街を疾走するチエのキャタピラ、今朝も絶好調です。 
トレーラーには、俺のトランクスがまるで旗みたいにパタパタはためいている。 

 「昨夜の自衛隊の通信内容を分かりやすく言うとだな」 

聞きたくないんですがダメですかそうですね。 

 「内閣は危機管理レベルを引き上げ、自衛隊は治安出動から防衛出動に備えて準備中だ」 
 「マジか」 
 「これから戦車やヘリでバリバリ行くぞ。下手すりゃ日米安保に従い、アメ公共もやってくる」 
 「なんで」 
 「白塗りのお家で働いてる新人が、ファーストレディーをKOしたそうだ」 

ウワオー。 

 「それともう一つ悪い知らせだ」 

コレ以上何があるって言うんでしょうか。 

 「通信を途絶していたアサカ社本社ビルから、工場のコハル製造ラインに不正規接続、
  出荷を待っていたコハル5142体が起動した」 
 「……」 

コハルは人間に敵意をもっているのだろうか。 
いや、コハル達が口走るあの言葉…『ご主人様達が危険です』…俺達の何が危険だと言うんだ? 
やはり、誰か悪意を持った人間に操られて… 

 「ご主人様達が危険です」 

そう、そんな感じに…うお。
トレーラーに乗っていた俺は、チエが急停止したために前につんのめり、したたか鼻を打ち付けた。 
だが今は喚いている場合ではない。 

 「ご主人様が危険です」
 「ご主人様が危険です」
 「危険の迫ったご主人様を発見」
 「ご主人様が危険なんです」
 「ご主人様、危険です」 

建物の影に隠れていたコハル数十体が現れ、俺達を取り囲むように陣形をとった。 
狭い路地だ、そう簡単に逃げられるとは思えない。 

 「ちぃ、貴様との無駄話でセンサーに集中できなかった」 

俺のせいですかそうですか。 
チエはトレーラーから桜印の拳銃3丁を取りだし、映画でよくあるみたいに遊底を後退させた。 

 「お前もさっさとセーフティを外せ、ぼさっとしてるな」 
 「やっぱりさぁ、危ないからやm」 

『BABABABABABABAM!!』
映画みたいにバキューンドキューンって言わないんですね。 
俺がびびりまくってる間にチエは銃撃を開始した。 
全方位から襲ってくるコハル達を、香港映画みたく際どい姿勢で撃ち倒しまくる炊飯器。
熱い薬莢が次々と宙に舞う。 
何個か顔に当たった超熱いんですけど?
ジョン・ウーもビックリですよ。だってねぇ、2丁拳銃どころか3丁拳銃ですものね。 
映画でよくある2丁拳銃は、両手が塞がってしまい弾倉を交換する事ができず、結局火力
を下げてしまう結果になるが、チエには腕4本ありますから。 
“3丁使ってお釣りが来ます”。 
あっと言う間に12体分のガラクタが転がり、チエは開いている手ですばやく弾倉を交換した。 

 「抜けるぞ、舌噛みたくなきゃしゃべるな」 

はいそうします。 

『ギュラギュラギュラ!』 
けたたましい金属の金切り声をあげながら、チエは全速力で走り出した。 
後ろに乗ってるこっちは掴まってるだけで精一杯だ。 
コハルは銃声を聞きつけて次々と集まってくる。 
チエはトレーラーを引きながら彼女達を次々にスクラップにしていった。 

『BABAM!!』
 「ご主人様g…」
 「ごしゅ…モルスァ!」 

十字路に差し掛かると、両側から挟撃しようとするコハル2体を、アームを交差させて撃ち倒した。 
何体来ようが百発百中だ、防衛省から無人戦闘ヘリの火器管制システムをダウンロードしたんだとか。 
勘弁して欲しいほど頼もしい。 

 「ご主人様が危険ですう!」 

三階の窓から、猫耳仕様のコハルが飛び降りてくる。 
チエは拳銃3丁を上に向け殆ど同時に発砲し、頭部に2発心臓部に1発くらったコハルは
そのまま路面に叩きつけられた。 
その残骸をキャタピラで踏み潰し、チエはひたすら前進する。 
それにしてもコハル達…襲ってくるのはいいが(良くないが)皆笑顔なのが不気味だ。 

 「ボサっとしてるな、空になった弾倉に弾丸を装填しろ!」 

トレーラーにはコハルが撃ち尽くした空弾倉が次々と転がった。 
俺はその弾倉になれない手付きで、まだ箱詰めされた拳銃の弾を押しこんでいく。 
当然チエみたいに上手くはいかないので、装填に失敗した弾が虚しくトレーラーの底を転がった。 

 「ご主人様お待ちになって〜〜!」 
 「!?」 

後ろに振り返ると、スクーターに乗ったショートヘアのコハルが、メイド服をヒラヒラさ
せ眩しい笑顔で追って来た。 
なんか殺人アンドロイドに追いかけられる映画思い出した。 
カリフォルニア州知事が出てたヤツ。

 「伏せてろ主人」 
 「ひぃ!?」 

チエは64式とかいうでかい銃を後ろ向きに(後ろもクソも無いが)構え、慌てて頭を下げる
俺の真上で発砲した。 
すげぇよ64式、すげぇよ7.62mm、超音デカイ。 
拳銃とかそんなんじゃないの、もうドガンっ!て、耳しばらくキーンって言ってたし。 
俺もう音聞こえないんじゃないかと思った。 
後超破壊力。スクーターとか前輪風防ぶち抜いてドライバー貫通。 
とにかくコハルを乗せたスクーターはキリキリ舞いしながら路面を転がり、ガソリンに引
火して爆発を起した。 
でも殺ったのが炊飯器だと全然格好付きません。 

 「貴様、少しは役にたったらどうだ?」 

無茶いうんじゃねぇよ炊飯ターミネーター。 
形はどうあれ、俺達はなんとかコハルの群れから逃れる事に成功した。

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