夜のハイウェイをワゴンは静かにひた走る。
西へ向けて50キロほど行った先の山の麓に、オムニ・ジャパンの研究所があるのだ。
車中から見える夜景は、まるでその場に星を散りばめた様に美しく、後席のネネとチャチャが
しきりに、ここはどこ?あそこは?と、シローに訊ねていた。
シローは苦笑混じりに、それでもひとつひとつ丁寧に答えていたが、まるで茶目っ気たっぷりな
双子の姉に、しっかりものの弟みたいな光景で、いつしか車内は和やかな空気が流れていた。
先刻までの必死な戦いの疲れが少し癒される。
「…ヒデと天野さんが一緒になったら…三人は本当に、色んな意味で姉弟だな」
ふと、そんな事を呟くと、いきなりぺしっと頭を叩かれた。
「あいた!」
振り返ると真っ赤な顔のチャチャと照れ照れ顔のネネ…それにうつむいて困った顔のシロー。
「そういう無粋な事…言っちゃ駄目っす」
チャチャがそう言いながら、ネネとシローの首に両手を廻してふふっと笑った。
「わたしたちは…いつでも一緒です」
「え…と…まあ…はは…」
シローの照れ顔も…これがなかなか可愛らしく…。
本当に、メイクし直したらショートヘアの美少女みたいで…美少女三姉妹と言っても通るよなあ…
などと思ってしまった。

だが…それと共に、こんな大事な家族を寄越してくれた秀一と天野さんに…そして自ら志願
してくれた彼らに申し訳なく思うと共に…感謝の気持ちで一杯になった。
「今日は…助かったよ…」
おれは改めて三人の顔を一人ずつ見つめ、それから頭を下げた。
「皆が居たから…おれたち、こうして脱出出来た…本当に感謝の言葉も無い」
「…いいえ。貴方と巴さんは特別な人たちだから」
ネネがそっと首を振った。
「マスターが言ってましたよ。あいつはおれのダチで、兄弟みたいなものだって」
チャチャは右目をつぶって人差し指を立てて見せた。
「だから何としても…絶対に助けるんだって…」
「ええ。うちのマスターも…怖いぐらいの気迫でした。だから、僕たちも…」
「二人とも…事情もろくに知らないのに…そこまで信じてくれてたとは…」
おれは…恥ずかしながら…じわっと目頭が熱くなるのを感じた。
たぶん、後で春日課長から事情は説明されたとは思うが…仕事を引き継いだ時、何も言わずに
引き受けてくれた秀一と、それに従ってくれた天野さん。
そして、二人の代わりに参戦してくれて、一緒に危険を脱してくれた三人のドロイドの仲間たち。
おれは何て素晴らしい友人たちを持ったのだろう…と…。
不覚にも涙が出そうになって何度もまばたきし、上を見上げたまま前を向いた。
「…本当に…ありがとう…な!」

その時、こほん…と運転席から咳払いがした。
おれが泣きそうになっているのを、バンはちらとミラー越しに見ていたらしい。
ありがたい…と思いつつ、軽く、さりげなく涙を拭う。
「…ところで、さっきのドロイドたちだが」
バンの視線とおれの視線が一瞬、ミラー越しに合った。
「ちょっと気になったんだが…中に何人か、意思を持った娘たちがいたように思うのだが」
「そういえば…おれが倒した娘を助けようと、名前を呼んでいた娘がいたな」
おれの言葉に、巴も大きく頷いた。
「金属バットを振り回していた娘なんて、泣きそうな顔して説得しようとしてましたよね」
確かに…あのソフトボールのいでたちの娘など…そうだった。
「妙だと思わないか?」
「おれもそれが引っ掛かってたんだ」
バンの言葉に、おれも先刻からずっと気になっていた疑問を口にしていた。
「本来、シンクロイド・システムはまっさらで、自分の意思を持たない…言わば素体状態の
ドロイドに心を『書き込んで』コントロールするものじゃなかったのか?」
「ええ。そのはずでした」
助手席から振り返ったジェーンが、複雑な表情でおれたちの方を向いた。
彼女の知識は、亡くなったジェニファー嬢から受け継がれたものだから、ドロイドについての
博識や見識は、うちのお袋にも匹敵するはずだ。
だが、ジェーンの表情は困惑と、若干の焦りも感じられた。
「ですが…システムに共鳴…いえ、この場合、本人が自らの自由意志で同意したとすると、
システムに従ってか…あるいは操られて行動した可能性も、十分あり得ます」
「自由意志…ですって!?」
チャチャが信じられない…という口調で勢い良く口火を切った。
「そんな…あんなに群れ成して、わたしたちを出すまいと…ともちゃんを捕まえようとして
いたのに…それがあの娘たちの…全部じゃ無いかもしれませんけど…意思だったって
言うのですか?」
「ええ…可能性の問題ではあるのですけど…」
ジェーンはそっと頷き、それから、ちら…と巴に目をやり、少しためらいがちに続けて言った。
「…判るのよ…わたしも…シンクロイド・システムで生まれた存在だから」
「え???」
最後列の三人が一斉に驚きの表情でジェーンを見つめた。
「…それは…くれぐれも秘密だ。それも国家レベルのな」
すかさずおれはクギを刺した。
「でないと、下手をすると秀一や天野さんたちにも塁が及ぶぞ」

「まあ…彼らのマスターなら信用できると思うがね」
バンが苦笑混じりに口を開いた。
「くれぐれも…他には口外はしないで欲しい」
「二人は…テロリストに奪われたシステムの奪還…または破壊の為にやってきたんだ」
「だから…そんな大きな口径の銃を所持されていたのですね」
流石にシローは冷静に分析している。
「日本では…ありませんね」
「ああ…その通りだ」
「まあ、それがどこかはおいおい話すとして」
おれは、それより気になる事を訊ねていた。
「ジェーンは…シンクロイド・システムの被検体だけど、トモミの呼びかけは無かったのかい?」
「ええ…わたしを直接名指しではありません。ただ…ドロイド一般に対する呼びかけは聞こえたのです」
「ドロイド一般…ってことは、リンク・システムの影響下にあったのかい?」
「そうですね…あった…とも言えますし、無かったとも言えます」
「どういうこと?」
「『人間に、使い捨ての武器の代わりにされる事に、不安と不満のある者は我に集え…』…確か、
そんな意味合いの呼びかけが成され、それがわたしの頭に入ってきたのです」
「呼びかけ…?」
「はい。でもわたしは…多分、システム的にほぼ同じでも、巴さんの様に、トモミと同一に近い存在で
無かったので、独立した…と言うか、並立した別の存在として認識されていたのだと思います」
「別のシンクロイド・システムとして…か」
「ただ、呼びかけは聞く事が出来、わたしにも参加を求める『声』は聞こえました」
「でも君は…きっぱり断った…と」
「はい。わたし自身が拒絶し、以後は完全にリンクを切りましたから、大丈夫です。
…ですが、これを何度も『聞かされ』ますと…人間を信じ、愛するドロイドたちの心が乱れ、下手を
するとノイローゼの一歩手前まで行くでしょう」
「つまり…別の意識が乗っ取ろうと…言わば洗脳に近い形になる訳だな」
おれの言葉に巴が沈痛な面持ちで頷いた。
「そうです、ぼっちゃま。ドロイドたちが活動を休止したのは、まさにそれが原因だと思います」
「つまり…人間に反旗を翻すことを拒絶したドロイドたちが…本能的に自閉症モードになったのか」
「はい。自らの意思と、そして人々を守る為に、自ら活動を停めたのです」
「そういうことだったのか…」

おれは、う〜む小さく咽喉で声を出し、額に手の甲をあてた。
「確かに…人間によっては…確かにドロイドたちに偏見を持ったり、道具や兵器の代わりにしたり、
…あまつさえ自爆ドロイドみたいに、使い捨てにする馬鹿共が、まだ大勢いるからな…」
おれは前を向きジェーンを見、それから振り返ってチャチャたちを見、それから巴を見た。
「確かに、皆、身体は機械だ。でも人の心をそっくり…完璧に移された巴やジェーンはどうなんだ?
人が霊魂だ魂だ…なんて言うなら、おれはチャチャたちにも魂があると思ってる。それなのに、
そういう馬鹿野郎どもはドロイドを消耗品の代わりにしやがる…!」
「たぶん…あの娘たちの中には、生まれて間もなくて、そういう扱いをされる事が怖かったり
不安だったりした娘もいたのでしょう」
ジェーンは伏せ目がちにチャチャたちを見た。
「それで賛意を示したものの…実際の身体の機能はリンク・システムに委ねられて…」
「図らずもクーデター活動に参加したものの、気持ちの上ではまだ嫌々…という娘もいたんだな…」
「さっきの『呼びかけ』や一連の状況から判断しますと…そうだと思います」
ジェーンは再び前を向き、バンの肩に手をあてた。
「ごめんなさい、バン…その事をお話し出来なくて…」
バンはちらとジェーンの方を見、左手でそっと彼女の頭に手をあて、静かに笑みを浮かべ、首を振った。
「気にしないでいい。それより、君にも『声』が聞こえながら、おれたちを選んでくれた方が、よほど
重要だし…嬉しいよ」
「バン…」
感極まった顔でバンを見つめるジェーン…。
しばし二人だけの時間が流れかけた…が。
後ろからじ〜っと見つめる視線にハッとなり、慌てて正面を向き直った。
「ふふ〜!」
チャチャが両手を口に当ててにこ〜っと笑っていた。
ネネもシローも興味深そうに瞳を丸く見開いてじ〜っと見つめている。
「良いですね〜!」
チャチャが、にまぁ〜っと人の悪い笑みを浮かべて続けた。
「うんうん…素晴らしいです!人間とドロイドの理想的な関係がここにありますね〜」
「え…あ…」
真っ赤になり、困惑し、言葉の出ないジェーンに畳み掛けるチャチャ。
「ささ、どうぞどうぞ。わたしたちにご遠慮なく…続きを…続きを!」
バンがぷっと吹き出した。
おれも巴も堪り兼ねて笑ってしまう。
「…う〜!…もう!!」
再び振り返ったジェーンが、ふくれっつらの怖い顔で、思いっきり拳を振り上げる。
「そんなじろじろ見ない!それにそれ以上言ったら、三人ともここから放り出しますからね!!」
「おおこわ!」
ネネとシローが青ざめた顔で,慌てて両側からチャチャの肩に手を置くが、チャチャはニッと笑い、
再び片目をつぶってから…改めてにっこり笑った。
「ま…お幸せにね、パートナーのジェーンさん」
「…もう!」
再び拳を振りかけたジェーンだが、ふっと苦笑を浮かべ、親指を立てて片目をつぶって返した。
そして様相を崩して前を向いた。
「ま…励ましとして…そのお言葉…頂いておくわ」
何だか、二人の間に『女同士の友情』の様なものが芽生えたらしい。
ほっとした様子のネネとシローだったが、二人の和やかな様子に気付いて静かに微笑んだ。

「…これでチームワークもばっちり…かな…?」
思わず呟くと、巴がにっこり笑っておれに頷き返す。
…この一件が無事に終わったら…皆を集めて、お礼のパーティでも開くかな…。
ふとそんな事を思った。

研究所まであと1キロ強の所まで来た時…おれは、ある交差点の手前で、ワゴンを停めてもらった。
地方の市街地…時刻は19時。
さて…今の時代、クルマはナンバープレートを付けると、違反防止と盗難防止の為、エンジンを
かけるとクルマからナンバーの情報が、必要に応じて警察からアクセス出来、所在が判るように
なっている。
このワゴンには、隠密活動用として『ナンバープレート変換システム』なるものが付けられていて、
ナンバープレートを電動で変更出来、それとリンクしてクルマから発せられるアクセス情報が瞬時に
書き換えられ「別のナンバーのクルマ」に変わる事が出来る。
その情報は、極秘の存在とかで、ネットで公表されていないので、おれたちの姿が発見されない
限り、このクルマの存在はリンク・システムと言えど、発見できない。
…だが、それを知られたら、今後、このワゴンは使えなくなる。
それではバンたちも困るだろう。
それに…何と言っても、皆をこれ以上危険に晒すのは忍びない。
これが最大の問題だ。
ワゴンを口実に…二人なら見つかりにくいから…と言うことで、皆にはここで待機してもらおう。
とりあえずお袋に連絡して、迎えを寄越してもらうなり何なり考えよう。
おれは、そんな事を色々考えて、ここから先は、おれと巴だけで歩いて行くことを提案した。

「どのみち…この先はドロイドが張っていると思うし…後はおれと巴で行く」
おれの提案にバンたちは即座に反対した。
「たかがクルマ一台と君たちの安全には代えられない!」
「そうです。それにお二人に何かあったら、僕たち、マスターに合わせる顔がありませんよ!」
「…気持ちは嬉しいが…皆に何かあったら、それこそおれが二人に合わせる顔が無い」
おれの言葉にシローは唇をぎゅっと結び、それから首を振った。
「それでも…バンさんには悪いですけど、このクルマを犠牲にしても、お二人を無事に送り届ける
方が大事だと思います!」
「しかし…もしさっきの様な一団が来たら…このクルマで吹っ飛ばす気かい?」
シローはうっと言葉に詰まったが、一瞬後、決意を固めた顔でおれをじっと見据えて言った。
「同胞を…それも女の子をハネるのは本意ではありませんが…それも覚悟しています」 
「そうか…」
おれもそこまで言われては、反対は出来ない…。
だが、ともかく、ここから先はより大きな危険が考えられる。
けれど、巴や、特命で来たバンもジェーンはともかく…シローも、ネネもチャチャも一歩も譲らない
構えなのには、嬉しく思うと共に、依然として迷いが残る。
「わかった…だが、ともかく一度、お袋に連絡させてくれ」
皆の決意に、そこまで言うのがやっとだった。

「ぼっちゃま…くれぐれもお気をつけて…」
ワゴンのスライドドアを開け、降りかけた時、巴が心配そうな眼差しでおれに手を挙げた。
巴が出ると、シンクロイド・システムの探知に所在の方位がばれる為、一定の場所にとどめて
おくわけには行かないので、外へは出られない。
二人っきりで行く時は、常に移動するので、タイムラグが考慮出来、多少の余裕があるのだが、
この場では出ない方が無難だ。
「ああ…だが……万一の場合は…一人で行ってくれ…」
ふと…何か妙な予感がして、おれはそんな事を言っていた。
「え?」
巴の怪訝そうな顔に手を挙げて返し、おれはすぐにスライドドアを閉じ、夜の通りに駆け出した。

この街には、昔住んでいた事があり、ともねえと初めて出会った思い出の地でもある。
角を曲がり、まだ煌々と灯りのつく商店街の脇に出て、久しぶりの通りに出て携帯の電源を入れた。
人通りはそこそこあるが、ドロイドも大勢いてちょっとひやりとする。
すぐに発信し、耳に当てる。…暫く呼び出し音が続いた。
くそっ…なかなか繋がらないぜ。
そう思った瞬間、ぷつっという音がした。
「もしもし」
『…その声だと無事みたいね』
おなじみの声に、おれはほっと胸を撫で下ろした。
「ああ…『下』の街にいる」
『お千代ちゃんから聞いたわ…大変な立ち回りを演じたそうじゃない』
「…どこも迎えが来てくれないんじゃ、仕方ないさね」
『…ごめん…こっちも人手が裂けなくて』
少しふて腐れた言い方に、流石に済まなそうな声が返ってきた。
「だが、問題はここからだ。今、巴たちはクルマに残ってるんだが、この先、どうしたものか…」
『…あなた…クルマから離れてるの?』
「ああ…そうだが」
『今すぐ電話を切ってそこから離れて、以後は公衆電話に切り替えなさい!盗聴はされないけど、
位置を探知されるわ!』
「え?なんだって…!?」
てっきり位置など読まれないと思っていたのだが…。
考えてみたら、通信内容が秘匿なのであって、電話番号から位置を特定できるか…。
畜生…なんて迂闊な!
親父の改良携帯なので、そこまで考えてある…と、つい思い込んでしまっていた!
「わかった…後で」
そう言って電話を切ろうとして、交差点から幾つもの人影が見えて、おれはハッとした。
人間に無い、やけに綺麗な色の瞳の少女たちのグループ。
皆、同じピンクのウェイトレスの服を着ているが、いずれも無表情。
振り返ると、別のグループがこちらに向かってくるが、こちらは全員、紺のメイド服。
前後共に五人ずつ…横一列に並んで、じわじわと近づいてくる。
…畜生…追っ手か…!
ほぞを噛む思い…というのは、こういう事を言うのだろうか。
もっと早くに気付くべきだった。

「…挟み撃ちにされた…捕まるかも知れない…その時は巴を頼む!」
おれは電話に向かってそう怒鳴り、スイッチを切った。
そして、前後をちらと見てから、ヘッドライトを照らしたクルマの往来する道路に勢い良く飛び込んだ。
けたたましくクラクションが鳴り響き、危うくおれをハネそうになったドライバーの怒声が聞こえる。
済まない!だが、ここで捕まる訳にはいかないんだ!!
心の中で詫びながら、反対側の歩道に渡りきると、同じ様に道路を渡ったのか、左右から
ウエイトレスとメイドたちがこちらに向かって走ってくるのがちらと見えた。
構わずまっすぐ突っ切り、狭い路地裏へ。
この辺りは、おれが小さい頃、遊び場として使った所だ。
地図に載っていない小さな小路まで総て把握している。
そして、隠れ場所として使えるビルに至るまで…。
角を右に曲がり、直ぐ左に曲がり20メートルほど突っ切る。
更にそこから30メートルほど行った未舗装の砂利道を走る。
夜なので足元が悪くて躓きかけるが、体勢を立て直して更に突っ切り、それから、そのまま真っ直ぐ
走って、さらに左に曲がり、その路地の右にある小さなアパートの階段を駆け上がった。
…幼い頃、良く隠れ場、逃げ場として使った場所だ。
ここの五階の奥は、ちょっとした広間になっていて、住人用に自販機や古びたベンチが置かれてある。
地元の人間でも知らない…アパートの住人と、子供達だけの小さなサロンコーナーだ。
…ありがたい!まだあったか!!
ここなら…そう簡単には判るまい…。

中に入り、それからひとつだけある大きな窓から下を見下ろすと、丁度、黒い人影が幾つも行き来して
いる光景が見られて、全身が総毛立ち、冷たい汗が全身に吹き出した。
ここまで迫ってくるとは…それに、上を見られたら一環の終わりだった。
油断大敵だぞ…!しっかりしろ。

…だが、十分経っても二十分経っても、少女たちの姿は現れず、やがて少女と思しき人影が幾つも
彼方に走り去っていくのが見え、思わずほっと息をついた。
「…やれやれ…」
額の汗を軽く拭い、大きく息をつくと、ちょっと咽喉が渇くのを感じた。
さっきから、短時間とは言え、全力で走りづめで、少し汗も掻いたし…。
見れば、水やジュースの自販機がある…ともかく、何か飲んで落ち着くか。
ポケットから小銭を取り出しながら…巴たち…心配しているだろうな…と考える。
そして、改めて窓の外を見、それから五百円玉を出そうとして…
おれは…。
背後に、ふっと人の気配の様なものを感じて…
咄嗟に振り向き…思わず、あっと大声を上げそうになった。

暗い階段からの出入口に、静かに佇んでこちらを見つめている…赤毛のツーテールの美少女。
それは…トモミであった。

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