俺の母であり、同時に愛する人でもある裕美の中は暖かかった。ある種の懐かしさをも感じさせる程、俺と裕美が
 こうやって一つになることが極自然に思えてくる。

「っ…あ…」
「裕美…」
 俺は裕美と一つになったまま、何度も唇を重ね合わせては解き…を繰り返した。

「んんっ…弘樹…どう?」
「どうってそんな…」
 瞳を潤ませて裕美が聞く。
「なんだかとても暖かくて…優しくて…」
「弘樹…泣いてるの?」
「俺が…?」
 そう、俺は知らない間に涙を流していた。この世で一番優しく包んでくれる彼女に対する罪悪感が、滝のように
 溢れ出していたからだ。

「俺…俺…うう…なんてことを…」
 四肢を取り外され、俺にされるがままにされていた裕美。他人事のように感じていた今日の出来事が、繰り返し
 繰り返し俺の頭の中に響きわたっている。
「弘樹…いいのよ…」
 俺の頬に、暖かくて柔らかいものが触れた。それは懺悔の涙をゆっくりと伝っていく。
「あぁ」
 裕美が、俺の涙を舐めとってくれていた。俺が犯した罪を、摘み取ってくれていた。

「うぅ…ぐすっ」
「弘樹…」
 俺は裕美を抱きしめた。それに呼応するかのように裕美も僅かに動いている。四肢もついておらず、自由に動かせ
 ない彼女の身体が、大きな観音像のように感じた。いつしか忘れていた感触…これが母の温もりなのだろうか?
 このままこうしていたい…そう思った時、裕美は切ない表情を浮かべた。
「私にも…頂戴…」

 その言葉を聞いた俺は改めて意を決した。目の前にいる女を抱いた責任が、俺にはある。
「動く…よ」
「ん…」

 裕美が目を閉じた。俺はゆっくり腰を引き、彼女を再び貫く。
「はっ…あぁあんっ!」
 肌同士が軽く叩き合わされた音と共に、裕美の口から甘い喘ぎ声が紡ぎ出された。
「い、痛くなかった?」
「ん…平気だから…」
 腰を引き、更に一突きを入れる。さっきより膣の締めつけがきつくなったのか、今度は俺も声を上げてしまった。
「うぅ!」
「あぁっ…んん!!」
 俺は徐々に腰を動かすスピードを上げた。パン、パンという音と喘ぎ声が部屋に響き、それは俺達の快楽を更なる
 高みへと引き上げて行く。

「んっ…ああん……あぁっ…んん…ああっ!」
「ふぅ…うっ…あう…うぁ…あううぅ!」
 裕美が切ない表情になる度、俺は唇を軽く重ねた。唇を解いた直後の、彼女の顔が愛おしい。
「裕美…くっ…俺…大好…うぅ…だ…あっ!!」
「わたしも…あなたを…愛…んんっ…してる…んんぁ!」
 二人の動きが激しさを増し、奏でるリズムのテンポがどんどん上がる。
「うぅ…締めつけが…きつ…い……ぐっ!」
「すご…いぃ…奥まで届いて…んんっ!!」
 下半身ががくがくと震えだし、頭の中が白くなり始めた。それでも二人の動きは止まらない。
「ぐ…で…出る…」
「いぃ…ああっ…あぁん…いっちゃうぅ…」

 下半身の芯から、何か熱いものがペニスの先へと流れる感触が来た…と思った瞬間、下半身が大きく震え、俺の
 頭は快楽で真っ白に染まった。

「ぬぅ…あぐっ…うぁ…ぁああああああっ!!!」
「いっちゃう…いぐぅ…ああ゛あ゛ん゛っ!!!」
 裕美と一つになっている部分が一気に熱くなり、「俺」が彼女の中に注ぎ込まれて行くのを感じた。

 次の日の朝、彼女はいつもの母に戻っていた。いつものように俺を送りだし、帰宅したら俺を優しく迎えてくれる。

「母さん」
 俺は母さんに背後から抱きついた。腰に手を回し、うなじにキスを浴びせる。
「んっ…駄目よ…明日のお弁当仕込んでるんだから…」
「晩の10時を過ぎたら…って約束だったじゃないか。それに」
 やけに短いスカートをめくりあげ、あそこへ指を這わせる。
「あうっ!」
「…なんで履いてないんだよ」
 割れ目に添えた指先に、熱くなった蜜が溢れているのを感じる。
「なんでって…あぁあん!」
 割れ目をひと撫でした指を抜き取り、母さんの目の前に差しだした。

「もうこんなになってるよ」
「…ふふ…しょうがない子ね…」
「始めたら名前を呼びあう約束だっただろ」
「まったくもう…明日は弁当抜きよ、弘樹…んっ!」
 ブラウスのボタンを外し、豊満な乳房を揉みしだいた。びくりと身体を奮わせ、腰に巻いていたもう一方の俺の手を
 自ら花園へ導いていく。

「弘樹…好き…んぁ!」
 母から裕美に変貌した俺の女が、歓喜の声を上げた。
「もう放さない…」

 もう過去は振り返らない…手に入れたものは、二度と失わないと固く決意した。それが、今俺にできる精いっぱいの事だから。

(終わり)