらいで、人を死んだ事にするのはやめて欲しいものだ。

「でも…皆、私を人間として見てくれてるんだ」
 そう思って一瞬安心したが、よく考えてみれば身内以外には私の正体をばらしていない。研司さえ判らなかった
 というのに、友達が知らないのは当たり前といえば当たり前のことなのだ。

「私が人間じゃないって知ったら…」
 その時、皆はそのまま友達でいてくれるのだろうか。友達の顔が浮かんでは消え、消えては浮かぶ。次に登校
 した時、私はきちんと皆に迎え入れて貰えるのだろうか? 友人だけでなく、先生までが嘲笑し、自分の周りに
 誰もいなくなるようなイメージが頭の中に浮かんできた。まるで本当にあった事をビデオで録画再生しているかの
 ように、私は独りぼっちになってしまう。
「やだ…やだよ、そんなの」
 私は肘から先がない腕で体を抱えた。涙が頬を伝い、身体ががくがくと震え出すのが判る。

「…ちゃん…姉ちゃん、帰ったよ…どうしたの、姉ちゃん!?」

 私は研司の声で我に帰った。部屋の時計を見ると、もう昼の1時を過ぎている…いったいどれぐらい泣き続けて
 いたのだろう。診断モードを使えばそんなことはすぐに判るけど、今の私はそんなものを使う気になれなかった。

「ぅ…研司…私…」
「姉ちゃん、大丈夫?」
 研司は荷物を放り出して、私の身体を優しくだいてくれた。弟ぬくもりが、服を通して私の身体に伝わってくる。

「ごめん…ちょっと嫌な夢を見ていただけ」
「本当に? 身体、震えてるじゃないか」
「研司…」
「何?」
「少しだけ、抱いてくれてもいいかな…そしたら収まると思うから」
 研司はだまって私を抱いてくれた。私は研司の胸に顔をうずめ、声を押し殺しながらすすり泣く。
「…ぐすっ…研司…」
「姉ちゃん、大丈夫だから…寂しい思いはさせないから」
「研司…ありがと…」
 研司の声と身体の温もりが、凍てつきかけた私の心を溶かし、解して行く。それから暫くして、私は研司の胸
 から顔を上げた。

「もう大丈夫…ごめんね、研司」
「手足が不自由なの、やっぱり辛い?」
「…うん、正直いって辛いよ…」
 私の弱音を聞いた研司は、先程放り出した買い物袋を拾い、中身の一部をとりだした。妙に大きな袋だなと
 思っていたその中身は、プラモデルかなにかの組み立てキットのようだ。
「なに、それ?」
「姉ちゃん、やっぱり昨日から辛そうだったからさ…僕の出来る範囲で何とかしてあげようと思って」

 研司はそう言いながら、大きなパッケージを紐解いて行く。
「…学習教材・マニピュレータ組み立てキット?」
「この前できたばかりのホビーロボット専門店にあったんだ」
「これ、どうするの?」
「説明書の表紙、よく読んでみてよ」
「えっと、『USBマウスを使用することにより、PCを使うことなくマニピュレータの制御が可能です』…?」
「そうそう。ほら、姉ちゃんって今、そのケーブルでPCのマウスカーソルを使えるでしょ?」
「…あ!」
「そういうこと。電源さえなんとかすれば、結構重いものも保持できるみたいだしね」
 研司の目の輝きを見て、どこかで見たことがあるなぁと思った。
「今の研司、なんだかお父さんそっくりよ」
「からかわないでよ…じゃ、早速研究室で組み立ててくる」
 そういうと研司は足早に部屋を出て行った。一旦考えがまとまると猪突猛進になるのは、お父さん
 そっくりよね…。

 それから数時間、研司は研究室にこもりっぱなしだった。時々私の部屋に戻ってきては、メッセのテレビ電話
 機能を使ってお父さんと何やら話し込んでいる(お父さんは日本時間の早朝、目的地の大学に到着した
 そうだ)。

「出来たよ、姉ちゃん!」
 日が沈んで少し時間がたったころ、研司が喜々とした表情で部屋に飛び込んできた。
「どんなのが出来たの?」
「ふふふ…見てのお楽しみ」
 なんだか研司の顔つきまでお父さんに似てきたのはきっと気のせい、と思うことにする。
「じゃあ姉ちゃん、左手をちょっと借りるね…」
 研司はそういうと、私の浴衣の左袖をめくった。人工筋肉チューブと金属骨格が露になると、研司は肘から先の
 金属骨格に開けられていた軽量化用の穴を使い、組み立てたマニピュレータのステーを器用に接続する。
「へぇ…こんなもの、よく作ったわね」
「研究室の工具をなんとか使えるようになったからね…」
 研司はそういうと今度は人工筋肉チューブを掻き分け、私も見たことのないようなコネクターを引きずりだした。
「こ、これ何?」
「手首の方に繋がる電源ケーブルみたいだね…お父さんに教えてもらった」
 ”こんなこともあろうかと…”ということらしい。そういうところは流石にお父さん…。
「こいつを接続して…このリンクを指の部分につないで…」
 お父さんに勝るとも劣らない、見事な手つきで”腕”を組み立てている。そんな研司を見惚れてぼーっとしている
 内に、組み立ては終わってしまった。
「あとは指サックをつけて、と」
 研司がすべり止め替わりの指サックを付けてくれたマニピュレータの指は3本。説明書によればマウスのボタンに
 対応して動作するみたいだ。
「電源入れるから、指を動かしてみて」
 研司がスイッチをONに切り替えたのを確認してから、私は”マウスのボタンをダブルクリック”してみた。
 サーボモータが武骨な音を響かせ、”私の指”が動き始める。
「結構素早く動かせるわね」
 ダブルクリックの間隔により、指の動作速度を可変させる事ができるようだ。素早くダブルクリックすれば、指は
 すっとスムーズに閉じてものを掴む。
「タッチセンサーがついてて、握りすぎを防止するようになってるんだ」
「あとは…マウスホイールで、一本だけど指の動きを微妙にコントロールできるみたい」
 試しに”マウスホイールをくりくりと動かす”と、少し短めの指がホイールに合わせて動く。手首はマウス全体を
 動かせば、それに合わせて前後左右へアナログ的に動いてくれた。
「これで本、読めるようになるかな…」

 研司がもってきてくれた雑誌を右肘で抑えながら、マニピュレータでページをめくってみる。最初は手間取ったが、
 すぐに慣れることができた。多少ぎくしゃくするけど、肘先が無いのとは雲泥の差だ。
「研司…ありがと…」
 出来たばかりの左手で研司を抱き寄せ、頬にキスをしてあげた。真っ赤に照れる研司。
「これで暫く大丈夫かな」
「ねぇ、研司」
「何、姉ちゃん」
「今晩の料理、私が教えて上げるから…一緒に作ろうよ」
「え、でも姉ちゃん」
「お鍋とか持つのは無理だけど、レシピだったらこれで何とか見れるようになったから」
「…僕が作ると大変なことになるかも」
「そうならないよう、私がついててあげる。特訓よ、特訓!」

 そんな訳で、今日のご飯は研司が作ったものになった。ちょっと焦がしたり、煮過ぎたりしたものもあるけど、
 私が側について監督してたお陰で何とか食べられるものが出来た。

「いただきまーす」

 私は左手でスプーンを持ち、シチューをすくってみるが…フィードバックが全くない状態では中々上手く
 いかない。本を読むようには中々できず、悪戦苦闘しているところに弟の手が伸びてきた。

「姉ちゃん、いきなりそれは無理だよ…練習しないと」
「上手くいくと思ったんだけどなぁ…」
「…姉ちゃん、あーんして」
「…」
 どこで覚えたのか、研司はいつのまにか私の口元に、シチューで満たされたスプーンを持ってきていた。
「…あーん」
 私が目をつぶって口を開けると、少し強引にスプーンが突っ込まれてきた。
「熱っ!」
「ご、ごめん!!」
「まったくもう…ちゃんと冷まさないとだめでしょ」
 妙に間抜けな所までお父さんに似てきたような気がする。ほんの少し眩暈がしたけど、その後は微妙なやりとりを
 楽しみながら二人きりの夕食を楽しんだ。

 その夜、研司はお風呂に入った後、昨夜と同じぐらい早く寝床についてしまった。昼間、私の腕を作るのに
 相当集中していたせいだろう。
「…でも、今日は寂しくない」
 研司が作ってくれた左腕を持ち上げ、目の前で指を開閉してみる。研司の真剣な表情を思い出し、胸の
 奥がきゅんと締まったような気がした。
「研司、本当にありがとう…」
 手首を動かし、手の平に相当する部分を自分に向けてみる。さっきから疼き始めている下腹部を試しに
 撫でてみた。昨日、ソファーを掃除していたときに肘で撫でた時とは全然違う…まるで誰かに優しくお腹を
 撫でられているみたいだ。そう思った瞬間、マニピュレータの指に研司の指のイメージが重なった

「んっ…」

 身体の芯が急に熱くなり、背筋を伝って頭の中に快感が伝わってくる。じゅんっという音が、身体の中に
 響き渡り始めた。
「研司の指…」
 私はマニピュレータを腹の上に這わせながら、共襟の上まで静かに持ち上げた。
「…あっ…んんっ…」
 共襟の隙間から胸元へマニピュレータを差し込み、たわわに実った果実を玩んでみる。手首も微妙に動かすと、
 昨日研司に乳房を揉みしだかれた時の記憶が、生々しい感覚と共に蘇ってきた。
「はわぁ…うん…ああっ…」
 そのまま手の平を果実の頂点にあわせ、マウスのボタンを素早くダブルクリックする。マニピュレータの指は、
 寸分違わずに果実の頂点をつかみ、絶妙な力加減でそれを摘みあげた。
「あううっ!! す、すごい…!!」
 私は予想外の快楽に貫かれ、髪を振り乱してその感触を受け止めた。乳首をつかんだまま、手首をぐりぐりと
 回し、更に刺激を与える。
「うあっ!! んんっ! あっ…んぁ!!」
 私はその快楽の虜になり、一心不乱にマウスを動かし、のボタンをクリックし続けた。研司の指が、私の乳房を
 玩んでいる…そう思うだけで快感は何十倍にもなり、私のあそこがじゅくじゅくという淫らな音をたてて濡れていく。

「はぁ…はぁ…はぁ…」
 体温が急上昇し、人工心臓の鼓動がどんどん激しくなる。私は我慢しきれなくなり、ショーツにマニピュレータの
 指をかけた。
「じれったい…早く脱がせてよ…」
 私は研司…マニピュレータに文句をいいながら、身体を捩らせてショーツを脱いで行く。

「ふぅ、はぁ…これで邪魔なものはなくなったわよ、研司」
 感覚の無い腕と、力の入らない足で何とかショーツを膝まで脱ぎ終えた私は、マニピュレータの指に唇を重ねた。
「さぁ、来て…研司…私のおまんこに入ってきて…」

 私は指を開いたままのマニピュレータを股間に添えて息を整え…割れ目に添わせていた指のマウスボタンを
 一気にダブルクリックした。


(続く)

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