15:閑話休題〜F-14 私の彼はパイロット〜:sage:2007/11/30(金) 19:35:58 ID:J++Iape1
	ふう……作戦終了18:31 敵影無し。 これより帰還する。
	 「ザ…了解…ザ…無事の帰還…ザ…る」
	ラジオのノイズが酷いなぁ。 どこかに喰らったか?
	 『右の翼にバルカンをいただきましたけど、ラジオには影響無いはずですよマスター。
	  基地までの飛行にも問題はありません。 だけど燃料も残り少ないので寄り道しないで飛んで下さいね』
	そうか……この空域は油断はできないけど、日が落ちて夜になるし。
	敵には夜間戦闘をできる錬度の高いパイロットはいないはずだ。 無事に帰れるさ。
	 『帰還したら、被弾箇所の修復もしてくださいね。マスターったら、この間も修理しないで出撃するから
	  音速戦に入ったとたんにラダーが吹っ飛んでしまったじゃないですかぁ。
	  バーナーノズルも そろそろ限界です。 アフターバーナーが使えなきゃ、音速の壁は超えられませんよ。
	  いくら私でも、体が壊れていたらマスターを護れません』
	すまんな、一休みしたら俺がするよ。
	 『マ、ますたーが、私の体を触ってくれるのですか?』
	だって……お前、こないだはキャシーにパーツ交換されるのは嫌だって拗ねたし。
	その前はゴンズ爺さんに弄られるのは嫌だって泣いただろ。
	あれから、ウチの整備班は誰もお前の整備してくれなくなったんだから……俺がやるしかないだろう。
	 『だって……キャシーさんは 私を見るなり骨董品扱いしましたし。ゴンズさんは私の気持ちなんて
	  お構い無しに私のナカに触れようとするんですもの。 いくら昔は主任技師をやっていたって、
	  いまの私まで好きに弄られたら嫌だわ。 私……マスターにナカを見られたり、触れられたりするのが
	  一番好き。 マスターは他の誰より私のことを考えてくれるわ』
	そりゃ、命を預ける相棒だからな。 誰よりもお前のことを理解している自信はある。
	最新鋭の機体を買う金はあるけど……お前との相性が一番いいようだし。
	乗り換える気も無いしな。 俺の腕とお前の運動性があれば、たいがいの奴には負けんよ。
	頼むぜ相棒。
	 『大丈夫! 私がマスターを護ってあげるからっ!! さぁ、着陸しますよ』

	タッチ・ダウン! ランディングギアが悲鳴を上げて機体の速度を減速させる。
	このときにかかるGを嫌う奴もいるが、生きて帰ってきたことを実感させる感触を俺は好んでいる。
	好きも嫌いも、生きていればこそだ。
	3番ハンガーに相棒を移動させる。エンジンは まだ熱い。 俺も……戦闘中の熱気が冷めず、体は熱いままだ。

	ふう……生きて帰ってこれたな。 あとで修理にくるから、いい子で待ってろよ。
	 『はい、マスター……。 ねぇ、マスター?』
	なんだ?
	 『いままで、たくさんの男が私の体を通り過ぎて言ったわ……。
	  私の体のナカに何も残さずにね……。
	  マスターも……そうなの?』
	馬鹿言ってんじゃねぇよ。 言ったろ、お前は最高の相性の相棒だって。
	俺は死ぬまで、お前と一緒だ。
	 『ふふ。 じゃあ、私は死んでもマスターと一緒にいてあげる。 マスターをヴァルハラに連れて行ってあげるよ』

	男と相棒は数多くの戦功を上げ、エースと呼ばれた。
	その後、男と相棒がヴァルハラに行ったのか、誰にも確かめる術はなかった。

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