「…どうなんだ、良子」
「だめ、誰も電話に出てくれない」
「親父さんの携帯は?」
「…『電源が入っていない為』云々だってさ」
「おいおい」
 弘光は頭を抱え込んだ。彼の目の前には、ベッド上で下半身を隠している幼なじみ(アンドロイド)が一人。現状では彼女を無理に
 動かすことは出来ないだろうし、そもそもパンツを履けないうえに液体が漏出している状態では、外へ連れ出すことさえ出来ない。
「…お前の身体、どうなんだよ」
「どうって…メンテナンスハッチ、無理矢理閉めたらさっきの状態に戻る…ってことだけは判るけど」
「原因とか判んないのか?」
「昼の体育の授業で、左の股関節に違和感があったの。あと、さっきタクシーに轢かれかけた時、下腹部で何かの音が…」
「んーむ…」
 頼りになりそうな大人連中とは連絡が取れず、かといってこのままにしておく訳にはいかない。
「ねぇ、弘光」
「なんだよ」
「あのさ…あたし、時々自分で身体を整備することがあってさ…関節部分は結構負担がかかるから、自分でも出来るようになってるの」
「それで?」
「でも、下腹部の中は流石に自分じゃ角度的に見れないから…その…弘光に見て欲しいの」
「ああ、なるほどな…って、なんだってぇ!?」
 下腹部のメンテナンス。それは、股間のメンテナンスハッチを直視する事を意味する。
「お、おま…ちょっと待て!大体さっきも俺が見たことを…」
「だって、あの時はもう恥ずかしくて恥ずかしくて…」
 頬を赤らめ、下を向く良子。その仕草を見た弘光は思わず息を飲んだ。
「良子…」
「もう見られちゃったものはしょうがないし…それに、弘光だったら…あたし、構わないから」
「な、な、な…」
 今度は弘光の顔がトマトの様に赤くなった。風呂上がりのせいか、それとも気のせいか…頭の頂上から湯気が出ているようにも見える。
「このままにしておく訳にもいかないから…お願い」
 両手を合わせ、おねだりのポーズと表情を弘光に見せる良子。
「…!!」

 1Fの店舗兼・仕事部屋の机上に良子は寝かされていた。上半身は制服のままだが、下半身は作業をしやすいように一糸纏わぬ
 状態にされている。背中と頭の下には折り畳んだ毛布が引かれ、弘光と会話がしやすいようになっていた。
「うちが家電修理屋でよかったよ…工具とか部材には事欠かないからな」
「とりあえず、あたしの指示に従って。関節部周辺なら何回か自分で弄った事もあるから」
「やってみるか…じゃ、メンテナンスハッチを開くぞ」
 弘光は良子の股間部メンテナンスハッチに手をかけ、ゆっくりと開いていく。

(…これは良子のアレじゃない…家電だ…これは家電の修理なんだ…)
 中学生の頃から家電修理の仕事を手伝わされていた弘光にとって、メンテナンスハッチを開くのははなんでもない事だ。ただ、
 問題はその形状と触り心地だった。表の肌の部分は、人間の地肌と何ら変わりない触感だ。そして、そのハッチの下方には、
 裏DVDでしか見たことのない割れ目がしっかりと刻まれている。
(弘光が…あたしのあそこを触ってる…)
 自分を整備してくれている”パパ”以外には触らせたことさえない陰部が、幼なじみの弘光に弄られ始めている。そう思うだけで良子の
 身体の芯はじわりじわりと疼きだし、豊満な胸の頂きが固くなり出す感触が伝わってくる。強制放熱機能が始動したせいか、呼吸が
 荒くなってきた。

「ハッチを開けたぞ。次はどうするんだ?」
「…」
「良子?」
「あっ!? ご、ごめんなさい」
「本当に大丈夫なのか?駄目だったら別の方法を」
「だいじょうぶだって! えっと、もう少しお尻の方から覗いたら人工女性器を支えてる金属フレームがあるから、それをチェックして」
「…わかった」
 弘光は床にしゃがみ込み、ハッチの隙間をのぞき込む。
「…よく見えないな…ちょっと配線を動かすぞ」
 指先を開口部へ差し入れ、邪魔になっている配線をゆっくりと脇に動かして行く。
(ひ、弘光が…あたしの中へ入ってきた…!)
 弘光の顔は先程までとは打って変わり、真剣そのものであった。この目は女性を犯す男の目ではない…仕事をこなす、職人の目だ。
 良子は初めて弘光と出会った時から、彼の親の仕事をよく見ていた。だから、彼女には今彼の考えている事がわかる。
「……ぁ……ンっ…」
 時々弘光の手が人工女性器に擦る度、良子の頭脳に僅かであるが快感が伝達された。人工女性器の感覚遮断は何度も試して
 いるのだが、何故か感覚が遮断されないのだ。
「良子…その…なんだ、その声出すの、我慢できないのか?」
「ごめん…さっきからずっと出さないように色々試してるんだけど」
「仕方ないな…っと、これは」
 文句を言いながらも、弘光は何かを見つけたようだ。

「どうしたの?」
「多分これが原因だ…金属フレームの一部が折れて、配線ケーブルの束を突き破ってる」
「え、それって」
「どう考えてもさっきのタクシーが原因だな。あのタクシー、今度見つけたらただじゃおかねぇ」
 弘光は立ち上あがると、傍らにあった工具箱から細長いピンセットを2本取り出した。
「どうするの、それ」
「多分お前のアレから妙な液体が漏れたり、喘いだりするのはこれが原因だろう。なら、こいつを元に戻して配線をなんとかすれば」
「元に戻るって訳ね…弘光に出来るの?」
「配線を元に戻すぐらいなら簡単さ。突き破ってるっていっても、全部が千切れてる訳じゃないしな」
「わかったわ…お願い」
「ただ…その…お前の…あの…」
「人工女性器?」
「そう、それが少し邪魔なんだ。出来るだけ当たらないようにはするけど、我慢してくれよ」
「…頑張ってみる」
「じゃあ、始めるぞ」
 両手の先を再び開口部に差し込む弘光。その様子を見守っていた良子の頭脳に、いきなり大きな快楽が押し寄せた。
「あうっ!! んっ! あっ…んんん〜〜っ!!」
「くそ…これじゃ工具が突っ込めねぇ…良子、我慢してくれよ…」
 弘光は人工女性器を手で出来る限り優しく掴み、手を差し入れるスペースを作り始めた。
「んぐっ!! あ…もっと…優しく…ん゛っ!! んんぁ!」
 作られたものとは言え、好きな人に自分の性器を直に触られている…その思考が下腹部から伝わる快楽を倍加させる。人工愛液が
 割れ目からとろとろと染み出し、嫌が応にも感じている事を弘光に向かってアピールしていた。一方の弘光は、そんな彼女の状態を
 無視して必死で作業に集中しているようだ。

(んあぁ…もう…我慢…できない…)
 良子はブラウスのボタンをぎこちない手つきで外し、自らの重さで半分に潰れている乳房へ掌をかぶせてみる。
「ふあっ!!」
 乳房に手を触れただけでも快楽が伝わってくる。が、それだけで満足できるような状態ではない。
(もっと…もっと欲しい…)
 ブラの下端に指をかけ、そのまま一気にめくりあげた。ブラで整えられていた乳房は、つきたての餅のように胸の上で
 その形を崩した。その頂点にある桜色の突起はいきり立ち、彼女の身体の動きに合わせてプルプルと震えている。
「…ん…あっ!! あんっ!! いいっ!!」
 手で乳房を掴み、揉みしだきながら乳首をくりくりとこね回す。下腹部と乳房の快楽が合わさり、夕方のあの時と同じように
 彼女の理性を押し流し始めていた。
「あぅ…んんっ…あっ…あっ…あんっ!!」



(続く)

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